独行法反対首都圏ネットワーク

横浜国大教職組の特別決議
(2000.4.6 [he-forum 788] 横浜国立大学教職員組合代議員会特別決議)

 横浜国立大学教職員組合では、先日、組織改革のための臨時代議員会をひらきましたが、その際、「国立大学の独立行政法人化に反対する」「日の丸掲揚・君が代斉唱の強制について」の2本の特別決議を採択しましたので、ご紹介します。

国立大学の独立行政法人化に反対する

2000年3月29日
横浜国立大学教職員組合代議員会特別決議

 昨年9月20日、国立大学の独立行政法人化の「検討の方向」を提示した文部省は、2000年度の早い時期に結論を出すとしています。
 もともと「独立行政法人」という制度は、行財政改革の一環として、国の行政組織の減量・効率化をめざして構想されたものです。行政の機能を「企画立案」と「実施」に分離し、「実施」を「独立行政法人」に委ねることによって、「企画立案」を担う行政組織を減量化し、効率化を図るというものです。このような制度は、定型的業務を大量に行う分野に適用されるものであり、教育・研究の分野にはそもそもなじまないものです。
 文部省が提示した「検討の方向」では、国立大学の教育研究の特性を踏まえた特例措置を求めるとしていますが、「独立行政法人通則法」の枠内で個別法を作成するというものであり、この制度を国立大学に適用したときの弊害を取り除くものとは言えません。
 「通則法」が適用されることによる主な問題点としては、次の点があげられます。
 第1に、主務大臣による法人の長・監事・役員の任命、中期目標の決定・指示、中期計画の認可、中期計画終了時の主務省の評価委員会と総務省の組織の改廃を含めた評価という事前及び事後の国の強い統制の仕組みによって、大学の自治、学問の自由が脅かされ、国民が期待する自主的で創造的な教育研究の展開が妨げられます。文部省は、評価委員会が主務省に意見表明する際に教育研究事項に限って大学評価・学位授与機構の判断を踏まえる特例措置を盛り込むとしていますが、大枠の仕組みを変化させるものではありません。
 第2に、中期計画期間である3〜5年という短期間で目に見える「効率化」が求められるなら、経済的な利益と直結する「もうかる研究」に傾斜してしまったり、息の長い基礎科学や文化芸術などの学術分野は片隅に追いやられ、教育や学術・文化のバランスのとれた発展が損なわれます。
 第3に、独立行政法人の運営は企業会計原則によるとされ、独立採算ではないにしても経済効率を高める運営が求められます。財政基盤が弱く、資金獲得の困難な地方大学や特定の学部・学科では、授業料を大幅に引き上げざるをえず、国民の高等教育を受ける機会を制約するおそれがあります。また、大学・学部・学科の再編統廃合が行われるおそれがあります。
 高等教育における国や地方自治体の支出はGNP比で日本は0.7%に対して、アメリカは1.2%、ドイツは1.5%と相当の開きがあります。政府の行うべきことは、まずは、高等教育と学術研究の発展のため、研究教育の財政基盤を充実発展させることではないでしょうか。
 私たち横浜国立大学教職員組合は、通則法の枠組みに基づく国立大学の「独法化」に対して、断固、反対の意思を表明します。

日の丸掲揚・君が代斉唱の強制について

2000年3月29日
横浜国立大学教職員組合代議員会特別決議

 昨年、8月13日、日の丸・君が代を国旗・国歌とする法律が公布・施行されました。それ以降、日の丸掲揚・君が代斉唱を強制する動きが学校行事等で強まっています。横浜国立大学でも「天皇在位10周年記念式典」の当日、事務局前に日の丸が二本掲揚され、また、「横浜国立大学創立50周年記念式典」でも日の丸が設置されたと聞いています。
 私たちの日の丸や君が代に対する思いや考え方はさまざまですが、大学は、構成員の自由闊達な論議と、それを基礎とした自治によって運営されるべきであり、思想・良心の自由と言論の自由、自治と自律を必須のものとする組織だと考えます。それゆえ、日の丸掲揚・君が代斉唱が強制されることには反対です。



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