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「独立法人化に大幅な政府援助必要」神戸大学卒業式で学長式辞
(2000.3.30 [he-forum 763] Kobe Univ. News
Net 03/24)
神戸大ニュースネット2000年3月24日付
◎「独立法人化に大幅な政府援助必要」 卒業式で学長式辞
三月二十四日に行われた、卒業証書・修士学位記授与式(卒業式)の式辞で、神戸大の西塚泰美学長は、厳しい就職戦線に触れると同時に、独立行政法人化について「大幅な政府の援助がなければ大学存立の経済基盤はきわめて弱い」と指摘。卒業生の活躍が今後の神戸大の存続の意義を決する、と激励した。式辞の要旨は次のとおり。【3月24日 神戸大NEWS NET=UNN】
(前略)今年は就職が非常に難しかったようですが、皆さんは希望が適えられたかどうか大変心配しております。(中略)
国立大学については独立行政法人化の議論が続いております。これは国の財政状況と絡んで提出された問題ですが、大学が国家機関から分離独立する「いわゆる法人化」ということでありまして、本来は財政難とは無関係の課題であります。しかし、現状では様々な複雑な要因があって、事情は単純ではありません。日本では、欧米のように大規模な財団や企業が大学に巨額の財政援助を行うことがないので、大幅な政府の援助がなければ大学存立の経済基盤はきわめて弱いのであります。ことに、産業の発展が国家の存続には必須不可欠でありますが、それを支える自然科学の推進には膨大な資金を必要といたしますから、事柄は極めて深刻であります。このような状況下で国立大学を法人化する、つまり国家機関と切り離すかどうかは、間もなく政治的な判断が下されようとしております。しかし国立大学はその設置形態の如何にかかわらず、財源や資源が限られておりますから、本来の教育と学術研究を如何に推進しているかが大きく問われているのであります。
神戸大学はこのような状況において、現在、次の世代を育成するべき義務と責任を果たすべく、全教職員を挙げて、新しい独自の総合大学の構築のために全力を傾注しております。(中略)昨年、大学院総合人間科学研究科の博士後期課程が設置され、(中略)戦前の総合大学と同じく、我が国における屈指の総合大学としての組織が完成したことになります。そして間もなく創立100周年を迎えようとしております。
(中略)神戸大学の存続の意義は神戸大学を卒業した皆さんの活躍が決することは火を見るより明らかであります。これから社会へ出る皆さん、どの道に進まれようともこの事を忘れず、神戸大学を卒業したことを誇りとして、自信をもって堂々と、世界に勇躍して頂きたく思います。皆さんに続く後輩達は皆さんの背を見て、皆さんに続くことを忘れないで欲しいと願っています。
(中略)大学の技術研究には、基礎研究と応用研究があるのではなく、あるのは良い研究か悪い研究かであって、良い研究にはそれが如何に小さい芽でも、世界が直ちに反応するというのが私の実感であります。これからも研究を続ける皆さんはどうかこの事を忘れないで、自信をもって日夜研究に励んで頂きたく切望しております。(後略)