独行法反対首都圏ネットワーク

都大教、独法化についてのアンケート結果
(2000.4.25 [he-forum 837] 都大教ニュースNo.59)

『都大教ニュース』No.59 (2000年3月2日)

独法化についてのアンケート 

 この1月、都大教は、国立大学の独立行政法人化の問題がやがて国会で審議されることを見越して、すべての政党と衆議院文教委員および参議院文教・科学委員全員に「独法化に関するアンケート」をお願いしました。

 回答期限日までに5政党と6人の委員より回答が寄せられましたので、ご協力に感謝するとともに、これを公表いたします。 (順序は到着順としました)

自由民主党、自由党、公明党からは回答無し

国立大学の独立行政法人化に賛成ですか、反対ですか。

 1、自由連合・・・賛成

 その理由 そもそも教育を行う主体は国でなくても良い。また学費についても、現在はかつてほどの国公立大学と私立大学の差は大きくなく、奨学金も充実している。そして何より、東京大学を始めとする有名国立大学の入学者に、裕福な家庭出身者が多いことを鑑みると、国立大学を維持しなくてはならない積極的理由が見いだせない。

 2、日本共産党・・・反対

 その理由 政府がすすめる独立法人化は、財政赤字を口実にして公務員削減と行政組織の「減量化」をはかるものです。このことは、「効率化」の基準によって教育・研究が大きく歪められ、基礎研究などが大学から消える危惧があります。それは大学における「学問の自由」を保障した憲法の精神にも反し、国の将来をゆるがしかねません。また高等教育への国の責任を後退させ、教育の機会均等や国民の教育を受ける権利を脅かすことになります。

 3、新社会党・・・反対
 
 その理由 国立大学における管理・経営体制を強め、大学の自治と研究・教育の自由を損なうとともに教職員の身分を不安定にさせ、人員削減や授業料の値上げをもたらす恐れが強い。

 4、社会民主党・・・反対

 その理由 独立行政法人への移行については、中央行政庁等改革基本法第41条、「労働関係への配慮」を遵守し、関係職員団体等、各方面の十分な理解を得て行うことが必要です。国立大学の独立行政法人化については、各方面の十分な理解が得られず、「国民の教育を受ける権利」を確保できなければ、反対です。

 5、民主党・・・どちらとも言えない。

 その理由 検討中
 
 国家公務員の25%削減に賛成ですか、反対ですか。

 1、自由連合・・・賛成

 その理由 規制緩和を一層推進し、民間活力を生かした社会を作るとなると、必然的に国の業務・権限が減少する。公務員の仕事自体が少なくなるため、必要な公務員の数も減るはずである。国家公務員の数については、規制緩和、地方分権を考慮しつつ無駄を排するという観点を持って極力削減するべきだと考える。

 2、日本共産党・・・反対

 その理由 日本はもともと人口一万人あたりの公務員の数がフランスの三分の一、ドイツの二分の一など、公務員による公的サービスがサミット諸国のなかでも極端に少ない国です。政府の 国家公務員25%削減はいっそうの公的サービス低下となり、いま深刻な社会問題となっている雇用をさらに悪化させるものとなります。

 3、新社会党・・・反対

 その理由 公務員の数、割合は外国比べても大きいとは言えない。福祉、教育、環境、災害対策などの分野ではむしろ圧倒的に不足している。

 4、社会民主党・・・反対

 その理由 国民への様々な行政サービスの供給を実際に担っている「全体の奉仕者」である公務員を削減することは、国民に対する行政サービスの切り捨てにつながります。しかも人口あたり公務員数は、欧米に比べて少ないのは明らかです。まず事務事業のあり方を見直すべきであり、どの部門も一律に「25%削減」ありきでは、単なるスケープゴートにほかならず、組織の硬直性を促すだけで、かえって本来の改革に逆行することになります。

 5、民主党・・・どちらともいえない

 その理由 セクションにより必要人員が異なる。一律に削減すればよいという問題ではなく、詳細な検討が必要である。 

 大学予算を増やすことに賛成ですか、反対ですか。

 1、自由連合・・・賛成

 その財源は? 現在の日本は外国に比べて、基礎研究の分野で立ち後れている。
 21世紀に入ろうとする今、次代のリーデイング産業の育成を怠っては、日本の将来は危ういと思う。大学予算については、世界の技術の趨勢を踏まえつつ、重点を置くべき分野には一層の重点を置き、優秀な人材を集めその育成に務めなくてはならないと考える。

 2、日本共産党・・・賛成

 その財源は? 国際的にみても異常な「公共事業に50兆円、社会保障に20兆円」の逆立ち財政を、浪費型巨大プロジェクトの見直し・中止などで削り、福祉・教育に回せば、財源は確保できます。

 3、新社会党・・・賛成

 その財源は? 大規模公共事業や原子力関連費、軍事費など削るべきものは多い。

 4、社会民主党・・・賛成 

 その財源は? 少子高齢社会の対応、国民生活の向上、情報化推進、景気浮揚、雇用問題、環境保全などに関係のない、不要不急な予算を削減することで、「国民の教育を受ける権利」を守るための予算を確保します。

 5、民主党・・・賛成

 その財源は?不要な公共事業を削減し、教育投資にあてる。

 私大助成の大幅な増額に賛成ですか、反対ですか。

 1、自由連合・・・どちらともいえない

 その理由 少子化が一層進行していくに従い、私立大学の中には経営に行き詰まるところも出てる。私立大学も、これから求められる教育を考えつつ、そのあり方を考えなおさなければならないときが来ていると思う。よって、私大に大幅な増額を行うのではなく、より良いサービスを提供できる環境を整える方向に、予算をつけるべきだと考える。

