独行法反対首都圏ネットワーク

国立大学の独立行政法人化は医学医療に悪影響を与えます
/国民医療研究所幹事会
(2000.2.23 国民医療研究所幹事会)

国立大学の独立行政法人化は医学医療に悪影響を与えます
(アピ−ル)

 私たちは国民医療の確立を目指して研究活動を行っている団体です。
 今、政府・文部省は国立大学を「独立行政法人」にしようとしています。この「独立行政法人」は、昨年7月に国会で成立した「通則法」にもとづいてつくられるもので、「行政のスリム化、効率化」が目的とされ、すでに国立病院や国立の試験研究機関の移行が決定されており、私たちはこのことに反対してきました。
 国立大学は通則法のままでは法人化できないので、文部省は「大学の自主性・自律性の確保」等を盛り込んだ「特例措置等」をとることを条件に法人化しようとしています。
 私たちは、このことに、主に以下の理由で反対します。

1.国立大学の独立行政法人化は、上記の「特例措置等」を取ったとしても、大臣が大学の教育研究の目標を指示したり、計画を認可したりすることから、憲法で保障されている学問の自由と大学の自治を侵すおそれがあります。このことは、「東京大学の設置形態に関する検討会報告」をはじめ、多くの大学関係者から指摘されているところです。

2.国立大学の独立行政法人化は、5年という期間を設定して「外部有識者」等が評価をおこなうことから、長期的研究・教育になじみません。医学分野で言えば、基礎医学の研究・教育は、ますます衰退させられるおそれがあります。

3.国立大学の独立行政法人化は、「企業会計原則」を導入することから、国立大学を市場原理にゆだねることになり、種々の弊害が生ずることが予想されます。大学病院のあるところは、その収入が大学の収入源として期待されることになり、病院の医療の営利化に拍車がかけられ、差額ベッドの拡大等、患者負担が重くなることが心配されます。

4.国立大学の独立行政法人化は、学生の授業料大幅引き上げをもたらします。とりわけ医学関係学部では学費が高騰し、教育の機会均等の原則は破壊されてしまいます。

 以上のことから、私たちは、文部省が国立大学の独立行政法人化の企図を断念し、先進国の中で極めて少ない高等教育費への公財政支出割合(対GDP比が0.5%で、米英仏独など14か国中最下位)を大幅に引き上げることを強く求めます。また、国立大学の自主的・主体的改革を期待します。

2000年2月23日
国民医療研究所幹事会



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