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国大協大学評価に関する特別委員会WG最終報告
(2000.4.20 [he-forum 829] 国大協大学評価WG最終報告)PDF版がこちらのページに掲載されています。

大学評価に関する特別委員会ワーキング・グループ最終報告

平成12年3月30日

国立大学協会
大学評価に関する特別委員会ワーキング・グループ

まえがき

 大学評価に関する公的機関の設置が大学審議会において議論されはじめたのは平成10年春であった。国立大学協会は逸早くこれに対応して同年6月に本『大学評価に関する特別委員会』(委員長、阿部博之東北大学長)を設置し、それ以降、本委員会は2年近くにわたって活動を続けてきた。またその活動の過程で実質的な作業を行うために委員会内にワーキング・グループを設置し、座長に立川涼高知大学長(平成10年12月〜11年9月)、田中弘允鹿児島大学長(平成11年9月〜)が就いた。
 その間、大学審議会はその答申において大学評価を行う機関の設立の必要性を提言し、これを受けて平成11年4月には大学評価機関(仮称)創設準備室が設置され、創設準備委員会、専門委員会の検討を経て、12年2月には報告がまとめられた。これに対して本委員会は様々な形で国立大学として評価機関のあり方について検討を加え、各大学に情報を提供し、意見を集約するとともに、創設準備委員会にも要望を行ってきた。こうした本委員会の活動は、大学評価機関をめぐる議論にも、重要な影響を与えたと自負するものである。
 こうした経過を経て、本年4月には大学評価・学位授与機構が正式に発足し、評価の業務を始めることとなっているが、国立大学協会においても、本特別委員会を発展的に改組して、国立大学協会の第8常置委員会を設置し、その活動が始まろうとしていろ。これに際して、本ワーキング・グループは、これまでの経緯を簡単に整理し(第1節)、大学評価機関の将来について検討するべき問題点を整理する(第2節)とともに、今後、国立大学としてどのような対応が必要かを検討し(第3節)、これを本委員会の最終報告害とすることとした。
 これによって大学評価機関に関する現状と問題について各国立大学の構成員が認識を深められ、また新しく発足する第8常置委員会での議論の基礎としていただければ、これにすぎる慶びはない。

1 大学評価機関と本委員会の活動

 まずこれまでの大学評価機関をめぐっての国立大学協会と文部省、大学評価機関(仮称)創設準備室の活動の経緯を簡単に振り返り、本委員会の活動を総括するとともに、現在の状況の特徴を整理する。

これまでの経過

 附表に本委員会の設置以来の活動と、大学評価機関創設にかかわる主要な項目を、整理して示した。この表でカバーされる期間は、大手きく三つにわけて考えることができる。
 第一は、平成10(1998)年春から秋にかけての、大学評価機関に関する議論の立ち上げの時期である。主に国立大学を対象として第三者評価を行うことが大学審議会で提起され、これが6月の中間報告にも盛り込まれた。これに対して国立大学協会は6月の総会で、本「大学詳価に関する特別委員会」を、阿部東北大学長を委員長として設置するとともに、大学評価機関は大学関係者の参画を得て自律的に運営されるべきことなどを、国立大学協会会長名で文部省に対して申し入れた。さらに9月には、阿部委員長を研究代表者として科学研究費グループを結成して検討を始めた。
 第二は、平成10年12月から平成11(1999)年5月ころまでの期間、大学評価に関する特別委員会としての本格的な活動を始めた時期である。12月の特別委員会で、立川高知大学長を座長としてワーキング・グループが結成され、これを中心として大学評価機関の問題点について議論を行い、これを最終的に「大学評価機関に関する論点整理」としてまとめた。これと同時に、全国立大学長に対してアンケート調査を行い、その結果を「大学長アンケートまとめ」として作成し、6月の国大協総会前に全国立大学長に配布した。
 第三は、5月に大学評価機関(仮称)創設準備委員会が発足したが、それにともなって、議論の中心が大学評価機関(仮称)創設準備委員会に移行した時期である。この時期には国立大学の独立行政法人化の検討が始まり、大学評価機関と独立行攻法人化との関係も意識せざるを得ないことになった。創設準備委員会には専門委員会も設置され、国立大学を代表して、本委員会のメンバーもこれに参加した。その後、半年にわたって検討作業が続けられ、平成11(1999)年9月には創設準備委員会の中間報告が作成され、その直後には本委員会ワーキング・グループも中間報告を作成した。また大学評価機関の本格化にそなえて、11月には国立大学協会の総会において、大学評価を対象とする「第8常置委員会」を平成12年4月から発足させることが承認された。さらに平成12(2000)年2月には創設準備委員会の最終報告がまとめられ、大学評価機関の輸郭が定まった。こうした経緯を経て2月18日には「大学評価機関創設に関わる国立学校設置法改正案」が閣議決定され、さらに3月17日に成立した平成12年度予算案に「大学評価・学位授与機構」の設置が盛り込まれ、同機関の具体的な姿が定まったのである。

