独行法反対首都圏ネットワーク

千葉大学園芸学部教授会決議
(1999.12.3 [he-forum 437] 千葉大学園芸学部教授会決議)

 千葉大学園芸学部は、11月25日に以下の教授会決議を行いました。
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国立大学の「独立行政法人化」について

平成11年11月25日

千葉大学園芸学部教授会

現在、国立大学を独立行政法人化する方向で検討が進められているが、大多数の大学人の意向を無視し、短期間にこのような大改革が決行されるのは遺憾である。大学の特殊性を考慮した特例法を制定することなく、通則法によって国立大学を独立行政法人化することには、下記のような問題点があり反対である。


1. 大学は、地域性・多様性を有しており、教育・研究活動は人間の精神活動を対象とする非定型的業務である。通則法による独立行政法人化は、これらの業務を定型的な業務として均一化することで、教育・研究の独自性、創造性を損なう恐れがある。

2. 国立大学の通則法による独立行政法人化は、大学間・学部間の競争を通じて組織・業務のスリム化・効率化を意図していると思われる。そのような組織間の競争は、構成員に速攻堅実型の時流的研究を選択させることになり、遅効冒険型の基礎的研究を排除し、真の意味での独創性を追求する個人間競争を阻害する恐れがある。

3. 大学は、情報公開、外部評価などを通じて社会へ開かれた大学へと大学改革に取り組み、さらに21世紀に向けた高度な研究と教育をになう大学へと自ら改革を推進しようとしている。
 しかし、通則法や文部省方針では、3〜5年の中期目標、主務大臣の許可をうける中期計画、さらに主務省におかれる「評価委員会」による業績評価などがあり、これらは創造的な学術研究や基礎研究など長期的・総合的観点で行われるべき大学の教育・研究に本質的になじまない。

4. 教育の機会均等の理念に基き、国立大学は地域や専門領域に拘わらず一律で比較的に少ない学費負担のもとに高等教育の提供や計画的な人材の養成に貢献してきた。通則法による独立行政法人化はそれを困難にする。

5. 長期的・総合的観点に基づいて行われる大学の教育・研究は、本質的に国の責任で保証されるべきであり、先進諸国の中で高等教育予算が最も低いわが国の現状を考慮すると、私立大学を含めた高等教育への助成は拡大されるべきである。また、財政基盤を強化する具体的方法や資産の格差を是正する方法を考慮することなく、通則法によって独立行政法人化することは、大学格差を拡大することにもなりかねない。

6. "教育は国家百年の計の礎を築くもの"であるとすれば、国の文化・科学の進展に深く関わる国立大学のあり方を、単なる行財政の視点からのみ拙速に決定することは、後世に禍根を残すことになる。



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