独行法反対首都圏ネットワーク

和歌山大学意見広告
(2000.4.14 [he-forum 820] 和歌山大学意見広告)

 和歌山大学では4月11日付朝日新聞和歌山版に意見広告を掲載しました。
 経費は和歌山大学教職員有志116名,卒業生,名誉教授,市民,86名,および3市民団体のカンパによるものです。なお,レイアウトした原版を

 http://www.shinobuchan.edu.wakayama-u.ac.jp

 に載せています。

和歌山大学教職員組合執行委員長  奥  忍

-------------------

和歌山県から国立大学をなくさないで下さい

国立大学が法人化されようとしています
 法人化構想は「25%の国家公務員削減」を数あわせとして国立大学に適用しようとするものです。高等教育について国民の合意を得ないまま「行財政改革」を目的として国立大学が切り捨てられようとしています。この構想は和歌山県とわが国の学問・文化の将来に深刻な危機を招くと考えます。このような動きに対して国立大学協会は反対し,中でも地方の国立大学の学長が危機感を表明しています。

21世紀を保障するのは学術・文化の充実です
 いまの日本社会は企業倒産,失業の増大,原発事故,自然破壊,学級崩壊,不登校,いじめで自殺など,生活,経済,教育すべてにわたって大変な状況です。「知性と文化」が切実に求められている時代です。世界の多くの国々が教育をますます重視し,投資をしています。高等教育の財政基盤が欧米に比べて著しく低い日本で,国立大学
がリストラされたら21世紀の日本はどうなるのでしょうか。(左図参照)

先進諸国の中で高等教育費がもっとも少ないのは日本です        
高等教育費への公財政支出の各国比較
<対国内総生産 (GDP) 比及び一般政府総支出比>
「OECD教育インディケータ集」1997年版 より
(図 省略)

法人化は, 経営効率の視点だけで大学を評価します
 すべての国立大学が,立地条件・規模を無視して競争を強いられます。人口の少ない和歌山県にある小規模な和歌山大学は近隣府県の大規模大学に吸収されたり,消滅する危険性があります。また,すぐに成果のでない基礎研究は進めにくくなります。

法人化されると授業料が高騰します
 現在,和歌山大学の授業料が全大学経費に占める割合は約4分の1,他のほとんどが国の経費です。しかし,法人化されると国からの財政支出が削減され、大学の教育・研究の基盤そのものが不安定な状態におかれます。教育条件の劣悪化は必至です。授業料の大幅な値上げによって裕福な家庭の子どもでないと入学できなくなるでしょう。
 
和歌山大学はこんな役割を果たしてきました
 和歌山大学は地域の教育,文化,産業の発展に尽してきました。
経済学部は経済界に多くの優れた人材を送り出し,これまでこの地域の産業振興に貢献してきました。
 教育学部は和歌山県の教育関係者を数多く輩出し,地域の教育文化の向上に大きな役割を果たしてきました。和歌山県下の公立学校教員の多くは和歌山大学出身者です。
 今日的な子ども問題に関しては教育実践研究指導センターをはじめとしてさまざまな支援を行っています。
 システム工学部は4年前に創設され,先端をいく高度技術を日夜研究しています。卒業生が和歌山の産業と技術革新をリードする時代がやがてこようとしています。
 「生涯学習時代」といわれる21世紀を目前に,和歌山大学は近年,生涯学習教育研究センターや地域共同研究センターを設立しました。その他,地域のニーズに応えるべく,さまざまな研究開発を進めています。

大学の自主的な改革を進めます
 私たちは大学の現状に対する批判をしっかりと受け止め,教育・研究の質を高めていきます。
 県民のみなさまと一緒に,和歌山県の教育,文化,産業,経済の発展のために努力していきます。
 そのためにも現段階の法人化構想に反対の意志を表明し,みなさまの一層のご理解とご支援をお願いいたします。

 この意見広告は和歌山大学関係者および市民の方々からの寄付によるものです。

 最新情報→http://www.shinobuchan.edu.wakayama-u.ac.jp

 和歌山大学「国立大学の独立行政法人化」反対アピール実行委員会 (代表:碓井岑夫<教授・前教育学部長>) 〒640-8510 和歌山市栄谷930 和歌山大学内 お問い合わせ先 (事務局):Tel.&Fax. 73-452-3671)



目次に戻る

東職ホームページに戻る