独行法反対首都圏ネットワーク

元文化庁長官 安嶋彌の見解
(2000.2.22 [he-forum 632] 『内外教育』2000/1/28 安嶋彌氏「ひとこと」)

『内外教育』2000年1月28日 第5080号 「ひとこと」

独立行政法人化−−−−元文化庁長官 安嶋彌

 国立大学が独立行政法人化されるという。私はその方向について反対というわけではないが、内容があまりにも不分明であり、クリアしなければならない問題点があまりにも多い、と感じている。
 私は現職中何回かの行革に直面した。課の数の一割削減、省庁ごとの一局削減などである。しかしこれは、いわゆる朝三暮四の形であって、実態には変化はなかった。行革がこんな表面的なことでよいものかと疑った。行革は、はじめに機構の縮小や人員削減ありではなく、事務整備が先行しなければならない。どの事務が本来中央省庁として必要かという観点が必要である。従って、地方分権の問題とは大きな関連がある。
 第二に特殊法人との関連である。特殊法人の制度は、官庁事務を民間の弾力性、機動性をもって処理することを狙ったものといわれる。考え方は分かるが、実際は監督官庁によって細かい点までが規制されていて、特殊法人側の裁量の余地はほとんどない。予算や経理も役所とほとんど変わらない。にもかかわらず、大きな管理機構をそれぞれに持っている。私はむしろ現業特別会計とした方がかえって能率的、経済的ではないかと考えている。
 そこで、国立大学の独立行政法人化である。内容がよく分からないが、この場合、行政法人に大きな自主性を与えなければ改革の意味はないであろう。今の特殊法人並の扱いでは、従来と変わらないことになる。そして自主性を与えれば、これに伴うリスクや経営努力は各大学の行政法人が引き受けなければならない。車の両輪である。自主性のみというわけにはゆくまい。
 国立大学の独立行政法人化は、国立大学の私大化という面を持っている。しかも、独立行政法人たる国立大学にばく大な援助をしなければならないとすると、私大助成との整合性が問題になる。授業料が少なくとも私大並みともなれば、前にも言った国公私立を通ずる給費制度、チケット方式も考えねばなるまい。



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