「論点整理」および「大学長アンケート」の果たした役割

上記のようにこれまでの経緯を振り返ると、本委員会の活動は、上述の「大学評価についての論点整理」、および各大学長のご協カを得て実施した「大学評価に関する大学長アンケート」に集約されているということができる。特にこの両者について、本委員会が果たした役割を現段階で簡単に総括するとすれば、以下のようになろう。

まず第一に、「論点整理」は大学評価をめぐる問題点について議論の枠組みを提供するものとなり、アンケートに各大学長の参加を得たことによって、国立大学間の一定のコンセンサスを形成する効果をもった。アンケートの実施以前は情報が十分でなかったこともあり、大学評価機関について様々な憶測があったが、ポジティブな方向での検討の契機を作ることができたと考える。ただしこのアンケートは学長の個人的な意見を問うたものであるので、大学の構成員全体での認識を意味するまでには至っていない。
第二に、学長アンケートによって各大学長の意見が集約されたことは、国立大学全体としての積極的な姿勢を明確に示すことにつながった。これは大学評価機関に対する国立大学としての発言に説得力を与えただけでなく、大学評価機関の立ち上げそのものにもプラスに働いたと思われる。しかしそれを、国立大学の主体性を活かした評価の実現に結びつけていくことは、これからの課題として残されている。
第三に、アンケートに集約された学長の意見は大学評価機関の活動形態について、具体的に議論するよりどころとなり、また広い視野からアイデアを提供する役割を果たした。「論点整理」、「学長アンケート」は、イギリス型の専門別研究・教育評価だけでなく、「テーマ別評価」、「大学評価データベース」などの考え方をも示唆している。この考え方は、専門分野別評価の完全な実施が短期間では困難であることが判明するにつれて、創設準備委員会における大学評価機関の構想案に取り入れられることになった。ただし、テーマ別評価は、諸外国でも例の少ない新しい評価の形態であって、そのテーマの設定や実施の方法に多くの問題点が残されており、さらに慎重な検討が必要とされることは後述のとおりである。
総じて、「論点整理」、「学長アンケート」は結果として、大学評価機関の立ち上げに積極的に寄与したと考える。国立大学として考えるべき間題点を整理し、またそれを国立大学の構成員に訴え、また意見を集約する、という方式は、この種の特別委員会の活動に重要な意味をもつものと考えられる。

