独行法反対首都圏ネットワーク

ユネスコ高等教育宣言関連/下山房雄
(2000.1.7 [reform:02527] ユネスコ高等教育宣言関連)

 北大辻下さん、九大安部さんのメール(reform:02514&02515)を読んで、私の「年頭所感」を以下に紹介します。『山口新聞』1月6日付けに「大学の文化・経済的意義」とのタイトルで山口県の名士ということになりますか、百人ほどの方の「所感」と並んで掲載されたものです。学校の宣伝みたいで恐縮ですが、マスメディアが高等教育無償化の先進国の大勢を(日本政府が「経済的社会的文化的権利に関する国際規約」の中等高等教育への「無償教育の漸進的導入」の規定に留保していることも)全く無視してきたのと同様に、ユネスコ高等教育宣言を無視しているので、こういう言い方が意味があると思って書いたものです。下山房雄



 この二〇〇〇年四月から下関市立大学大学院経済学研究科(修士課程)が発足する。
 ユネスコ二一世紀高等教育宣言(一九九八年)は「価値諸基準の深刻な危機にある現代社会が、単なる経済的動機を超えて、より深い次元の倫理と精神性を包含する」ためには、高等教育の「もっとも根本的な変革革新に進まねばならぬ」と述べている。本学修士コース大学院の発足、およびそれを契機とする経済学部の一段進んだ充実という形の改革でユネスコ宣言の謳う世界的事業に参加できるこ
とは、まことに喜ばしい。
 産業の国際競争力停滞を日本独自な技術開発で突破するという戦略目標のもとでのみ「大学改革」を語るのは、極めて不十分な思想である。企業あるいは地域の人間関係のあり方、国全体の富や資源の確保その再配分をめぐる意志決定メカニズムなど人文社会的に研究すべき改革課題の解明が重要であり、またこのようなテーマについての科学的知見を持って経済社会システムに参加できる人材を育成することが重要である。
 加えて、下関市大の学部と大学院がそのような研究と教育で特色ある文化的成果を一層挙げることで、日本と世界の各地からこの下関の地に青年を多く集め続けることの経済効果を私は強調したい。この面では毎晩二千名を超える宿泊者を確保する事業として、本学は観光産業に匹敵する経済的存在なのである。



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