独行法反対首都圏ネットワーク

岐阜大学地域科学部教授会の意見表明
(1999.12.9 [he-forum 465] 岐阜大学地域科学部教授会の意見表明)

 岐阜大学の竹森です。
 地域科学部教授会が、10月に「独立行政法人化問題」についての「意見表明」を行っています。情報提供が遅れましたが、お知らせします。大学内での他学部の状況から、学内世論を考え、控えめの内容になっています。
 また、岐阜大学では学長のもとに「検討委員会」が設置され、まもなく作業を開始することになっています。国大協の動きを見ながらの作業になるものと思われます。
 以下、教授会の「意見表明」です。

独立行政法人化問題について 10月20日

岐阜大学地域科学部教授会

 去る9月20日に、文部省が従来の立場を変更して国立大学の独立行政法人化に向けて歩み出して以来、国大協や各大学の意向が依然として「移行反対」を基本的立場として維持しているにもかかわらず、文部省の提示した方向が既定の事実であるかのような論調が強まっています。
 しかし、行政のスリム化、国家公務員の定数削減などを理由とするこの政策は、わが国の高等教育の在り方についての正面からの議論を抜きに進められており、このままに国立大学の設置形態の変更を行うことは、あまりに性急にすぎるといわなければなりません。さらに、主務大臣の定める中期目標に大学の教育・研究が拘束され、基礎研究がおろそかにされるのではないかとの疑念も繰り返し表明されてきたし、企画・立案機能と実施機能を分離するという独立行政法人なるものの制度設計についても、一般の行政機関ですら問題が多いとされており、ふたつの機能を区別することがそもそも困難な大学においてはこの制度の導入による混乱はさらに深刻なものになるとする有力な見解もあります。研究・教育の在り方を効率や成果を基準とする二重、三重の外部評価に委ねることについても、大学の自治や学問の自由という観点から強い懸念が表明されています。
 岐阜大学においては、一昨年11月に国立大学の独立行政法人化には反対である旨の評議会決定がなされており、昨年12月にはそのことを改めて再確認しています。行財政改革をバネとして、この春以来事態が急転したにもかかわらず、大学の在り方や将来の高等教育の使命に応えるという視点に立ってみるとき、国立大学がこの独立行政法人化を受け入れざるをえない事情についての明確な説明はなお見当たらないというべきであります。
 私たちは、大学がその使命にふさわしく機能するための改革は進められなければならないと考えており、大学内外からの率直な批判に応えながら、今後もこれまで以上に自主改革の努力を続けていかなくてはならないものとその責任を自覚するものですが、性急な制度改変は、こうした大学における努力に水を差し、研究・教育の論理、大学人の意思を無視したものといわざるをえないでしょう。
 以上のことから、私たちは、国立大学の独立行政法人化に反対するという従来からの立場を再確認し、国民各層のご理解と文部省、国大協をはじめとする関係諸機関における慎重な対応を要望するものです。



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