創設準備委員会における検討

大学評価機関の性格を議論する場となったのは、平成11年5月に設置された「大学評価機関(仮称)創設準備委員会」、および同「専門委員会」である。前者の構成員は、その後委員の追加があって、国立大学長5人、公立・私立大学長3人、私立大学教員1人、学位授与機構長及び大学共同利用機関2人、学識経験者3人、企業・マスコミ経験者3人という構成であり、専門委員会は、大学教員8人(国立7人、私立1人)、大学共同利用機関2人、学位授与機構3人、という構成である。基本的な意思決定を行う創設準備委員会(親委員会)委員の背景は多様であり、大学の現状の認識や「大学評価」の理解も当然多様であったと思われる。
この委員会に対する国立大学としての意思表示は、国立大学側の参加委員からの発言に加えて、上述の本委員会の「論点整理」および「学長アンケート」が紹介されたことによって、国立大学全体に大学評価を積極的に支えていくコンセンサスがあること、しかし詳細については様々な間題点や懸念があることについて創設準備委員会委員の認識を深めてもらう上で意義があったと考える。
しかし他方で、この委員会の場での議論と関わりなく、大学評価機関の性格を決めるいくつかの重要な決定が行われたことも事実である。特に創設準備室の発足の時点で、大学評価機関が独自の新組織としてではなく、学位授与機構の改組という形で発足することが決まっていた点は重要である。我が国の大学全体にとってきわめて大きな意味をもつ大学評価機関を、その目的・業務内容が著しく異なる学位授与機構に統合する形で設置することについては、本特別委員会は賛同し難い旨を表明してきた。これに対して文部省からは、政府機関の総数が抑制されており、新規機関としての設置は困難であるとの説明があり、現実にはすでに学位授与機構との統合が既成事実化されることとなった。また大学評価機関の規模についても、教官・事務官合計120人を超すきわめて大規模の組織とする概算要求が行われることになった。

2 創設準備委員会の最終報告

以上のような経緯を経て、平成11(1999)年9月3日には創設準備委員会による大学評価機関の構想が『中間報告』としてまとめられ、さらに平成12(2000)年2月18目には『最終報告』が発表された。その詳細については同報告を参照していただきたいが、「開放的で進化するシステム」として柔軟な姿勢を盛り込むなど、国立大学側の意見がかなり反映されていることは評価されるべきであろう。しかし同時にこの報告によって、大学評価機関のあり方についてさらに検討を要する点が明確になってきている。それを以下の三つの点にまとめることができる。

評価機関の理念と組織運営

評価機閣の基本的な役割が、大学の外の視点から大学を評価し、それによって大学の自助的な改革を促して、教育研究の高度化、活性化をもたらすことにあることはいうまでもない。そうしたメカニズムが機能するためには、第一に、大学と社会との間に生産的な緊張関係が生み出されろこと、第二、にそれをバネとして大学が自らの組織の中から改革への意志と実践を生み出すこと、この二つが必須の条件となる。国立大学は、このような観点から大学評価機関を、自らの改革の契機として積極的に位置づけてきたのであり、全国立大学が事務職員定員を、大学評価機関に振り向けろという形で協力を行おうとしているのもそのためであった。しかし他方で大学評価機関が、独立の機関として大きな権力をもつことになることも事実である。組織的にも、新機関は常勤の教官および事務職員だけでも百人規模と、非常勤の評価委員を含めれば千人規模であり、小規模の大学を越え、予算も大きなものとなる。国際的にみても、評価機関としては最大規模といえるであろう。それは評価機関の課題からすれば当然ともいえる。しかしその一方で、このような規模の大きな組織は、ともすれば組織の存続を自己目的化しやすく、この機関が評価のための評価機関に陥る危険もないとはいえない。また評価結果が大学に大きな影響を与えることから、評価機関は巨大な権力をもつことにもなろう.個々の大学に活力を与え、教育、研究上の自律的なダイナミズムを支える、という大学評価の本来の理念が実現されるためには、大学評価機関のレイマンコントロール、運営の透明性が保証されることがきわめて重要であり、それによってわが国の大学評価の将来が決定されることにもなろう。
このことは大学評価機関の管理運営について、社会および大学の側の意見が十分に反映される機構を、明確に規定しておく必要があることを示している。また新機関において、大学評価と従来の学位授与機構の機能とが併存することから生じる管理運営の問題についても、十分に注意を払う必要がある。創設準備委員会においては、国立大学側の委員から、大学評価機関の活動の基木を決定する評議員会、運営委員会の運営の原則、構成員の選任等について意見が述べられ、報告にも活かされている。しかし管理運営については未決定の部分も多く、具体的な規定について、注意深く検討し、国立大学としての見解を述べていく必要がある。

