独行法反対首都圏ネットワーク

愛教大教授会見解
(2000.3.7 [he-forum 665] 愛教大教授会見解)

愛知教育大学教授会は、下記の愛知教育大学長宛ての「国立大学の独立行政法人化に対する愛知教育大学教授会の見解」を決定しました。

この見解は、「国立大学の独立行政法人化に反対する愛知教育大学教員の会」・「日本科学者会議愛知教育大学分会」・「愛知教育大学教職員組合」が中心になって、学内の教員に賛同署名を呼びかけ12月に集約された「国立大学の独立行政法人化に反対する愛知教育大学教員の声明」(現在全教員約300名のうち241名が署名:Reformで報告済み)をもとに、学内有志で呼びかけ、提案者41名によって1月教授会に提案されました。

この時は、出席者数の過半数に達せず(賛成97)、また2月の教授会も過半数に達せず(賛成109)、再々審議の末、2月23日の臨時教授会で、賛成124、反対67、白票9、無効1で、成立しました。

以上報告します。
岩崎 公弥(愛知教育大学地理学教室)
松田 正久(愛知教育大学物理宇宙領域)



愛知教育大学長 仲井 豊 殿

2000年2月16日

愛知教育大学教授会

国立大学の独立行政法人化に対する愛知教育大学教授会の見解

 文部省は、昨年9月、「国立大学の独立行政法人化の検討の方向」を全国立大学に対して示しました。しかし、「独法化」は、巨額の財政赤字への対策としての国家公務員削減計画に端を発するもので、わが国の高等教育の在り方についての正面からの議論を抜きに進められており、以下のような重大な問題を含んでいます。

(1)そもそも独立行政法人は、国の行政活動における「企画・立案機能」と「実施機能」を分離させ、後者を担う部門として考案されたものです。しかし、学生の教育に責任を持ち主体的に研究を展開している大学は、企画・立案と実施の機能が不可分の関係にあり、単なる「実施主体」とみなすことができないことは明らかです。したがって国立大学は本来、その機能及び役割からして独立行政法人にすべきではありません。

(2)高等教育を「行革」の対象とする「独法化」は、日本の高等教育に対する公的支出の貧困な状況を放置したままで、経済的効率性を最優先するものです。

 これにより、授業料の大幅な値上げなどが余儀なくされます。これは、憲法や教育基本法に保障された「教育を受ける権利」「教育の機会均等」を脅かすものであり、高等教育に対する教育権の著しい侵害であると言わざるを得ません。

(3)「独法化」では、主務大臣の認可によるわずか3から5年の中期計画のもとでの効率性という価値基準による評価・勧告を行うことになっています。これにより、大学の自治及び学問の自由は著しく制限され、基礎的研究部門や教員養成など経済的利益に直結しない分野の研究が大幅に削減されていくことが予想されます。

(4)「独法化」においては、「個別法」により各独立行政法人の目的・業務の範囲が定められます。このため、大学間における研究教育条件の格差・差別が大幅に拡大されることになることも問題です。また、競争原理と効率化の導入により、教職員の間に身分の不安定性と格差・差別を持ち込むことになります。

 以上の理由から、愛知教育大学教授会は、「通則法」に基づく国立大学の独立行政法人化に反対の意思を表明するとともに、大学内外の批判を真摯に受け止め、引き続き「国立大学」として、地域の幅広い高等教育要求に応えていくべく、構成員一丸となって、全力をあげて国民に開かれた大学づくりに努めていく決意です。愛知教育大学長はこの意思表明を深く受け止められ、あらゆる機会に従来の批判的姿勢を広く学内外に訴えられるよう、強く要望します。



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