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国大協総会で配布された文部省側資料
(1999.11.27 [he-forum 405] 国大協総会での文部省側資料(99.11.18))
千葉大学文学部の石井正人です。
11月18日の国大協総会の席上で配布された文部省側資料が明らかになりましたので、全文紹介します。
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平成11年11月18日
国立大学長懇談会
高等教育局説明事項
■ 国立大学の在り方について
1 独立行政法人化について
2 大学評価機関について
3 定員削減について
4 情報公開について
■ 大学審議会について
■ 大学入試の改善について
■ 大学入学資格について
■ 就職問題について
■ その他について
1 大学における安全管理について
2 綱紀の粛正について
■ 国立大学の在り方について
1 独立行政法人化について
(1)自主性・自律性と自己責任
国立大学における教育研究は、自主性・自律性と自己責任を基本として行われるべきものであるが、現在の独立行政法人通則法は、こうした国立大学における教育研究の特性を踏まえたものとは言えず、国立大学の独立行政法人化を検討するに当たっては、これらの特性に十分配慮した特例措置等を講じることが必要である。
(2)独立行政法人化の意義
特例措置等を講じることにより、現行制度と独立行政法人制度とを比較した場合、国立大学を独立行政法人化することに、次のような意義が認められる。
ア)欧米諸国の大学と同様に、独立した法人格を持つことにより、自らの権限と責任において大学運営に当たることが可能となる。
イ)組織編成、教職員配置、給与決定、予算執行等の面で、国による諸規制が緩和され、各大学の自主性・自律性が拡大する。
ウ)教育研究や教職員配置等大学運営全般にわたり、より自由な制度設計が可能となり、大学の個性化の進展、さらに競争的環境の創出が期待される。
(3)必要な特例措置等
独立行政法人化に当たっては、附置研究所・附属病院等を含め各大学に法人格を付与することとし、具体的な特例措置等としては、大きく分けて、以下のような点について検討が必要である。
ア)主務大臣による中期目標の指示、中期計画の認可において、大学の自主性・自律性を確保すること
イ)法人の業績に対する評価において、教育研究に関しては、国によるのではなく、大学関係者等により横成される第三者機関により評価が行われること
ウ)学長を含む教員の人事において、大学の自主性・自律性を確保すること
(4)公的資金の拡充
ただし、大学の教育研究水準の維持・向上を図るためには、我が国の高等教育・学術への投資が欧米諸国に比して著しく低い水準にあることを踏まえ、大学に投入される公的資金を拡充することが不可欠である。
(5) 運営体制の見直し
大学の自主性・自律性の拡大に伴い、各大学の運営責任も当然重くなり、また、独立行政法人制度は独立採算を前提としないとは言え、従来以上に効果的・効率的な運営が求められる。このため、運営体制について、学長のリーダーシップの下、経営の視点をも踏まえて適時適切な意思決定ができるものに見直す必要があり、関連して、学長の選考方法や副学長・運営諮問会議の構成等について検討する。
(6)検討のスケジュール
今後、特例措置等の具体的な方向について、国立大学協会をはじめ関係者の意見を聴きながら検討を進め、平成12年度のできるだけ早い時期までには結論を得たい。それを受けて、制度の詳細については、十分に時間をかけて慎重に検討していく必要がある。
2 大学評価機関について
〇 21世紀に向け、我が国の大学の教育研究の質の向上を図るためには、自己点検・評価の充実を図るとともに、第三者評価の導入などを通じて大学の教育研究の内容・方法の改善につなげる多元的な評価システムを確立することが必要。
→ 平成10年10月の大学審議会答申において、第三者評価機関の創設が提言。
○ このため、学位授与機構を改組し、大学評価・学位授与機構(仮称)し、従来の学位投与機横としての業務に加え、大学評価機関としての業務をあわせて実施する機関とする。
○ 組織規模については、現機構の規模(36人)に加え、新たに教官20人、事務官約100人を年次計画で整備することを目指す。(平成12年度は、教官20人、事務官44人を整備)
○ 次期通常国会において、国立学校設置法の−部改正法案を提出。(平成12年4月1日改組)
○ 大学評価機関(仮称)創設準備委員会中間報告(平成11年9月3日)では、以下のとおり提言。