テーマ別の評価

創設準備委員会報告は、大学評価の第一の形態として「全学テーマ別評価」をあげている。これは国立大学協会の「論点整理」でも一つの可能性としてあげたところであり、国立大学長アンケートにおいても、専門分野別よりもむしろこの形態での評価をまず積極的に考えるべきだとする意見が多かった。しかしこの形態の評価はすでに指摘したように、国際的にも前例が少なく、特にどのようなテーマを設定し、どのような方法で評価を行うかについては慎重な検討が必要である。

たとえばそのテーマの例として、創設準備委員会の中間報告は「大学の目的・機能を総合的に発揮するための全学的な大学運営」をまずあげている。たしかに大学の、組織運営体制の整備の必要性については大学審議会答申でも指摘され、それに応じて法律改正も行われた。しかしそれは、大学が今後に目指すべき改革課題そのものであり、当面の評価の対象テーマとして適切であるか否かについては更なる検討が必要である。また毎年度ごとに「数テーマ」が選ばれ、それに従って評価が行われろことになっているが、大学の側の対応の能カを考慮すれぱ、過大にすぎることが懸念される。行攻上の必要から改革課題の実現状況について報告をもとめられれば、大学側としては機械的に記述した報告を提出して形式を整えるということになりかねない。そうなれば本来の目的から逸脱してしまうことになるであろう。
 そうした状況が生じるのを避けるためには、国立大学の主体的な改善努力が活かせるテーマを設定することが望ましい。たとえば一般教養科目(全学共通科目)については、各大学において様々な改善の努力が行われ、それについての自己評価も行われている。また各大学で独自の調査や、様々な形での検討が行われ、改革が試みられている。そうした努力や成果を大学問で比較検討することは教育の活性化にきわめて有効であり、こうした点でこそ第三者による評価の意義は大きい。

 大学評価は、具体的な問題の所在が大学内で認識され、すでに組織的な改革努力が行われている場合にこそ大きな有効性を発揮する。大学の現状に即して、大学の主体的な改善努力を活性化するようなテーマと形態を設定することが、評価を効果あるものとし、ひいては大学改革の目的を長期的に達成させることになる。

独立行政法人化問題との関連

 いうまでもなく大学審議会答申が大学評価機関の設置を提言したのは、大学における教育研究の高度化、活性化を目的としてのことである。大学評価機関には、大学の教育研究の高度化、活性化に資する評価を行う、というきわめて困難な課題を達成する目的が与えられている。こうした本来の目的に照らして大学評価機関のあり方を議論することが、国立大学協会から本特別委員会に与えられた使命であった。このような姿勢は大学評価機関(仮称)創設準備委員会においても同様であろう。その中間報告に、独立行攻法人化との関連が全く触れられていないのは、その意味で当然である。

 しかしながら仮に、国立大学の独立行政法人化が実施されるとすれば、主務官庁たる文部科学省や総務省による評価と、大学評価機関との関連、それぞれの役割分担の問題が否応なく浮上してくる。大学評価と独立行攻法人化との関係は、学問の自由にも直接に関わる問題である。これについては、後述のように、国立大学協会としても今後、しかるべき場を設定して議論していく必要がある。

3 今後の検討課題

大学評価機関は平成12(2000)年4月に正式に設置され、その活動を開始するが、国立大学協会は新しく『第8常置委員会』を設置して、この問題に対処していくことになっている。これまでの経緯から、国立大学協会として留意する必要のある点を列挙すれば以下のようになろう。

