独行法反対首都圏ネットワーク

説得力欠く独立行政法人論議
熊本日日新聞社説(12/23)
(1999.12.24 [he-forum 508] 熊本日日新聞12/23付)

『熊本日日新聞』12月23日付

<射程> 説得力欠く独立行政法人論議

 独立行政法人設置法が成立し、国立博物館や研究機関などが再来年から独立行政法人となることになった。国立大学については文部省が早ければ来春にも方針を出すという。

 熊本大学の各学部で作った外部評価報告書を見る機会があった。研究の独自性や論文数など微に入り細をうがった内容。外部評価など思いもよらなかった”象牙の塔”だけに、ここまできたかという思いがした。

 しかし、独立行政法人論議で全国の国立大学から聞こえてくるのは、自由な研究と教育を続けるために大学の自治と独立性を官僚からどう守るかという、見方によっては保身的な声ばかり。知的成果の社会への還元という論点が弱く、国民の理解や支援を得るには説得力に欠ける。

 研究機関などでは産学協同が進んでいるが、大学ではなお、それを良しとしない雰囲気がある。公開講座などは盛んだが、社会にもっと積極的にかかわる必要がある。研究論文もさることながら、社会還元ももっと評価されてしかるべきだろう。

 大学は日本の知性を維持・向上させ、将来へ継承する役割を担っている。同時に社会的なリーダーとして果たすべき役目もあるはずだ。独立行政法人化もさることながら大学のあるべき姿をもっと論議すべきだ。



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