独行法反対首都圏ネットワーク

神戸大学の現状と将来
神戸大学将来構想検討ワーキンググループ第1次報告案要旨
(2000.3.22 [he-forum 722] 神戸大学将来構想に関する3月3日記者会見配付資料)

神戸大学将来構想に関する3月3日記者会見配付資料

神戸大学の現状と将来

神戸大学将来構想検討ワーキンググループ第1次報告案要旨

座長 副学長 谷 武幸
委員 副学長 片岡 邦夫
附属図書館長 利根川 孝
文学部長 鈴木 正幸
国際文化学部長 橋本 隆夫
法学部長 安永 正昭
理学部長 佐々木 武
医学部長 山村 博平

[1]はじめに
 神戸大学は、昭和24年の新制大学としての発足以来、歴史的経緯がまったく異なるさまざまな学部の統合を図りながら、特色ある総合大学をめざして、多くの改革を実行してきた。しかしながら、全部局に大学院博士課程を設置するという当面の目標を平成11年度において達成した現在、しかも大学評価,学位授与機構による大学評価がはじまろうとするなかで、国立大学の独立行攻法人化への動きがみられる状況において、神戸大学の将来を構想することが求められている。以下、次世代への大学の義務と役割を考え、また新たな価値を創造しうる大学を構築するという視点から、特色ある総合大学としての神戸大学の将来像を描くことにする。

[2]神戸大学改革の経緯
 最初に,神戸大学の将来を構想する準備として.平成4年度以降を申心に大学改革の経緯を整理しておこう。

(1)教育環境の整備
 平成4年度における教養部の解体と教育学部の改組、およびこれに伴う国際文化部・発達科学部の発足

(2)全部局に大学院博士課程(博士学位授与権)設置
 平成7年度に国際協カ研究科、平成11年度に総合人間研究科に大学院博士課程が設置されたことに伴い、文化学研究科(昭和55年度)、法学研究科(昭和28年度).経済学研究科(昭和28年度)、経営学研究科(昭和28年度)、医学系研究科(昭和32年度),自然科学研究科(昭和56年度)と、すべての部局に大学院博士課程を設置。

(3)一般(基礎)教育の充実
 神戸大学教育システム検対委員会の答申(平成8年12月)を受けて、大学教育委員会および大学教育研究セシター運営委員会において、平成13年度からの実施に向けて基礎教育の充実を検討中。

(4)研究環境の整備
 総合情報処理センター(昭和57年度)、共同研究開発センター(昭和62年度)、遺伝子実験施設(昭和63年度),パイオシグナル研究センター(平成2年度)、機器分析センター(平成6年度)、内海域機能教育研究センター(平成7年度)、都市安全研究センター(平成8年度)、アイソトープ総合センター(平成8年度)、べンチャー・ビジネス・ラボラトリー(平成8年度)などの研究センターや教育研究支援センターを設置。

[3]神戸大学の将来に向けて
 神戸大学の改革をさらに進めるために、昨年来、各種の委員会を設置して検討を進めている。

1.管理運営  座長  副学長          谷 武幸
2.教育改革  座長  副学長          谷 武幸
            大学教育研究センター長  土屋 基規
3.研究推進  座長  附属図書館長       利根川 孝
4.学  務  座長  学生部長         植松 忠博
5.財  務  座長  副学長          片岡 邦夫
6.教育研究施設 座長 副学長          片岡 邦夫

 また、将来構想検討ワーキンググループを設置し,検討を継続中であるが、最終報告は平成12年4月発足の神戸大学運営諮問会議(委員名は別紙)に諮問した上で、実現に向けた具体案を策定していく。

 将来構想検討ワーキンググループが基本姿勢としたのは、以下の3点である。

1.次世代への大学の義務と役割
2.世界の動向を踏まえて、新たな価値を創造しうる大学の構想
3.独自の総台大学の構築

[4]現状と構想
(1)神戸大学の現状の概略
 構想を神戸大学の将来を展望する観点から、現状を概観すると、以下の通りである。

1.全部局に大学院博士課程を設置
 すでに述べたように、平成11年度において.全部局で大学院博士課程が設置された。旧制7総合大学および筑波大学とともに、9総合大学の一翼を担うものであり,大学院における商度な教育研究の更なる活性化が社会的に要請されているところである。

2.大学院重点化の実現
 社会科学系の部局において、経営学研究科が平成10年度から.法学研究科と経済学研究科が平成12年度に、大学院における教育研究の重点化を実現した。

3.四大学術系列(ゾーン)の設置
 神戸大学では、総合大学のなかでも特に四大学術系列が全般的に整備されている。

 a)人文科学系 文学部,国際文化学部/文化学研究科
 b)社会科学系 法学部,経済学部,経営学部/法学研究科,経済学研究科、経営学研究科、国際協力研究科/経済経営研究所
 c)自然科学(理工科学)系 建学部,工学部,農学部/自然科学研究科
 d)生命科学系 医学部,理学部,農学部ソ医学系研究科、自然科学研究科/パイオシグナル研究センター、内海域機能研究センター
 (複合領域)発達科学部/総合人間科学研究科/都市安全研究センター

(2)神戸大学の将来構想

 神戸大学の現状をざらに発展させるとともに、次世代への大学の義務と役割を考え、新たな価値を創造しうる特色のある総合大学を構想ずると、以下の改革が必要とされている。

1.四大学術系列(ゾーン)構想の推進
 教育研究における広い視点の必要性から,人文科学系,社会科学系,自然科学(理工科学)系,生命科学系の四大学術分野において,それぞれの学術研究の融合を図り、その視点より学部,大学院の教育、教育環境および研究環境等を整備する。特に、生命科学系においては,この分野における基礎研究と応用研究の融合と活性化を図るため、学部・大学院を改組し、新たに生命科学研究科を設置することが緊急の課題となる。

2.高度の教育研究大学としての活性化に向けた教官組織の改革
 国の内外の要請に応えて高度の研究を行い、また商度の教育を弾力的に行う環境を整備するため、全大学院に教授会を設置し,教官組織を大学院に置く。

3.基礎教育の重視と教育体系の確立
 次世代育成ヘの大学の義務を遂行するため,学部基礎教育を重視し,かつ教養基礎教育,学部専門教育,大学院教育の段階的な体系を構築する。平成3年度の大学設置基準大綱化を受けた基礎教育の体制を再検討し、上記「ゾーン構想」をペースとして,教養基礎教育の体制を再構築する。

4.高度専門領域における教育研究の推進
 時代の要請に鑑み,社会科学系においてはロースクールおよびビジネススクールを設置し、また医療においては高度先進医療,災害救急,福祉医療等の教育研究体制を推進する。また、新産業育成に向けて、産・学・官の連繋を強化する。



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