独行法反対首都圏ネットワーク

省庁再編で独立行政法人の営繕業務が"原則独自"に
『建設通信新聞』2/15
(2000.2.16 [he-forum 612] kensetsunews.com)

『建設通信新聞』2000年2月15日付

省庁再編で独立行政法人の営繕業務が"原則独自"に

 国の省庁再編で二〇〇一年四月から独立行政法人に移行する関係五十九機関の営繕業務が変わる。これまで建設省に支出委任して発注されてきた営繕工事は、独立行政法人が国の機関から除外されるために、支出委任行為で処理できなくなる。国土交通省が受託という形で独立行政法人の営繕業務を請け負う措置が講じられるものの、原則として各法人が独自で営繕業務を実行することが前提だ。通産省工業技術院のように自主営繕事業化を検討する動きも出ている。場合によっては営繕業務を民間に委託する機関が出る可能性もある。

 中央省庁等改革推進本部事務局は、独立行政法人の営繕業務を「国土交通省が受託できるように政令を定める」と説明する。これは国土交通省を積極的に活用して営繕業務を代行させるというよりも、逆に独立行政法人が自主的に営繕業務を実行できない場合の暫定措置というニュアンスが強い。

 工事発注量から判断すると、新築や大型改修工事が年間にある程度発生する独立行政法人もあるが、数年に一物件あるかどうかという機関も少なくない。

 「これまで建設省が手がけてきた物件ですから、改修をする際でも技術、ノウハウもある国土交通省に受託した方が無難」と訴える関係機関の担当者もいれば、「国土交通省で発注量が多い時期には独立行政法人の物件は後回しにされる懸念がある」との声もある。

 工業技術院は、研究施設や設備の高度化によって建設省に支出委任しないで自主的に整備する案件も出てきていることから、自主営繕事業化を検討している。これまで筑波研究センターなど全国十五カ所に点在する研究所それぞれが対応していた営繕業務を、独立行政法人化によって一本化する必要性に迫られるからだ。

 そこで自主的に営繕業務を実行した際に発生する建築関連法規上の申請手続きや、現在の施設構成から推測される修繕業務量といった基礎調査を、一九九九年八月に日本設計に委託した。

 二月中に報告される調査結果を受けて、具体的に営繕部門の体制づくりに着手する予定だ。

 現時点で工技院のように独自の営繕部門を整備する独立行政法人はみられないが、なかには「営繕業務を国土交通省に委託するのでなく、民間企業にアウトソーシングする可能性も考えられる」(同推進本部事務局)という指摘もある。

 建築確認業務や性能評価のように民間への開放業務を、ニュービジネスとして活動を始めた企業が出てきたが、独立行政法人の営繕業務に対しても、発注ノウハウをもつ設計事務所やシンクタンクが積極的に開拓に乗り出す動きに発展する可能性もある。



目次に戻る

東職ホームページに戻る