(1)大学評価機関としての事業
ア)大学評価事業
■ 全学テ−マ別評価 (個別の学部等の課題ではなく、大学としての全学的な課題に関するテーマとして毎年度数テーマを設定。)
■ 分野別教育評価 (原則として学部、研究科単位、5年周期を基本。)
■ 分野別研究評価 (原則として学部、研究科単位、5年周期を基本。)
を行うほか、各国立大学から毎年度の教育研究活動の状況等の総括を求め、その調査・分析を行う。
イ)大学評価に関する調査研究事業
ウ)大学評価に関する情報の収集・分析・提供事業
(2)評価の目的
■教育活動・研究活動など大学の行う諸活動について多面的な評価を行い、その評価結果を各大学にフィードバックすることにより、各大学の教育研究活動の改善に役立てるとともに、大学の諸活動の状況や成果を明らかにし、それを社会に分かりやすく示す。
(3)評価の対象
評価の主たる対象は国立大学とし、公私立大学については、設置者である地方公共団体や学校法人の布望により評価の対象とする。
(4)評価結果の活用
評価結果については、広く社会に公表し、大学に対する資源配分機関が配分のための参考資料とするなど、幅広く活用することが期待される。
3 定員削減について
○ 今後の国家公務員定員の取扱い
(ア)中央省庁等改革基本法(平成10年6月12日法律第103号)
国の行政機関の職員の定員について、10年間で少なくとも10分の1の削減を行うための新たな計画を策定した上、当該計画に沿った削減を進めつつ、郵政公社の設立及び独立行政法人への移行により、その一層の削減を行う。
(イ)国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本的計画(平成11年4月27日間議決定)
第4 定員削減関連
(1)国の行政機関の職員の定員について、10年間で少なくとも10分の1の削減を行うための新たな計画は、平成12年12月31日の定員をもとに、平成13年1月1日から平成22年度の間に実施するものとし、府省編成前の適切な時期に策定する。
当該計画に沿った定員削減を進めつつ、郵政公社の設立、独立行政法人への移行により、一層の削減を図るものとする。
国家公務員は、上記趣旨を踏まえ、早期に実現させるため前倒しし、平成12年度採用分から毎年新規採用を減らし、公務員数を10年間で25%削減する。
(2)新たな府省の編成に併せ、行政機関の職員の定員に関する法律を府省編成前に改正するための措置をとり、定員の総数について新たな枠組みを設定する。
(3)府省の編成までの間にあっても、基本法の趣旨を踏まえ、平成11年度以降、事務及び事業や組織の整理にも留意して、定員削減を強力に実施するとともに、増員の徹底した抑制を図る。
(参考) 平成11年度国立学校特別会計予算定員
教 官 72, 548人
看 護 婦 等 20, 460 人
事務官・鼓官等 41, 880 人
134, 888 人
4 情報公開について
1 これまでも各大学においては、広報誌の発行やホームページの開設など、情報公開に取り組んでいると承知しているが、大学の情報公開をめぐっては、次の二つの方向から取り組んでいただきたい。
2 一つは、本年5月に成立、公布された「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(平成11年法律第42号)による情報公開である。施行については、「公布の日から2年以内」とされおり、近く制定が予定されている政令により定められることとなる。現時点では、平成13年4月から施行される予定であると聞いている。
その政令については、現在、政府内で制定準備が進められているが、今月(11月)中にも広く国民から意見を募集する「パブリック・コメント手続」がなされる運びであり、その意見等も踏まえて、早ければ12月中に制定される見通しである。
情報公開法では、「何人も………行政機関の長に対し、当該行政機関の保有する行政文書の開示を請求することができる」(第3条)こととされ、今回制定される政令で、国立大学や大学共同利用機関等が行政機関として位置付けられる予定である。
その場合、行政機関の長として、各学長等が開示請求の対象者となり、不開示情報を除き、開示義務を課されることとなる。
各大学におかれては、法の施行に向けてご準備いただくこととなるが、具体的には、■文書の管理の改善、■審査基準の制定、■情報公開の窓口の整備などが必要となる。
これらを含め、情報公開法の施行に向けた今後の諸準備について、ご留意いただきたい。
3 もう−つは、昨年10月の答申、本年5月に成立・公布された学校教育法等改正法及び9月に行った省令改正による情報公開である。
