独行法反対首都圏ネットワーク

茨城大学教職員有志の意見広告
(2000.4.7 [he-forum 791] 新聞意見広告(茨城大学教職員有志の会))

 多少、ニュースに流すのが遅れてしまいたが、
 茨城大学では「国立大学の独立行政法人化に反対する茨城大学教職員有志の会」を結成し、3月14日、以下の意見広告を茨城新聞社に載せました。

 私たちは茨城大学の独立行政法人化に反対します

◎独立行政法人とは?
 国立大学など国の行政機構の一部を切り離して、政府から独立した法人に任せていこうとするものです。独立法人は民間企業の経営形態に似ていますが、国は法人の経営について点検したり、役員を始めとする人事や経営内容の決定権をもっているので、個々の法人の自主性は大きく制約されています。

◎国立大学が独立行政法人になると?
 大学の経営は効率主義、市場原理、競争原理といった性格がいっそう強められます。したがって「すぐに成果の表れる分野」「他大学と競争できる分野」「外部資金が導入できる分野」の研究や教育に偏り、地味で長い期間を必要とする分野がいちじるしく軽視されてしまいます。今でさえ国家予算の中に占める大学予算の割合が先進諸国に比べて著しく低いのに、教育研究条件がさらに貧しくなり、大学間の格差がいっそう拡大してしまいます。授業料も大幅にアップし、学生や保護者の経済的負担の増大によって大学進学の不平等も拡大されてしまうでしょう。

◎地方国立大学としての茨城大学は?
 戦後教育改革によって、地方国立大学は広く国民に学問・文化を開放する重要な役割を担うことになりました。茨城大学もこれまで、「地域に根ざした国立大学」として茨城県を中心とした地域の若者たちに大学教育を広く提供し、産業、文化、教育に多くの人材を送り出し、また研究の面でも地域の課題に応える成果を生み出してきました。しかし、独立行政法人になると地方国立大学としての重要な役割を担っていくことが難しくなってしまいます。

◎私たちの訴え!
 国立大学の独立行政法人化構想は中央省庁の機構改革、国家公務員の削減を考える中で出されてきました。現在の大学をどのように改善すべきかという論議の中から出てきたものではありません。私たち教職員だけでなく、学生や進学希望の高校生とその保護者にとっても決してプラスにならないものであることは明らかです。さらに、地域社会のそして日本全体の学術、教育、文化の発展を著しく阻害してしまいます。今大学は困難な課題を抱えています。私たち茨城大学の教職員は、「競争による安上がりな大学」という乱暴な改革の方向に反対し、より充実した教育と研究のために努力しています。

2000年3月14日

国立大学の独立行政法人化に反対する茨城大学教職員有志の会
人文学部代表 金原實 田中重博 深澤安博 守屋孝彦
教育学部代表 大槻功 酒井はるみ 三浦忠雄 森啓
理学部代表  塩見正衛 田切美智雄 野田二次男 藤井有起

この意見広告には多くの卒業生・名誉教授からもご協力いただいています。



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