独行法反対首都圏ネットワーク |
『科学新聞』2000年3月17日付記事
(2000.3.23 [he-forum 725] 科学新聞 03/17)
『科学新聞』2000年3月17日付
独法化と別に「国立大学法人」提案
自民党高等教育研究グループが素案
自主性・柔軟性など柱
国立大学の独立行政法人化問題や高等教育への公財政支出割合の問題などを検討している、自民党文教部会・文教制度調査会の高等教育研究グループ(座長=麻生太郎・衆議院議員)が、国立大学を独立行政法人とは別の形で法人化するとともに、教育面で個性を出している私学には手厚い財政措置をとるといった報告書を、3月中にまとめることが明らかになった。
自民党関係者によると、同研究グループは2月24日から3月9日までの間に計4回の会合で、国立大学長、私立大学長、各6人ずつと意見交換を行い、報告書の素案をまとめた。素案の骨子は、国立大学を独立行政法人通則法で縛られない独自の「国立大学法人」とすること、私立大学の多様性を促進するための私学助成を大幅に増やすこと―の2点。
1回目、2回目の会合では、国立大学六学長と意見交換を行い、高等教育政策について意見交換を行った。その中で、現在の独立行政法人通則法は国立大学には馴染まないものであり、通則法の中に特例法を設けても、「国立大学のあるべき姿」が損なわれる危険性があることから、「国立大学法人」を新たに設けることで一致した。
「国立大学法人」は、(1)自主的で柔軟な運営ができるよう各大学に法人格を与えるが独立行政法人通則法は適用しないこと、(2)当面は十分な財政支援を行うこと、(3)学長人事の大学自治、(4)中期計画は各大学が自主的に決めること、(5)各大学の評価は第三者評価機関が行うこと―などが基本となる。
研究グループの素案では、独立行政法人通則法は適用せずに新たな法律を作ることになるが、行革全体のスケジュールを考えると時間的には余裕がないため、通則法に特例法を設けて実施するとの見方が強い。ただし、「国立大学法人」は通則法の根本原則を覆すことになるため、実現の可能性については不透明だ。
3回目、4回目の会合には6人の私立大学長、理事長が出席。私立大学への公財政支出が少ないこと、優遇税制措置が米国に比べ弱いこと、国立大学への財政措置を維持したままで私学助成を増やすべきであることなどが指摘された。その上で、私学助成に関しては、研究面での評価だけでなく教育面の評価など多元的な評価を行った上で、大幅に増加させるべきであるとの意見で一致した。
入試科目の多様化などにより、学部・学科に合った学生を受け入れ優秀な人材を育成する私学には手厚い予算措置をするが、レベルや内容に合っていない入試や教育をしている私学への助成は削減していく。また、企業等からの寄付を促進するため、米国並みの全額損金算入などの税制改正を行っていく。