独行法反対首都圏ネットワーク

大学評価機関、4月スタート
国立学校設置法一部改正案を国会提出

(2000.3.1 [he-forum 644] 国立学校設置法一部改正案国会提出 『内外教育』2000年2月25日)

『内外教育』2000年2月25日 第5087号

大学評価機関、4月スタート---東大、九大には大学院新組織---
●国立学校設置法一部改正案を国会提出

 政府は十八日の閣議で国立学校設置法の一部改正案を決め、国会に提出した。改正案には、現在の学位授与機構を「大学評価・学位授与機構」に改組し、同機構の業務として新たに大学や大学共同利用機関の教育研究活動を評価することが盛り込まれている。また、国立大学大学院の組織を弾力化し、政令で定める国立大学(東京大学と九州大学)に、研究科以外の基本組織として「教育部」「研究部」を設置できることとする。
 これらはいずれも大学審議会答申(一九九八年十月)の提言を受けた措置。施行は四月一日の予定だ。

 分野ごとに教育研究を評価

 大学評価・学位授与機構の業務について改正案は、従来実施している学位授与のほか、(1)大学や大学共同利用機関の教育研究水準の向上に資するため、大学等の教育研究活動などの状況を評価し、その結果を当該大学等と設置者に提供するとともに、公表すること (2)評価に関する調査研究を行うこと (3)評価に関する情報の収集、整理、提供を行うこと−−−としている。
 文部省によると、評価は法学、医学など九つの分野ごとに、教育、研究の二つの面から行う。また、国際交流、産学連携などテーマ別の評価も実施する。
 実際の評価は、大学評価委員会(三十人程度)と、その下部組織である各分野の専門委員会(二十人程度)を設置して行う。委員会は外部の学識経験者などで構成する。専門委員会は各分野ごとに「教育評価」「研究評価」に分けて委嘱するため、テーマ別の委員会を含めると二十以上になる見通し。大学の研究者のほか、民間研究者や実務家などもメンバーとする。
 各分野の評価は五年に一回程度の周期で全国立大学一斉に行う。テーマ別評価は毎年テーマを決めて実施する。委員会設置後、評価基準や評価方法を検討する必要があるため、当初の数年間は幾つかの大学、分野に絞って実施する。第一回の評価結果公表は二〇〇一年度中になる見通し。
 評価対象は国立の大学と大学共同利用機関で、公・私立大学については「要請があれば協力するが、当分の間は国立大学だけになる」(高等教育局企画課)としている。
 「教育部」「研究部」の設置は、大学院の組織を院生が所属する教育組織と教官が所属する研究組織に分離し、変化に対応した柔軟な教育研究を行えるようにするのが狙い。
 改正法の施行に連動し、東京大学は既設の研究科とは別に「情報学環」(研究部に相当)と「学際情報学府」(教育部に相当)を新たに設置する予定だ。
 複数の領域にまたがる情報関連の研究と教育を発展させるのが狙いで、情報学環は文系と理系の教官が所属し、このうち三分の二は年限を定めて同学環・学府で教育研究に従事する「流動教官」とする。同学府には、社会人も積極的に受け入れるとしている。
 九州大学は、既存の十四の研究科をそれぞれ「研究院」(研究部に相当)と「学府」(教育部に相当)に再編する。具体的には、比較社会文化研究院と同学府、人文科学研究院と同学府、理学研究院と同学府などとする。
 研究院と学府は一対一で対応させ運営するのでは必ずしもなく、例えば比較社会文化学府では、比較社会文化研究院の教官だけでなく、人文科学、法学、経済学など複数の研究院に所属する教官が正規の担当教官として教育に当たる。また、一対一で対応する場合でも、学府の専攻と研究院の部門は構成が異なるという。研究院と学部の関係も同様で、工学部の教育を、工学、システム情報科学など複数の研究院の教官が担当するとしている。(伊豆倉 哲=内外教育編集部)



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