独行法反対首都圏ネットワーク

名古屋大学の組織改革案
(2000.1.30 [he-forum 568] 中日新聞 2000.1.19)

中日新聞(2000年1月19日付け)

名大からノーベル賞を
最先端教官は研究専念
組織改革案 学部の壁超える
学力低下対策 教養教育を強化

 名古屋大学(本部名古屋市千種区、松尾稔学長)は十八日、学部を中心にしたこれまでの縦割りの運営を抜本的に改め、学部横断型の運営を柱とする改革案をまとめた。教官が研究に専念する「高等研究院」(仮称)や、学生の教養教育などを全学的に進める教育専門の「教学院」(同)などを新たに設置。教官の一部も研究専門と教育専門に分けるなど初の試みが多く、新しい国立大の形として注目されそうだ。来月開く評議会で正式決定する。
 改革案では、大学の基本理念(名古屋大学学術憲章)を作成。研究面で「世界的に屈指の知的成果を生み出す」ことや、教育面で「論理的思考力と想像力に富んだ勇気ある知識人を育てる」ことを目標に挙げた。
 研究分野の目玉が、高等研究院の設置。最先端の研究や、文系・理系の枠にとらわれない共同研究などに取り組む。所属の教官には講義などの教育義務を免除、研究に専念させることが売り物。ノーベル賞も狙える研究を目指し、幅広く人材、テーマを募集する。
 教育分野の柱は教学院。学生の学力低下対策として、全学的な教養教育のカリキュラムに取り組む「教養教育院」を設ける。所属教官は教育に専念。高等教育の専門家も配置して、新しい教養教育の在り方を検討する。また、学生の資格志向に対応して、法曹、経済関係の人材を育てるロースクールやビジネススクールなどの役割を果た
す「資格教育院」を設ける。
 このほか、学内の設備計画や廃棄物処理などを一手に引き受ける「共通基盤支援機構」を立ち上げる。
 一方、従来の領域型の学部・大学院は残すが、環境問題、生命科学など学際的な問題については、各学部の教官を出し合い、融合型の新たな大学院を設ける。
 こうした組織改革に伴う教官については、文部省に新たな配置を要求する一方、既存の学部などの教官を配置転換して賄う。
 同大は、早ければ二〇〇〇年度中に具体案をまとめ、五、六年かけて実施に移す考え。松尾学長は「二十世紀型の分野別研究だけでは、新しい学術分野の創設や社会貢献はできない。文系・理系といった枠組みを越えた組織が必要」と指摘している。

 元文化庁長官で大学改革に詳しい大崎仁・国立学校財務センター所長の話
 これまでの大学改革では学部の壁が高く、新たな展開が難しかった。名古屋大の試みは、その壁を超えようとしており、非常に野心的だ。特に、研究専門の組織は、これまでも学部レベルでの局部的な取り組みはあったが、全学的に取り組むのは初めてで評価できる。



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