独行法反対首都圏ネットワーク

シンポ「独立行政法人化と群馬大学の未来」
(2000.2.9 [he-forum 592] シンポ「独立行政法人化と群馬大学の未来」)

シンポ「独立行政法人化と群馬大学の未来」を開催
教職員・学生・市民100人が参加
 
(群大教職組『ぐんだいタウン』17号、1月21日発行、から転載)
   
 さる11月21日、荒牧祭が行なわれている荒牧キャンパスで「国立大学がなくなる? ─独立行政法人化と群馬大学の未来」と題する公開シンポジウムが、組合の主催で開催されました。このシンポジウムは、「国立大学が、群馬大学がなくなっていいのか?」という問題を地域の人々とともに考えるために企画されたものです。シンポジウムには、講演者として阿部謹也氏(共立女子大学学長、前一橋大学学長、前国立大学協会会長)をお招きしました。
 当日は、教職員、学生、学外者を合わせて約100人が参加し、意義深い講演と活発な議論が行なわれました。
 まず、阿部氏のお話をうかがい、その後で登坂和洋(上毛新聞社役員室次長)、稲葉清毅(群馬大学社会情報学部教授・情報行政論)、斎藤周(群馬大学教育学部助教授・労働法)の3氏を交えたパネル・ディスカッションを行ないました。
 阿部氏は、中期目標・中期計画は大臣から個々の教員に研究課題が与えられるしくみであること、学長選考について評議会で学長を選考できるようにすることが意図されていること、採算に合わないとして文学・哲学・数学などは大学から消えていくこと等、独立行政法人化の根本的な問題点を指摘しました。また、国立大学教員のこれまでやってきた学問の内容・あり方に「国民のための学問がなされているか」という大きな問題があったと述べ、国大協全体が独立行政法人化に反対できないのは国立大学を国民の大学として再組織する方策がないからだと指摘しました。阿部氏の講演は、独立行政法人化がなぜ間違っているのかを示すとともに、学問のあり方の問題点を解き明かす含蓄の深いものでした。
 登坂氏は、この問題が規制緩和の一環であることを指摘しました。そして、郵政民営化については郵便局関係者から上毛新聞にも働きかけがあったことを紹介し、なぜ国立大学独立行政法人化については運動が盛り上がらないのか、なぜ国立大学は規制緩和に声をあげなかったのか、と疑問を呈しました。
 稲葉氏は、現在の特殊法人は政府の中の機関よりも自由度が低いことを紹介し、独立行政法人化によって大学の自由度が高まるとは考えられないことを指摘しました。また、大学自治にかかわって、文部省が大学に代わって意思決定するのは問題だとしつつ、大学内部だけで意思決定することをも批判しました。
 斎藤氏は、独立行政法人化の「独立」は国家から財政的に切り離すことであり、大学は「企業に売れる研究」と「企業に売れる人材を育成する教育」で採算をとるよう求められるようになると指摘しました。さらに、大学が自主的に意思決定できない現状をあらため、真の意味での大学の独立を実現すべきことを強調しました。
 以上の議論を受けて、会場の参加者からも、国立病院の問題、総務庁が研究を評価する視点、大学と地域との関わりなど、様々な重要問題を取り上げる発言があいつぎました。
 全体を通じて、独立行政法人化と本来の大学のあり方・果たすべき役割とをめぐって多面的な議論がなされ、たいへん有益なシンポジウムでした。



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