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大学トップが地域貢献へ連携(山形新聞1/7)
(2000.1.8 [he-forum 527] Yamagata Shinbun)
『山形新聞』2000年1月7日 金曜日
大学トップが地域貢献へ連携
県は新年度、山形大学をはじめ県内にある大学などに呼び掛けてトップが一堂に会し、高等教育機関の今後について情報交換したり、共同研究プロジェクトの在り方などを話し合う「学長会議」といったものを設ける方向で検討に入った。
国立大学の独立行政法人化構想や、少子化を反映し十八歳人口が激減、入学者の確保が大きな課題となるなど、大学をめぐる環境は一層、厳しくなっている。文部省の調べによると一九九二年の十八歳人口は二百五万人だったが、今年は百五十五万人、十年後には百二十万人まで落ち込む。
こうした中で、県内では九二年に公設民営の東北芸術工科大が開学し、二〇〇〇年四月には県立保健医療大(同短大の改組による)、二〇〇一年四月には東北公益文科大が相次いで誕生の予定で、山大を含め四年制大学が四校となる。短大も県立米沢女子のほか、私立が山形女子(山形短大への改組を計画)、羽陽学園、酒田の三校で、県内の高等教育機関の受け皿は充実してきている。
学長会議の新設プランは県内の大学などが高等教育機関の現状の認識を深め、互いに補完し合う態勢を整え、連携策、共存共栄策を探り、同時に積極的な共同研究など学術研究機能の活用で、地域振興に貢献するための手法を編み出していく狙いだ。
手始めに山大と東北芸工大の学長を中心に、単位互換の導入や共同研究プロジェクトについて意見交換する場を設け、その後、国、公、私立別、四年制と短大の枠を超えた幅広い形での学長会議の結集を目指したい考え。
隣県では既にスタートしており、宮城県内の大学、短大で構成する「仙台学長会議」では二〇〇一年度を目標にした単位互換協定の締結へ、準備を急いでいる。福島県内ではいわき明星大、日大工学部、県立会津大の三大学と県工業技術振興財団が研究連絡会を発足させ、環境、福祉、エネルギー分野での共同研究事業の可能性を検討中という。
十八歳人口が減ることで各大学、短大が危機感を募らせている。学長会議の設置プランは、そうした状況に対処する大学間の連携ともいえるが、設置構想を進めている県学事振興課では「単に生き残り対策をテーマにする消極的なものでなく、学術研究機関として蓄積するノウハウを互いに持ち寄り、新たな分野を開発して産業化に結びつけるなど、地域社会に研究成果を還元するといった、積極的な大学の役割を考える場を想定したい」と内容を展望している。
県内の大学間の連携については、去年十二月に東京で開かれた新世紀県民会議で山大の成沢郁夫学長も触れている。