独行法反対首都圏ネットワーク

国立大学の独立行政法人化に反対する大学人アピール
(1999.12.3 [he-forum 442] 独法化反対大学人連名アピールについて)

ML参加者の皆さんへ
 いつも貴重な情報提供ありがとうございます。
 この度下記のような大学人連名アピールに取り組むことになりました。是非趣旨をご理解いただき、ご自身と周りの方に広げていただきますようお願いいたします。

************

国立大学の独立行政法人化に反対する大学人アピールへの賛同のお願い

 国立大学を独立行政法人にしようとする動きが、この夏以来急速に進んでいます。
 私たちは、今日示されているようなかたちの独立行政法人化は、日本の高等教育の基盤を弱体化させるばかりか教育研究のあり方を歪めることになるという点で反対しています。こうした大学人の意見を広く国民に理解していただくことは、我々の独立行政法人反対運動にとって大変重要なことだと思います。そこで、私たちは多くの大学人とともに国民にむけた以下のアピールを発表したいと考えます。 このアピールにご賛同いただくとともに、周囲の大学関係者にもこの運動を広げていただくようお願いいたします。
 なお、このアピールは1月下旬をめどに記者会見で発表するほか、ポスターなどを通じて広く社会に訴えていきたいと考えています。

1999年11月30日

呼びかけ人(1999年12月3日時点)

阿部誠(大分大学経済学部教授)、東幹夫(長崎大学教育学部教授)、飯塚正朝(佐賀大学経済学部教授)、浦田義和(佐賀大学文化教育学部教授)、大嶋誠(大分大学教育福祉科学部教授)、河内進策(宮崎大学農学部教授)、神戸輝夫(大分大学教育福祉科学部教授)、亀山統一(琉球大学農学部助手)、下山房雄(九州大学名誉教授)、鈴木右文(九州大学言語文化部助教授)、鈴木亮(佐賀大学文化教育学部教授)、田代洋丞(佐賀大学農学部教授)、蔦川正義(佐賀大学経済学部教授)、仲村政文(鹿児島大学法文学部教授)、西田民雄(佐賀大学文化教育学部教授)、二宮孝富(大分大学経済学部教授)、納富一郎(佐賀大学経済学部教授)、平野公孝(宮崎大学工学部教授)、藤條純夫(佐賀大学農学部教授)、前田明(大分大学教育福祉科学部教授)、森川登美江(大分大学経済学部教授)、矢原徹一(九州大学理学研究科)、吉村豊雄(熊本大学文学部教授)

署名集約および連絡先:阿部誠・〒870-1192大分市旦野原700大分大学教職員組合気付
tel.097-554-7998, fax.097-568-6308,e-mail:oitauu@fat.coara.or.jp

国立大学の独立行政法人化に反対する大学人アピールに賛同します

氏  名   

所  属   

職  名   

氏名公表についてどちらかに○をつけて下さい

公表できます 公表できません


地元から国立大学がなくなる?!
私たちは、国立大学の「独立行政法人化」に反対します

 今私たちの社会は、環境・高齢化など、地球的規模で未解決の深刻な課題を抱えています。そうした課題解決は、大学における多様な学問研究と人材養成によって可能となります。第2次大戦後の国立大学は平和で豊かな日本社会を担う次世代を養成する役割を果たしてきましたが、21世紀に向けて、人類的な課題解決のために大学はさらなる教育研究に取り組もうとしています。
 ところで現在、国立大学を独立行政法人に移行しようという動きが強まっていま
す。独立行政法人というのは、国の行政の効率化・スリム化を目的に、行政機関の一部を独立させ、民間企業のように経営させようというものです。独立行政法人化は今日的な社会的使命を担う国立大学にどのような影響をもたらすのでしょうか。

国立大学が独立行政法人になるとどういうことが起こるでしょうか。

 国立大学の経費は、以前は8割を国の財政から支出されていましたが、近年6割を切り、それ以外の部分は授業料や大学病院の収入などでまかなわれています。これは、国立大学にたいする政府の財政支出が抑制されているからで、すでに多くの国立大学は財政的に逼迫した状態にあるのです。こうした状況の中で、国が財政的に責任をもつ国立大学の制度を廃止し、独立行政法人とすることは、高等教育への公財政支出を一層削ることになります。そうなれば、授業料を上げざるをえなくなります。また、「効率性の劣る」地方の小規模大学は閉鎖が迫られるおそれもあります。何よりお金が集まりにくい分野の教育研究を縮小・廃止しなくてはならなくなり、日本からすぐには成果の見えない基礎的な分野の教育研究が消えてしまうおそれもあります。

教育研究のためには、公財政による保証が不可欠

 教育研究のためには公的な財政保証が不可欠です。ユネスコ(国連教育科学文化機関)の「21世紀に向けての高等教育世界宣言」(1998年)は、高等教育の発展のためには公財政による教育研究の保証が不可欠であることを強調しています。ところが日本はこの点で多くの先進諸国に比べて大きく立ち遅れています。高等教育に対する公財政支出も、日本は国内総生産の0.5%であり、カナダ1.6%、アメリカ1.1%、ドイツ0.9%など、欧米先進国13カ国平均約1%の半分程度にすぎません。
 前文部大臣であり東大総長も務めた有馬朗人氏も、1997年10月、行政改革会議委員としてこうした事実を指摘し、「我が国の将来の発展の基盤となる高等教育の振興を図っていくためには、何よりも公財政支出の飛躍的な拡充こそが必要であり、基本である」との見解を表明しました。国立大学の学長で構成する国立大学協会の見解も同じです。

地域社会と国立大学

 第2次世界大戦後、全国で99の国立大学が設けられました。国立大学は先端的な研究のみならず、私立大学の経営が困難な地域での教育研究など、これまで担ってきた役割は小さくありません。各地域でさまざまな人材を育成し、地域の産業振興に貢献するとともに、教育・文化・科学技術のセンターとしての機能も果たしてきました。
 最近では生涯教育に果たす役割も大いに期待されているところです。各地に私立、公立大学ができた今日でも、なお地方圏では国立大学の役割は重要と考えています。

私たちはこう考えます

 日本の高等教育と学問研究における国立大学の役割はいまなお減じておらず、むしろ一層高まっています。にもかかわらず、国立大学のあり方について、国民の間での十分な議論がないままに、国立大学の廃止=独立行政法人化が進められようとしています。私たちは、政府・文部省が、国立大学の独立行政法人化を撤回し、改めて、21世紀につながる高等教育研究体制の整備・充実の方向に踏み出すべきと考えます。併せて私たち自身も、国立大学が国民の教育や生活を発展させる上で一層の貢献ができるよう、みなさんと力を合わせて、さらに努力をかさねていきたいと思います。



目次に戻る

東職ホームページに戻る