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東京新聞(4/16)解説、Q&A
(2000.4.17 [he-forum 824] 東京新聞04/16)
『東京新聞』2000年4月16日付
かいせつアベニュー
大学評価・学位授与機構が発足
公正・客観的評価を
Q 大学を評価する機関ができたそうだが。
A 「学位授与機構」を母体に、四月から大学共同利用機関の「大学評価・学位授与機構」(木村孟機構長)がスタートしました。
専門家らが教育、研究活動や社会への貢献などを多面的に評価し、その結果を大学に返します。「評価委員会」の下に、テーマ、分野ごとに十九の「専門委員会」があり、テーマ別は毎年、分野別は五年周期で評価します。対象は主に国立大ですが、公私立大の評価も視野に入れています。
専門家による評価(ピア・レビュー)以外に、学生の授業評価や企業の評価も導入されそうです。
Q どうして大学を評価することになったのか。
A 国立大は、国の財政に支えられる存在でありながら、研究や教育の中身についてあまり外部の評価を受けてきませんでした。特に、教育については学外の目にさらされることはまれで、学部、学科ごとに多様な特色を持つはずの大学が、東京大学を筆頭とする偏差値上の序列に位置づけられたり、教官が研究に比べて教育を軽視しがちなことが問題になっています。
そこで、利害関係のない第三者に大学を客観的に評価してもらい、カリキュラムや運営の改善に役立てたり、大学の活動状況を社会に対して明らかにしていこうというのです。
Q 評価の結果で、予算配分も変わるのか。
A 同機関の創設準備委員会報告では「必要と判断した場合は、結果を配分指標として活用できる」と書かれています。文部省では本年度から、教官数などに応じて各国立大に一律に配分する予算を三分の一に減らしました。残りの三分の二については、将来、評価の結果が影響する可能性があります。
Q 国立大の独立行政法人化との関係は?
A 独立行政法人通則法では、主務省に置く評価委員会による評価が義務づけられています。国立大は早ければ二〇〇三年度から順次独法化されるとみられますが、文部省では「大学の自治」に配慮して、省内の評価委ではなく、大学評価・学位授与機構による第三者評価とするよう特例を設ける方針です。
Q 評価によって、大学はよくなるのか。
A 評価の中身によるでしょう。公正で客観的な評価が行われなければ、労多くして得るところが少ないことも考えられます。
(社会部・加古陽治)