独行法反対首都圏ネットワーク

平和と民主主義の希求・確立を逆行させる「国立大学の独立行政法人化」に強く反対する(声明)
(2000.2.22 平和と民主主義のための研究団体連絡会議 幹事団体会議)

 1998年夏に発足した小測内閣は、「健全で創造的な競争社会の構築」を唱い、その一環として「民営化も視野に入れて」国立大学の独立行政法人化(独法化)の方針を打ち出した。そして、1999年7月に成立させた「独立行政法人通則法」を踏まえ、文部省がその具体化を進めている。
 現在までに明らかになった文部省の方針は、通則法のままでは独法化はできないので、「大学の自主性・自律性の保障」等を盛り込んだ「特例措置等」をはかって、独法化を行おうというものである。しかし、いくら「特例措置等」をはかったところで、独立行政法人制度の基本的枠組みは変えない以上、「大学の自主性・自律性の保障」等が基本的に確保されるとはとうてい言えない。
 例えば、独法化された場合、各法人に対し主務大臣たる文部科学大臣が5年の中期目標を「指示」し、各法人はそれに基づき中期計画を作成し、大臣の認可を受けることとなっている。文部省は、「大臣に各大学からの事前の意見聴取義務を課す」などの方針を示しているが、決定権はあくまで大臣に属するのである。また、各法人は毎年度及び5年毎に業績評価を受けるが、評価を行う「外部有識者」には、財界人や、その意を受けた「大学関係者」が任命されることが予想される。そして、評価の結果次第では、その法人は、たとえ「意見聴取」があったところで、結局のところ、中期目標の変更や改廃を命ぜられるのである。法人の長たる学長の選考は、「評議会によリ実質的な選考が行われるよう」にとされており、少数の意志で選考が行われる危険がある。
 このような独法化は、国立大学を「国策」に沿う教育研究機関に作りかえ、上意下達の非民主的な「行政」機関へと変質させる意図が明示されていると言わざるをえない。もしかかる意図が具現されるならば、早晩、公私立大学も含む日本の大学における「学問の自由」「大学の自治」は破壊され、日本国民の平和と民主主義の希求・確立の願いとは逆行する事態が生じせしめられるであろう。ここにおいて、私たちは、昨年夏に「周辺事態法」という名の戦争遂行法や、盗聴法、日の丸君が代法制化等々日本国憲法に背弛する数々の悪法を強行成立させたのも同じ小測内閣であったことに思い至らざるを得ない。
 日本と世界の平和と民主主義の確立を願う私たち研究団体は、日本国民の平和と民主主義の希求・確立の願いを逆行させる国立大学の独立行政法人化に強く反対し、その即時撤回を求め、ここに声明する。

2000年2月22日

平和と民主主義のための研究団体連絡会議
幹事団体会議



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