独行法反対首都圏ネットワーク

京滋地区私大教連大会決議
(2000.5.4 [he-forum 863] 京滋地区私大教連大会決議12/17)

国立大学の独立行政法人化に反対し、我が国の高等教育の個性的かつ自主的な発展を守る決議

 文部省は1999年9月20日に国立大学の独立行政法人化を提起しました。文部省は、独立行政法人化によって大学は自主性、自立性を持った機関になるとしていますが、国立大学協会をはじめ少なくない団体や個人が国立大学の独立行政法人化に危惧の念を表明しています。

 今年の7月に成立した「独立行政法人通則法」には、(1)主務大臣による法人の長、監事の任命・解任、(2)法人に対する3〜5年の中期計画設定の義務化、(3)主務省の評価委員会による計画遂行についての事後評価と、その結果を踏まえた必要な措置の実施、(4)企業会計原則の採用、(5)政府による法人の業務に必要な金額の全部または一部を交付、(6)職員の身分は国家公務員型または民間型とする、などを規程しています。この通則法が大学に適用されると、大学運営に関して主務大臣ないし主務省にいっそう広範囲な権限を付与することになります。

 こうした方向は、すでに大学審議会答申や今年5月に成立した「学校教育法等の一部改正する法律」、来春に予定されている第三者評価機関の設置など、政府による大学管理を強化し、民間企業なみの競争原理を大学運営の柱にして、高等教育を再編成しようとする一連の動きの中で出されてきたものです。とくに、大学運営に必要な予算の配分が政府機関による評価結果と結び付けられているため、各大学は政府側から高い評価をもらえるような方向に、教育研究の内容を修正せざるを得なくなる危険性があります。それゆえ、国立大学を対象としたものであっても、政府による大学評価を介して予算の交付を行なうといったシステムが制度化された場合、私立大学・短期大学に対しても私学助成金の配分をテコとした政府の管理統制がいっそう強化される危険性が予想されます。また、独立行政法人化はもともと政府の公務員削減策の一環として提起されてきた経緯があり、政府の公教育に対する責任も問われるところです。したがって、このような国立大学の独立行政法人化が実施されることになれば、我が国の高等教育機関はいっそう財政的に厳しい状況のもとに置かれることになり、ひいては高等教育のあり方そのものが変質する危険性があります。

 このように、国立大学の独立行政法人化の動きは、我が国の高等教育システムそのものに大幅な変更を加えようとするものであり、国立大学だけの問題にとどまらず、我が国の8割近い大学生が学ぶ私立大学・短期大学を含む日本の高等教育全般に重大な影響を及ぼすことが危惧されます。

 私たちは以上のような問題性をはらむ国立大学の独立行政法人化に反対し、国民に対して公の教育を守るという立場から、国公立大学、私立大学・短期大学を問わず、個性的かつ自主的な大学創造を進め、教育研究内容をいっそう充実させるために不可欠な大学の自治、学問の自由を守り、21世紀の国民の期待に応えられる高等教育を創造していくために奮闘する決意を表明するものです。

1999年12月17日

京滋地区私立大学教職員組合連合第29回定期大会



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