大学評価機関への対処

国立大学協会が大学評価機関の創設にむけて、積極的に発言を行い、創設準備委員会の構想に、国立大学としての主張を反映させてきたことはすでに述べたとおりであり、評価されるべきであろう。
しかし、大学評価機関の管理運営体制、テーマ別評価におけるテーマの設定と実施方法などについては、最終報告でも必ずしも明確になっていない点が少なくない。そうした個別の論点を検討するにあたって常にその出発点とされねばならないのは、大学評価機関を、大学における教育研究の高度化、活性化への自律的な改善への挺子とする、という基本的な姿勢にほかならない。国立大学協会としては、今後とも一貫してこの評価の原点にたって主張を行っていくことが必要である。

大学評価機関では今後、いくつかのパイロット・プロジェクトを進行させつつ、評価の組織、内容、形態など具体的な点を固めていくことになるであろう。大学評価機関の評議員会、運営委員会、評価委員会にはそれぞれ委員として国立大学からも教官が参加することになり、こうした委員を通じて国立大学の意志が伝えられることになろう。しかしこうした委員会では具体的な点について詳細な議論が行われることは望みがたい。評価については細部が全体の性格を決めるという側面が強いことを考えると、細部についての情報を着実に入手し、国立大学協会としての検討を行う必要があろう。こうした意味での大学評価機関と国立大学協会との間の情報・意見交換の場を確保することが必要である

国立大学としての取り組み

大学評価についての国立大学協会の基本的な立場は、前述のように各大学の自律的な改革を支え、促すことを理念とした評価の実現を求めていくことにある。そのためには、国立大学全体の合意形成が重要であることはいうまでもない。これまで国立大学協会としての大学評価機関をめぐる議論は、本特別委員会と、各大学長のレベルで進められてきたが、状況が大きく進み、評価機関の概略が明らかになりつつある今、一般の教職員にも、情報を提供し、全学的な認識を深めることが必要である。
またそれとともに、各大学において、評価のための組織を確立し、整備していくことが必要である。各大学のそうした努力なしには、大学の自主性を活かした大学評価の実現は望み難い。現実的に、来年度には大学評価機関による評価活動が始まり、各大学は対応を迫られることになる。大学評価機関から送られた調査票に、大学側が機械的に必要事項を記入する形で大学評価が進められることになれば、大学評価が本来の目的を達し得ないことは改めていうまでもない。大学の側に、教職員による自主的な評価体制が確立され、十分な活動能力が確立されていて初めて、大学は評価において主体性を発揮することができるのである。
各国立大学において、全学的な評価の責任の所在を明推にし、自己評価のため全学的な組繊を確立するべく早急に検討を進めることが必要である。またそうした体制の整備にむけて国立大学協会が一定の役割を果たすことも必要とされよう。たとえば、各国立大学の評価組織の責任者を集めたシンポジウムの開催なども考慮に値する。国立大学をめぐる状況が大きく変化しつつある今、国立大学協会の果たすべき役割も変化していく必要があるように思われる。

国立大学協会としての検討課題

 大学評価機関が近い将来に、日本の大学のあり方に大きな影響を与える組織になることは疑いない。国立大学は、それぞれに自律的な評価体制の確立にむけての努カをするとともに、一つの集団として国立大学協会を通して大学評価機関のあり方について常に客観的・批判的な眼をむけ、評価を受ける側の意見を反映させていくことが、大学評価の健全なあり方を実現する重要な条件である。こうした意味で大学評価機関は国立大学自体の命運を左右することにもなろう。そうした観点から、新しく活動を始める第8常置委員会はきわめて重要な役割を担っている。
 また、前述のように大学評価機関と深い関わりをもつ独立行攻法人化の問題について、本特別委員会ではこれまで両者を直接に関連させて議論することはなかった。しかし、国立大学協会としては、これら二つの問題を有機的に関連させて議論していかなければならないことはいうまでもない。当面は、第8常置委員会での議論と、第1常置委員会における独立行政法人化をめぐる議論との調整を図り、文部省あるいは大学評価機関への対応についても相互に意見の交流を図る必要がある。
第三者機関による大学評価の実施と、独立行政法人化の構想によって、国立大学がいま大きな転換点に立たされていることは疑いない。本特別委員会のこれまでの活動経過、現在の課題の検討を通じて痛感されるのは、国立大学協会がこのような環境の中にあって更に積極的な役割を果たす必要性である。そうした長期的な展望のもとに、大学評価の問題について議論を続けていく必要があろう。

