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国立美術館などの法人化 文化財所有権も移転 政府検討(日経3/12)
(2000.3.12 [he-forum 683] Nikkei Shinbun
03/12)
『日本経済新聞』2000年3月12日付
国立美術館などの法人化
文化財所有権も移転 政府検討
政府は二〇〇一年四月に国立博物館や国立美術館が独立行政法人に移行する際に、現在は国有となっている仏像や絵画の所有権を各法人に移転する方向で検討に入った。政府は「経営を任せる」という独立行政法人の設立趣旨を踏まえ、各法人に文化財などの国有財産を所有させるのが筋との判断だが、国以外の機関に処分権限まで含めて移管することに反対論も根強くあり、移管する場合は会計上の扱いなども詰める必要がある。文化財の扱いは独立行政法人設置に伴う大きな調整課題になりそうだ。
独立行政法人は中央省庁再編に伴う行政改革の一環として設置されるもので、省庁の現業部門を切り離した法人。独立行政法人に移行すれば、各施設は自らの裁量で施設を管理、運営し、収入増を目指す。
国立の美術館や博物館などでも、建物や使用している備品は各法人に無償譲渡することが既に決まっている。しかし、国宝や重要文化財が多数含まれる収蔵品に関しては「あっさりつ各法人に渡していいものか」(文化庁伝統文化課)と疑問視する声が上がっている。国有財産の中には寄贈品も多く「国に寄贈したのに、勝手に別組織に渡すのは承認できない」と寄贈者が反発することも予想され、文化庁を中心に調整を進めている。
独立行政法人の所有となれば、貸借対照表に資産として価格を記載しなければならない。国が買い取った美術品なら購入時の価格を適用すれば済むが、例えば縄文土器や古代の仏像となれば価格付けは容易ではない。これらの文化財を減価償却することになれば、なお混乱しそうだ。文化庁は「年々価値が高まる文化財を減価償却するのは無理」として、非償却資産扱いとする方向だ。
各法人の会計基準を政令で決めるのは六月。所有権や会計処理について結論を出すには調整が必要だ。