独行法反対首都圏ネットワーク

茨城大学の独立行政法人化に反対する意見表明
(2000.4.7 [he-forum 793] 法人化反対の意見表明と街頭行動(茨城大学教職組))

 4月4日午後4時、茨城大学教職員組合は、以下の意見表明を茨城県庁記者クラブで行いました。
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国立茨城大学の独立行政法人化に反対する意見表明

 私たち茨城大学教職員組合は国立大学の独立行政法人化に反対し、茨城大学の独立行政法人化に反対いたします。本日は、国立茨城大学の独立行政法人化反対について、広く県民の皆様にご理解いただきたく、記者会見の場で意見表明をさせていただきます。
 そもそも独立行政法人化は、行政改革の一環として出てきたものです。短期・中期目標を設定し、企業会計の原則で運営するなど、効率'性や市場原理の導入が主要な点で、将来の大学の教育や研究はどうあるぺきかということとは全く別の次元で発想されたのであり、私たちが求める大学の教育・研究と相容れるものではありません。文部省もさすがに独立行政法人に関わる通則法では無理であることを認識して、特例法や単独法の制定を考えているようですが、それによっても大学の自治や学問・研究の自由が守られる保障はないのです。現在でも日本の国立大学の予算は低く押さえられ、研究条件は他の先進国に比べ著しく劣悪な状態にあります。大学の改革を考えるならば、この問題の改善こそ急務です。
 独立行政法人化は、大学の研究・教育の充実につながらないばかりか、長期的な展望のもとになされ、短期には成果を上げることの困難な基礎的研究が軽んじられたり、大学間格差が一層広がり、授業料も大学・学部によって大幅に引き上げられる可能性すらあります。
 茨城大学は「地域に根ざす国立大学」として、地域の課題に応える様々な研究を重ね、また茨城県を中心に学生に大学教育を広く提供し、地域に多くの人材を送り出してきました。また聴講生制度や公開講座などを通じて県民の学術・文化の二一ズに応え、さらに行政や市民運動に対してはシンク・タンクの役割も担ってきました。
 独立行政法人化は、足腰の弱い地方国立大学には不利に働きます。私たちは、茨城大学が独立行政法人化することで、これまで行なってきた地方国立大学としての役割を果たすことが困難になることを強く危惧するものです。独立行政法人化反対を広く県民の皆さんに訴えます。

2000年4月4日
茨城大学教職員組合
執行委員長  酒井はるみ
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 その後、5時より、水戸駅前でマイクによる市民への訴え、署名活動、ビラ配りなどの街頭行動を行いました。参加者は執行委員と書記の10名。集まった署名は19筆、配ったビラは800枚でした。
 
 翌日、読売新聞(茨城版)、茨城新聞、新いばらき新聞に記事が載りました。

『読売新聞(茨城版)』
茨城大学の独立行政法人化に反対
 教職組組合が意見表明。
 
 茨城大学教職員組合(酒井はるみ執行委員長、組合員248人)は四日、県庁で記者会見を開き、政府が検討中の国立大学の独立行政法人化問題について、同大学の独立行政法人化に反対する意見を表明した。 
 反対の理由として、独立法人化により大学経営にいっそう効率主義、市場原理、競争原理が求められるとした上で、(1)すぐに成果の表れる分野、外部資金が導入できる分野などの研究、教育が偏重される。(2)授業料の値上げは必至ーなどを挙げた。さらに「地方大学として、地域の産業、文化、教育に人材を送り出し、地域の課題にこたえる結果を生み出そうと研究してきた茨城大学固有の役割が果たせなくなるとの懸念がある」と訴えた。

『茨城新聞』
 独立行政法人化 茨大教組が反対

 国立大学の独立法人化に向けた動きが進む中、茨城大学教職員組合(酒井はるみ執行委員長)は四日、国立大学と茨城大学の独立行政法人化に反対する意見表明を行った。同日、酒井委員長らが県庁内で会見を行い、表明した。
 独立行政法人化は国の行革の一環で、効率性や市場原理の導入が狙い。昨年七月に独立行政法人通則法が成立しており、国立大学をこれに含めるかどうかが政府や国立大学協会などで議論されている。
 茨城大学教組は「独立行政法人化は大学の研究・教育の充実につながらず、地域に根差した大学としての役割を果たせなくなる懸念が強い」とし、「大学の自治や学問の自由が守られる保証もない」と強調した。

『新いばらき新聞』
競争で大学間格差拡大
授業料引き上げも招く
独立法人化反対で意見表明 茨城大学教職組

 茨城大学教職員組合(酒井はるみ執行委員長、組合員248人)は四日、文部省が検討している国立大学の独立行政法人化に反対する意見を表明した。意見では、法人化した場合、授業料の引き上げや大学間の競争により、地域大学としての役割を果たせない、としている。
 意見では、「独立行政法人化は短期・中期目標を設定し、企業会計の原則で運営するなど、効率性や市場原理の導入が主要で、将来の大学の教育や研究のあり方とは別次元の発想」などと批判。
 そのうえで、(1)大学の自治や学問・研究の自由が守られる保証がない。(2)独立行政法人化は短期間に成果を上げることが困難な基礎的研究が軽視される。(3)大学間格差が広がり、授業料も大学・学部によって大幅に引き上げられる可能性がある。(4)茨城大学が地域大学として果たしてきた役割が困難にあるーなどとして、反対を表明した。
 国立大学の独立行政法人化は国の行財政改革の一環として検討され、昨年九月の全国国立大学長会議で、文部省が独立行政法人通則法(昨年七月成立)による国立大の法人化が可能かについて、検討案を提示した。

以上。



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