以上

附表:大学評価機関に関する主な経緯


 
国立大学協会
文部省・大学評価機関(仮称)創設準備委員会
1998年
6月
国大協総会「大学評価に関する特別委員会」設置 大学審議会中間報告、第三者評価機関を提言
7月 大学評価に関する特別委員会(16日)  
8月 大学評価に関する特別委員会(31日)  
10月 科学研究費による研究会設置 大学審議会中間報告、第三者評価機関を提言
11月

大学評価に関する特別委員会(4日)

国大協総会(11、12日)
 「第三者評価機関による評価にあたっての留意点」説明

 「要望書」を文部省に提出

創設準備室設置を概算要求
12月 大学評価に関する特別委員会(22日)  
1999年
1月

大学評価に関する特別委員会WG(11日)

大学評価に関する特別委員会WG(25日)
「大学評価機関についての考え方」について議論

 
2月

大学評価に関する特別委員会(4日)

「大学評価機関についての論点整理」
学長アンケートについて議論

 
4月

大学評価に関する特別委員会(2日)

学長アンケート調査を決定

「大学評価機関についての意見送付のお願い」(学長アンケート)および「論点整理」を各大学長に送付

大学評価機関(仮称)創設準備室創設(1日) 教官1 事務官2

学位授与機構に組織的には統合

5月 学長アンケート締め切り、「学長アンケートのまとめ」案を特別委員会委員に送付(6日)

第1回創設準備委員会(25日)

第1回専門委員会(26日)

6月

大学群価に関する特別委員会(4日)

「学長アンケートのまとめ」承認

「学長アンケートまとめ」各大学長に送付

国大協総会(15、16日)

「大学評価に関する特別委員会からの報告」「要望言」を大学評価機関(仮称)創設準備委員会委員長に提出

大学評価に関する特別委員会(29日)文部省から、新機関の活勤内容、組織、規模などについて原案説明

文部省国立大学の独立行政法人化について各大学での検討を要請

第2回専門委員会(22日)

第3回専門委員会(30日)

7月 会長声明「大学評価機関(仮称)の創設への協力・支援について」(26日)

第2回創設準備委員会(7日)

第4回専門委員会(12日)

第5回専門委員(21日)

第6回専門委員会(26日)

8月

大学評価に関する特別委員会(13日)

文部省から概算要求案の説明

第3回創設準備委員会(3日)

第7回専門委員会(12日)

第8回専門委員会(26日)

9月 「大学評価に関する特別委員会WG中間報告」(8日)を各大学長に送付

第4回創設設準備委員会(3日)

「中間報告」発表

第9回専門委員会(30日)

10月  

第5回創設準備委員会(21日)

第10回専門委員会(22日)

11月 国立大学協会総会において大学評価を担当する『第8常置委員会』設置を決定(平成12年4月1日発足) 第11回専門委員会(26日)
12月 大学評価に関する特別委員会(24日)

第12回専門委員会(9日)

第6回創設準備委員会(15日)

2000年
1月
 

第13回専門委員会(9日)

第7回創設準備委員会(21日)

2月 大学評価に関する特別委員会委員長談話「大学評価機関創設に係る国立学校設置法改案について(閣議決定を受けて)」(18日)

大学評価機関(仮称)創設準備委員会「大学評価機関の創設について(報告)」

大学評価機関創設に関わる国立学校設置法改正案が閣議決定(18日)

大学評価に関する特別委員会ワーキング・グループ


座 長 田中弘允(鹿児島大学長)
委 員 丹保憲仁:(北海道大学長)
阿部博之(東北大学長)
金子元久(東京大学教授)
松尾稔(名古屋大学長)
天野郁夫(国立学校財務センター教授)




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