大学設置基準の改正により、大学は大学における教育研究活動等の状況についての自己点検及び評価を行い、その結果を公表することとされ、教育研究活動等の状況について積極的に情報を提供するものとされたところである。
特に国立大学は、改正後の国立学校設置法第7条の8の改正により、教育課程に関する情報などの教育研究に関する情報や、運営諮問会議の審議に関する情報などの組織運営に関する情報を刊行物への掲載その他広く周知を図ることができる方法によって公表しなければならないこととされている。
4 大学が積極的に情報公開を行い、社会的責任を果たすことは、国立大学にとってその存立や在り方に関わる極めて重要な事項。各大学においては、情報公開法への十分な準備とともに、国民の関心の高い教育研究活動に関する情報などについて、大学から分かりやすい形での積極的な発信に努められたい。
■ 大学審議会について
大学審議会諮問について
○ 本日(11月18日),第7期大学審議会が発足。
○ 文部大臣から大学審議会に対し、「グローバル化時代に求められる高等教育の在り方について」諮問。
〇 21世紀においては,社会,経済,文化の地球規模での交流が進み,国際的な流動性や相互依存関係が高まるなどグローバル化が一層拡大することが予測される。このような状況を踏まえて,我が国の高等教育が,国民の生涯にわたるニーズにこたえ,急速な時代の変化に対応し得る創造的な知識・技術を習得するために必要な教育を適時,適切に提供するとともに,国際交流の一層の活発化を図ることにより,世界で活躍できる人材を養成することは,国際社会において主要な役割を果たす我が国の重要な使命。
○ 来世紀における生涯学習や国際交流の重要性については,本年6月に行われたケルン・サミットにおいても強調されており,グローバル化時代に対応して教育の在り方を見直す必要性については,国際的にも共通の認識。
○ これらを踏まえ,グローバル化時代に求められる高等教育の在り方という高い視点に立ち・高等教育制度全体を見据えた上で,以下のような事項について,今後検討。
<検討事項例>
(1)国際的通用性・互換性を重視し,世界に開かれた大学づくりを推進するための方策について
■教育課程や教授方法,教員組織等の在り方
■学生,教員等の国際交流の−層の推進方策
■外国語能力やコミュニケーション能力の充実方策 等
(2)高等教育機関と社会との往復型による生涯学習を推進するための方策について
■個人のライフプランに応じた多様な履修形態
■企業や社会人のニーズに的確にこたえた教育プログラム
■これらの履修形態や教育プログラムに関する情報提供や相談体制の整備 等
(3)高等教育における情報通信技術能力の育成と情報通信技術の活用による教育提供等を推進するための方策について
■情報通信技術教育の充実方策
■情報通信システムの活用による社会人などがアクセスしやすい学習機会の整備
■情報通信システムを利用した我が国と海外との間の大学教育の発信・受信及び国内外の相互交流の推進方策 等
■ 大学入試の改善について
1 大学入試センター試験
大学入試センター試験については、私立大学の参加も増え高校関係者等からの評価も高く、全体として効果を上げている。
今後とも、大学入試センター試験の円滑な実施と多様な利活用を期待。
(参考)
○平成12年度大学入試センター試験利用大学数
国立95大学、公立66大学、私立242大学 計403大学
○平成12年度大学入試センター試験志願者数 581, 987人
(平成11年11月10日現在)
2 各大学における入試
(1) 入学者選抜の工夫改善
各大学における入学者選抜においては、評価尺度を多元化・複数化し、受験生の能力・適性等を多面的に判定する方向で、大学入試センター試験と、調査書、学力検査、面接、小論文、実技検査、リスニング等を適切に組み合わせて、受験生の能力・適性等の多面的な判定に努められるよう期待。
(2) 入学者選抜の実施体制等
試験問題の作成においては、出題上の疑義が生じたり、設問内容の記載の誤り等が生じることのないよう、試験実施前の段階におけるチェック体制のより一層の充実を図るとともに、合格者決定業務に関するチェック体制の確立が重要。
3 大学入試センターの独立行政法人化について
大学入試センターについては、現在行われている臨時国会に大学入試センターを平成13年4月から独立行政法人に移行するための法案を提出したところ。
法案においては、大学入試センターの業務や目的の特性に鑑み、
■理事長の任命にあたって、文部科学大臣は、大学教育に関し、学識経験を有する者等の意見を聴くものとすること
