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自民党 加藤鉱一氏の見解
東京新聞99/7/26、自民党HP総裁選立候補の演説より
(1999.11.14)
「東京新聞」1999.7.26
加藤氏 国立大の民営化を 総裁選へ政策ビジョン[見出し]
九月に実施予定の自民党総裁選に出馬の意向を示している加藤鉱一前幹事長は二十五日、大津市内で講演し、大学改革について「国立大学や国立研究所の民営化、よく言われている非公務員型の独立行政法人化が必要だ」と表明。研究者らを非公務員化することで、研究成果を民間に提供しやすくすべきだ、との考えを強調した。加藤氏は講演後、記者団に対し■国立大学教授らの兼業規制の緩和■バイオテクノロジーなど新しい学問分野での学部、学科設置基準の緩和ーなども必要だと述べた。加藤氏は十八日のテレビ番組で年金改革案を提言しており、この日の大学改革案は、総裁選に向けて近く発表する政策ビジョンの”先行発表〃第二段となる。
自民党総裁選挙における加藤紘一前幹事長の立候補演説抜粋(99年9月10日自民党HPから)
(後半部分)
私は、13日に立候補の表明をいたしました。それから全国を回りました。いい経験をしたと思っています。(中略)
ある福祉施設に行きました。特別養護老人ホームです。33歳の女性職員が一生懸命、老人を介護していました。彼女が言いました。「先生、この施設に入っていると、措置費として国および県が1カ月この老人に34万使います。この方が自宅だったら、お嫁さんが一生懸命努力をし、国は若干の税金の控除だけです。このバランスはどうでしょう。なおかつ、この人たちに年金がちゃんとくるんです。最初はベッドの下です。しかし、危ないといって事務所に預けられます。私たちの施設は大きいんです。だから、その総額は、先生、信じますか、数十億円になるんです。これでいいんでしょうか。福祉っていうのはこういうもんでしょうか」。彼女も国の将来と福祉を考えています。
そういう国民の前で、私たちは政治を論ずることができる幸せを感じます。やりがいのあることだと思っています。確かに自民党支持は今低い。無党派層は多い。しかし、無党派の国民は政治的無関心ではありません。日々、政治を考えているんです。その人たちの心に響くような政策を打たなければ、私たちの党の将来はないと思っております。
いよいよ21世紀を前にしております。最初に申しましたように、多くの人がこの国は将来、大丈夫かというふうに思っています。私は自信を持って申し上げたい。この国は大丈夫です。しっかりやります。少なくとも私たちがそうしてみせます。なぜか。歴史をひもとく者はオプティミストになると言われます。イタリアの人たちは、経済が悪くても、そして政治が不安定でも明るいです。2000年前、自分たちは素晴らしい文化と経済を持っていた。ローマ時代です。歴史の見る目の長さを感じます。
そんなことを言わなくても、25年前のイギリスはメチャクチャでした。我々は「イギリス病」と呼びました。今、43歳の首相ブレアは、「クール・ブリタニカ」、いかすぜ、イギリスは、という言葉をキャンペーンに使っています。立ち直ったんです。
10年前のアメリカは今の日本と同じでした。中小銀行は日本に買い取られていきました。彼らの誇りの産業、自動車産業は、トヨタ、本田、日産に負けました。アメリカの中心地、ニューヨークにあるロックフェラーセンターは日本の不動産会社に買い取られました。そして、アメリカ人はうちひしがれました。しかし、それから10年、世界を引っ張っていく経済に立ち直ったじゃないですか。
私は、どこの国でもいいときと悪いときがあると思います。山と谷があると思っています。だから、我々は絶望してはいけません。やけっぱちになってもいけません。アメリカにできたことは必ず我々にできます。イギリスにできたことを我々はやることができると思います。やってみせようじゃないですか。
それに、我々には素晴らしい国を再生するタネがあると思っています。一つは、1億2500万人の大変な教育水準の高い人的資源であります。
第二は、無限の科学技術フロンティアです。今、バイオテクノロジーの世界の学者の人たちは、新たな発見をもとに、神経細胞を再生できるのではないかという夢を持ちはじめました。視力障害者、聴力障害者、この人たちに福音を与えられるかもしれないという夢を持って必死になって研究しています。
ある大学では、1ミリのロボットをつくりたい。マイクロマシンの世界です。そして、血管の中に送ってコレステロールの掃除と、心筋梗塞の詰まりを除去させて戻したい。そんな夢を持っています。おそらく、それは単なる夢には終わらないだろうと思っています。
それプラス、我々には大変な資本蓄積があります。この三つの素晴らしいタネ、そしてプラス、自然を大切にし、山川草木、全てに命があり、神が宿ると考えてきた、自然を大切に共生しようとするこの日本人のアイデンティティ、民族の一体感、この三つのタネと一つの一体感を見事に協調させるならば、私は単に欧米の豊かさにキャッチアップするというような目標以外の、我々自身の新たな目標をつくりだすことができると信じます。
そのためには、我々は改革をしなければなりません。いいタネでも、それを蒔いておく土が固くなってしまったら育ちません。日本の社会は、戦後55年体制の中で、我々の先輩が社会党から追っかけられないようにするために、3年遅れ、5年遅れぐらいで社会党の政策を採用しました。おかげで私は、この国は世界の中で最も効率よく成功した、社会民主主義国家の政治になっているのではないかなということさえ思います。この国をもうちょっと小さな政府にしなければいけない。そして、土の固まったのを直さなければいけない。
見事な科学技術フロンティアを持ちながら、アメリカとは違います。アメリカでは産学協同、一緒になって、学問の世界と産業の世界が協力してマイクロソフトをつくり、バイオテクノロジーをつくっています。それが10年間の経済再生のもとでした。日本はそれができておりません。本当に大学は国立大学でなければいかんのかというところまで、我々は改革をしていかなければならないと思っています。その改革をすることによって、私たちはこの国は夢満々の国になると思っています。明るい国になると思っています。
(以下略)