独行法反対首都圏ネットワーク

<新生面> 大学全入時代(熊本日日新聞1/14)
(2000.1.19 [he-forum 551] 熊本日日新聞 01/14)

『熊本日日新聞』2000年1月14日

<新生面> 大学全入時代 

 受験生諸君(と、勝手に呼びかけさせてもらうが…)明日からはいよいよ大学入試センター試験だね。熊本地方気象台によれば、明日も明後日も暖かいという。受験生には何よりだ▼暖かい入試は「広き門」となった大学入試の現状を象徴しているようだ。少子化で十八歳人口は減る一方なのに大学の数は増えている。二〇〇九年には、選ばなければだれでも大学に入れる「大学全入時代」となる計算だけど、既に実態はそれに近いよね▼ただし、大学入試は緩和されても、大学と大学生の存在意義は一段と厳しく問われそうだ。創造性のない大学や大学生は評価されない。倒産する私立大学も出るだろう。国立大学だって事情は同じである▼諸君がめでたく合格したとしても、四年後には独立行政法人になる可能性がある。十一日には東京大学も法人化の容認に傾く報告書をまとめた。法人化には問題も多いが、論議の重点は実施を前提としたものに移りそうだ▼センター試験が終わると、受験産業が得点分布を調査し、偏差値による大学や学部のランク付けを行う。それにこだわる必要もあまりないように思う。大学名よりも学んだ内容が重視される時代だ。東京の私立女子大に通う知人の娘さんは某公立大の人気教官のゼミに入っている。自分で交渉して認めてもらったという▼そのくらいの意欲は持ってほしいものだ。森毅・京都大名誉教授も言っている。「卒業証書なんかよりも、そこでなにをするかが問題なだけで、単位が神聖やなんて単純に思ってへんがな、要するに勉強してくれたらええがな」(『東大が倒産する日』から)▼健闘を祈りたい。



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