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自・文教部会・文教制度調査会 教育改革実施本部
高等教育研究グループの概要(3/14)
(2000.3.21 [he-forum 719] 自民党高等教育研究グループ資料(5))
自・文教部会・文教制度調査会 教育改革実施本部
高等教育研究グループの概要
日時: 平成12年3月14日(火)14:30〜15:50
場所: 自民党本部リバティークラブ4号室
出席: 麻生太郎(主査)、森山真弓(本部長)、政調事務局松本氏ほか
清水司中央教育審議会元会長、潮木守一武蔵野女子大学学長、生駒俊明日本テキサスインスツルメント(株)社長
(1)主査挨拶
(2)高等教育政策について、各学長から意見陳述があった。
(清水司中央教育審議会元会長)
・青年を社会に送り出すだけでなく、大学の持っている頭脳を社会に提供することが必要だ。
・大学を社会に開かれたものとし、生涯を通じ学びリフレッシュすることができる環境づくりを行うことが必要だ。
・自分で考え、判断し、行動する若者を育成することが、高等教育の大きな役割だ。
・学ぶ意欲、習慣を身につけさせることが重要であり、大学は即戦力として必要なことだけを教えるべきでない。
・大学にも経済原理を採り入れるべきだが、至上原理とすべきではない。
・地方の大学が均一化していることは問題であり、地方の産業や文化の基盤としての大学とするため、小規模大学も特色を出すことが必要だ。
・高等教育のグランドデザインが必要だが、地方自治体において、いったい何が必要なのかという観点から立案すべきであり、文部省がグランドデザインを出すのは難しい。
(生駒俊明日本テキサスインスツルメント(株)社長)
・高等教育政策を、日本の最重要政策とし、国私を問わず高等教育への公財政支出を先進国並に高めるべきだ。
・大学教育に市場原理を働かせ、教育の活性化を図るべきだ。
・大学の個性化を進めるべきだ。その際、教育型大学と研究・教育型大学を類型化し、前者は8割、後者は2割程度とすることも考えられる。
・大学教育には、「全人格教育」と「産業技術教育」の二つの性格がある。
・国全体として、どの分野にどれくらいの人数が必要なのかという、高等教育に関するグランドデザインが必要だ。
・大学の評価を学科単位で厳しく行い、その結果を公表することが必要だ。
・各分野の指導者を育てる観点から、教養や見識を身につけさせるための大学をつくることが必要だ。
・国立大学の独法化は、経済的効率原理が大学にはそぐわないことから、無理があるが、独法化の議論は、大学の変革の契機にはなる。
・大学の一般教員が大学の使命を考えるような意識改革が必要だ。その意味で法人化を検討するとすれば、(1)教員の身分を国家公務員としないこと、(2)学問の自由を守ること、(3)大学が教員人事の自由裁量権を持つことなどが、最低限の条件だ。
(潮木守一武蔵野女子大学長)
・国立大学には、社会的環境の変化を感じ取る仕組みが欠けている。
・私学は、絶えず情報収集を行い、市場のニーズに応えた教育を行っているが、国立大学にはこうした仕組みが無い。知識市場の需要に対応した学部教育が必要だ。
・講座制などによる既得権が、大学改革の妨げとなっている。
・国の政策として行うべき研究分野には、国は、長期的な資金投入計画などを策定する必要がある。ただし、国立大学だけに限定せず、最も実績を上げている機関に資金を投入すべきだ。
・市場原理の導入と並び、国家政策としての学術政策、科学政策が不可欠だ。
・国立大学の独法化は、改革方策として十分なのかという疑問がある。
(3)議員からの主な質問等は以下のとおり。
○地方の国立大学が現状の総合大学のままで良いのかは疑問だ。学問分野に地方の特色を反映させるべきだ。
○必要でない学問分野を選別することは必要だが、具体的に選別する際は長期的観点から慎重に検討すべきだ。
○地方の大学は、高等教育のトータルデザインがないまま、むやみに設置されたのではないか。
○もっと社会人を大学に受け入れ、社会の動きを大学に持ち込むべきだ。
○大学の教員には、「研究あって教育無し」という意識が強いと聞くが、大学の教員の意識改革を行うことが果たして可能なのか。
○大学と地域の連携が必要であり、「地域になくてはならない大学」にならなくてはならない。
○国立大学に適した独立行政法人化が必要だ。
○「独立行政法人」という名称は大学には適当でなく、「大学法人」などの名称を用いるべきだ。