 2、日本共産党・・・賛成

 その財源は?  前項でのべた浪費の削減、そして大企業や高額所得者を不当に優遇している不公平税制をただすなど、歳出、歳入の改革で、その財源も得られます。そのなかで「経常費二分の一補助」国会決議も実現可能です。

 3、新社会党・・・賛成

 その財源は?(前項に同じ)大規模公共事業や原子力関連費、軍事費など削るべきものは多い。 

 4、社会民主党・・・賛成 

 その財源は? 私立大学の社会的役割を考慮すれば、少子高齢社会対応、国民生活向上、情報化推進、景気浮揚、雇用問題などに関係のない、不要不急な予算を削減し、「国民の教育を受ける権利」を守る予算を確保します。

 5、民主党・・・どちらともいえない。

 その理由 教育費の負担軽減には賛成だが、その方法については検討中。

衆参文教関係議員からの回答 

 衆議院文教委員会、参議院文教化学委員会全員の議員にアンケートを送り、以下の方から回答がありました。(順序は到着順としました)

議員へアンケート項目

Q1、国立大学の独立行政法人化に賛成ですか、反対ですか。
Q2、国家公務員の25%削減に賛成ですか、反対ですか。  
Q3、大学予算を増やすことに賛成ですか、反対ですか。  
Q4、私大助成の大幅な増額に賛成ですか、反対ですか。  

回答

山原健二郎(衆 共産)
Q1、反対  Q2、反対  Q3、賛成  Q4、賛成

亀井 郁夫(参 自民)
Q1、賛成  Q2、賛成  Q3、賛成  Q4、賛成

山元  勉(衆 民主)
Q1、反対  Q2、反対  Q3、賛成  Q4、賛成

石井 郁子(衆 共産)
Q1、反対  Q2、反対  Q3、賛成  Q4、賛成

林  紀子(参 共産)
Q1、反対  Q2、反対  Q3、賛成  Q4、賛成

畑野 君枝(参 共産)
Q1、反対  Q2、反対  Q3、賛成  Q4、賛成
 
国立大学の独立行政法人化に(賛成・反対)する理由

山原健二郎(衆 共産)反対の理由

(1)独立行政法人にすることで、学問・研究等に”効率”を求めることになり、学問・文化を破壊する。

(2)教職員に短期目標をもたせることで長期にわたる研究を疎外することになる。

(3)学生にとっても大幅学費値上げにつながり、父母負担を大きくする。

亀井郁夫(参 自民)賛成の理由  

 国立大学の活性化を図るためには現在のぬるま湯的な風土の改革が是非必要であり、硬直化した国立大学の風土の改革が糸口となるかに可能性がある。

山元 勉(衆 民主)反対の理由

 国立大学の独立行政法人化により、どれほど大学の自主性・効率化がはかられるのか、また、 学生・教職員の教育研究活動等諸環境が充実・発展するのかなど根本的議論が欠如している。

石井郁子(衆 共産)反対の理由

 独立行政法人通則法によれば主務大臣による中期目標の策定、認可、政府機関による評価など学問研究、教育の自律性、大学の自治を侵すものである。大学別、学部別授業料導入の道をひらくなど国民の教育権の保障にとっても重大である。高等教育の条件、整備は国の責務であり、その放棄は許されない。

林 紀子 (参 共産)反対の理由

 独立行政法人かは日本の高等教育の将来のあり方から出発したものではなく、行政改革の一環として効率化を目標にはじまったので、今後、予算も人員も削減されることは明らかです。「通則法」の基本は維持され大臣が人事権を握り、目標設定を行い評価することで基礎研究は切りすてられ、学問・研究の自由は侵害されます。また地方大学の切りすてで教育の機会均等は奪われます。教育予算を充実させることこそ国の責務です。

畑野君枝(参 共産)反対の理由

 国立大学独立行政法人化は「効率」を追究するものですが、それは、教育や学問研究、芸術追究の場にはなじみません。その名のもとで教育・研究の自由が侵される惧れがあります。日本共産党は、大学教員等に任期制を導入する法律案に反対しましたが、大学教員から自由を奪う任期制が独立行政法人化によって広がる懸念も大きい。同時に、学費の値上げも危惧されますが、これ以上の負担は到底耐えられるものではありません。

回答がなかった方々(敬称略)

○衆議院文教委員会

鈴 木 恒 夫(自民)
飯 島 忠 義(自民)
小 川   元(自民)
奥 山 茂 彦(自民)
栗 原 裕 康(自民)
肥 田 美代子(民主)
藤 村   修(民主)
西   博 義(明改)
松 浪 健四郎(自由)
岩 下 栄 一(自民)
岩 永 峯 一(自民)
小此木 八 郎(自民)
河 村 建 夫(自民)
倉 成 正 和(自民)
小 島 敏 男(自民)
下 村 博 文(自民)
平 沢 勝 栄(自民)
松 永   光(自民)
柳 沢 伯 夫(自民)
渡 辺 博 道(自民)
田 中   甲(民主)
松 沢 成 文(民主)
池 坊 保 子(明改)
旭道山 和 泰(明改)
笹 山 登 生(自由)
濱 田 健 一(社民)
粟 屋 敏 信(無)

○参議院 文教・科学委員会

佐藤  泰三 (自 民)
岩瀬  良三 (自 民)
橋本  聖子 (自 民)
石田  美栄 (民 主)
松  あきら (明 改)
日下部禧代子 (社 民)
阿南  一成 (自 民)
有馬  朗人 (自 民)
井上   裕 (自 民)
仲道  俊哉 (自 民)
長谷川 道郎 (自 民)
江本  孟紀 (民 主)
小宮山 洋子 (民 主)
本岡  昭次 (民 主)
福本  潤一 (明 改)
菅野   壽 (社 民)
扇   千景 (自 由)
田名部 匡省 (参 院)



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