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先端研究助成/欧米並み拡充(4/12日経)
(2000.4.13 [he-forum 816] 日経新聞04/12)
『日本経済新聞』2000年4月12日付
先端研究助成
欧米並み拡充
2001年度から5年計画
自民原案「テーマ公募」 年1兆円
2001年度から5年間の国の科学技術政策の方針を定める科学技術基本計画の自民党原案が11日、明らかになった。欧米に比べ後れをとっている情報通信やライフサイエンス、材料、環境の4分野に重点的に資源を投入。先端的・独創的な分野で研究者を競わせるために、研究テーマを公募して助成対象を決める「競争的資金」について、政府の科学技術関係予算に占める割合を欧米並みの3割に引き上げ、年間1兆円規模にする。次期計画の政府研究開発投資額に
関し、自民党は1996年度から5年間で17兆円の目標額を定めた現行計画の約30%増の22兆―23兆円を検討している。
「競争的資金」を重視するのは、研究現場に競争原理を導入し、効率を高めるためで、経団連など経済界からも要望が強い。日本の科学技術関係予算は2000年度で3兆3000億円だが、このうち競争的資金に当たるのは3000億円で8.9%にすぎない。
米国では科学技術予算10兆2000億円のうち、競争的資金は3兆5000億円と33.8%を占める。英国では科学技術予算が1兆3000億円と小さいとはいえ、競争的資金は5000億円と40.1%にも上る。次期計画では欧米との格差の是正を目指す。
産学連携の抜本的な拡充も求めている。30歳代半ばまでの若手研究者を積極的に登用したり、産業界との人材交流を促したりするため、一部の国立研究機関や大学にしか導入されていない任期付き任用制度を拡大する。自民党原案は党科学技術創造立国・情報通信研究開発推進調査会(山崎拓会長)がまとめた。
科学技術基本計画
自民原案の要旨
次期科学技術基本計画の自民党原案の要旨は次の通り。
<政府研究開発投資総額の拡充>
現行の科学技術基本計画における政府研究開発投資目標額17兆円の達成は、我が国の科学技術の活動を大いに活性化させた。次期基本計画の政府研究開発投資についても、現行計画の実績を踏まえて数値目標を設定することとし、さらに拡充を目指し検討する。
<研究開発投資の戦略的重点化>
情報通信、 ライフサイエンス、材料及び環境の4分野に重点を置き、集中的に資源を投入する。ナノテクノロジーのような将来大きな発展を秘めているものについて機を逸することなく戦略的に取り組む。
<産学官連携の抜本的拡充>
大学、国立研究機関等、民間企業の3者間の人材、資金、成果の流れを妨げる壁を取り払う。若手研究者任期制の広範な普及などを進める。大学等の研究者が持てる能力を外部からの評価に即し、柔軟に活用できる仕組み(研究者の収入の弾力化、自由な時間の拡大、兼業の弾力化及び手続きの簡素化など)を構築する。
<競争的資金の拡充>
政府研究開発資金全体に占める競争的資金の割合について、欧米主要国(約3割程度)と同水準を目指し引き上げる。
<若手研究者の登用>
30歳代半ばまでの若手研究者が組織・体制を超えて登用され、独立し責任を持って研究を行える機会を増大する。
<大学の施設・設備の老朽化・狭隘化への対応>
次期基本計画の期間中に老朽化・狭隘化の解消のめどを確保する。