独行法反対首都圏ネットワーク

国立大の独立行政法人化 管理強化と営利主義/週刊新社会 2000年3月21日号
(2000.3.19 [he-forum 711] The New Socialist Party)

 http://www.sinsyakai.or.jp/michisirube/konsyu.html

週刊新社会 2000年3月21日号 道しるべより

国立大の独立行政法人化 管理強化と営利主義

 国立大学の独立行政法人化問題が、全国99の国立大学を覆っている。国立大学の管理体制を強めつつ、独立採算・民営化方式を導入して国の財政負担を軽くし、大学に競争と人員削減を押しつけようとするものだ。学問・教育の自由がここでも脅かされている。

 昨年1月に決定された「中央省庁等改革にかかわる大綱」は、国立大の独法化問題について「平成15年(2003年)までに結論を得る」としれている。この押しつけられたタイムリミットに国立大が動揺している。

 独法化問題の発端は、国家公務員の定員削減という政府・与党の方針にある。行革会議の最終報告では10年間で1割だったが、小渕内閣は2割削減に増やし、自自合意で25%にふくらんだ。うち15%分は独法化によるものとされ、12万5000人の定員を持つ国立大が標的となった。

 教職員は国家公務員の身分が継続される方向だが、現在でも対GNP比で欧米の半分から7割という乏しい予算は独法化でさらに圧縮される恐れが強い。大学はいやおうなしに定員削減を強いられ、その矛盾は学内の力関係に転嫁されよう。

 一時、「行革先進国」とされたが、惨たんたる結果で政権が代わったニュージーランドや、今も軍部が力を持つチリでも、大学「改革」で予算が減らされ、定員削減と授業料大幅値上げで教職員や学生は苦しんでいる。

      *

 しかも、独立行政法人通則法では、3〜5年の中期目標は主務大臣が指示し、業績は主務省の評価委員会や審議会が評価することになっている。

 この通則法が大学に適用されれば、大学の研究・教育の目標は文部大臣が指示し、文部省が大学の業績を評価することになる。「大学の自治」や「学問の自由」という大学の根幹は、政府・与党と文部省官僚に完全に握られることになろう。

 また大学の「経営」が重視され、学長と運営諮問会議が実権を握って教授会は発言権を失い、教職員は身分や雇用の不安定化と、「効率化」の圧力の下で予算やポストをめぐる内部の争奪戦に巻き込まれていくだろう。

 「大綱」や行革会議報告の「大学の自主性」とか「研究・教育の質的向上」という言葉は、空疎なまやかしである。明治以来の大学史で最も根本的な「改革」と言われる独法化は、研究・教育をも営利と市場の論理に巻き込もうとする新自由主義路線そのものだ。

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 いま全国の国立大で、多くの教職員たちが独法化に反対する運動を行なっている。先日も全国紙に全面意見広告が載せられた。しかし、その運動にも課題は多い。

 その一つは、国立大の首脳部や採算部門にも、圧力に屈したり「時流」に乗って独法化を支持する人びとがいることだ。

 さらに、研究・教育にも授業料にも、学内の環境やサービスにも重大な影響を及ぼす独法化に対して、学生たちの行動がきわめて鈍い。学生たちには就職難が当面の大問題かもしれないが、それ自体が新自由主義的なリストラによるものだ。

 国立大学の独立行政法人化に反対しよう。



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