独行法反対首都圏ネットワーク

国立美術館の独法化シンポ(5/9共同通信)
(2000.4.18 [he-forum 903] 国立美術館の独法化)

共同通信配信記事2000年5月9日

国立美術館の使命議論を/独立法人化でシンポ

 来年四月にスタートする国立美術館の独立行政法人化をテーマに、美術評論家連盟がシンポジウム「国立美術館のエージェンシー化をめぐって」を、東京・京橋のブリヂストン美術館で開いた。

 針生一郎・同連盟会長を司会に、パネリストは市川政憲・東京国立近代美術館次長、高階秀爾・前国立西洋美術館館長、本江邦夫・多摩美術大教授の三氏。既に国立博物館三館と美術館四館をそれぞれの法人に分けることなど大枠が決まっているため、全体の是非よりも評価委員会のあり方が話題の中心だった。

 独立会計を基本に、できるだけ数値目標を掲げ効率化を図るとされる独立行政法人は、これまでも美術館などの文化活動とはなじまないと指摘されてきた。高階氏は、評価委員会について「観客は多くないが、十年、二十年後に意義が認められる展覧会や優れた研究は少なくない。数値だけでなく、専門的評価ができる委員会であってほしい」と要望する。

 別の言い方で市川氏は「国立美術館の使命は何なのか、何をするべきところなのかを明確にし、社会的同意を得ることが評価の大前提だと思う。コストだけでなく、そうした使命、目的に沿っていくことも効率化ではないか」と語る。

 現状で東京国立近代美術館を例にとると、入場料収入などの歳入の歳出に対する割合は一○%に満たない。これをドラスチックに変えようとすれば、何億円というギャランティーを払って作品を借り、大量の観客を集めるイベントホールにならざるをえないのかもしれない。

 市川氏はこう言う。「国立美術館の姿がいま見えなくなっているのではないか。見える存在になっていくためには、国立美術館の特色、顔をつくっていかなければいけない。それは、催しにしてもサポートにしても、もっと市民社会とかかわるものにならざるを得ないのではないか」



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