■大学入試センターは、業務を円滑に遂行するため、大学、高等学校その他の関係機関及び関係団体との緊密な連携協力体制の整備に努めなければならないこと
■教育公務員特例法、国立又は公立の大学における外国人教員の任用等に関する特別措置法、大学の教員等の任期に関する法律の所要の規定については、独立行政法人化後も準用されること等の規定を措置したところ。
(参考)
○ 中央教育審議会の「初等中等教育と高等教育との接続の改善について」の中間報告
の概要(抄)
(4)接続を重視した入学者選抜の改善(第5章)
いずれ大学進学希望者がいずれかの大学に入学できるようになる状況が到来することが予想される中で,今後は,大学側の教育理念・目標等にふさわしい能力・資質を持った学生を見いだそうとする取組と,学生側の自らの能力・適性等に基づく主体的な大学選択という相互の選択を,いかに適切に組み合わせるかが重要になる。
(主な具体策)
・大学(学部・学科)としての教育理念,目的,特色等に応じた入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)を確立し,対外的に明示すること。
・各大学は,入学者受入方針を示した上で,多様な入試を推進すること。このため,アドミッションオフィス入試等の選抜方法の工夫,開発やアドミッション・オフィスの設置等の体制の整備を行うことが必要であること。
・試験問題については,適切な問題であれば,再利用できるようにすること。
・大学入試センター試験については,資格試験的な取扱いも含め,各大学の創意工夫により,多様な形で利用するのが望ましいこと。また,外国語のリスニングテストの検討や総合的な問題等の在り方の研究が必要である。
■ 大学入学資格について
1 今日、国際化の進展等により、インターナショナルスクールや外国人学校の卒業者等に対する大学入学資格の付与について、内外の要望が高まっているところである。
2 文部省としては、このような内外の要望や諸外国での取扱いの状況を踏まえ、我が国の学校教育体系との整合性を勘案しつつ、国際化への対応や個人の学習成果が適切に評価される生涯学習体系への移行を図る観点から、個々人の学力を公的に判断して進学させる道を制度的に開くため、大学入学資格検定及び中学校卒業程度認定試験の受験資格の拡大を図ることとし、本年8月及び9月に所要の制度改正を行ったところである。
3 また、大学院についても、本年8月の大学審議会答申を踏まえ、大学を卒業していない者であっても、研究能力を有する者については、個々人の能力に着目して大学院に進学させる道を開くため、大学院入学資格の弾力化を図ることとし、所要の制度改正を行ったところである。
具体的には、各大学院において、個別の入学資格審査により、大学卒業者と同等以上の学力があると認めた者で、22歳に達したものについて、大学院への入学資格を認めることとしている。
4 なお、国内にある外国人学校は、そのほとんどが各種学校であり、その卒業者に対して一般的に高等学校あるいは大学を卒業した者と同等以上の学力があると認定することは困難であることから、これらの学校を卒業したことのみをもって入学資格を認めることは適当ではないと考えている。
5 各大学におかれては、引き続き、今回の制度改正による入学資格の弾力化の趣旨を踏まえた対応をお願いしたい。
(参考)入学資格の弾力化に係る省令改正の概要
■ 学校教育法施行規則等の一部を改正する省令
→中学校卒業程度認定試験の受験資格の弾力化
(8月31日に公布・施行。本年11月の中学校卒業程度認定試験から適用。)
■ 大学入学資格検定規程の一部を改正する省令
→大学入学資格検定の受検資格の弾力化
(9月3日に公布・施行。平成12年8月の大学入学資格検定から適用。)
■ 学校教育法施行規則の一部を改正する省令
→大学院入学資格の弾力化
(8月31日に公布・施行。本年9月以降の各大学院の入学者選抜から適用。)
■ 就職問題について
○ 来春卒業予定学生の就職内定状況は、景気低迷による厳しい雇用情勢の下で、大変厳しい状況となっている。
平成11年度就職内定状況(10月1日現在)
〔就職内定率〕
大 学 63.6%(対前年比 △3.9%)
●設置者別
国公立 65.2% (対前年比 +0.2%)
私 立 63.1% (対前年比 △5.2%)
●男女別
男 子 66.4% (対前年比 △4.9%)
女 子 57.7% (対前年比 △1.5%)
●文理の別
文 系 62.6% (対前年比 △3.0%)
理 系 68.0% (対前年比 △7.6%)
○ 文部省としては、従来から、機会あるごとに経済関係団体に対して、■学生の雇用枠の拡大、■過度に早期の就職活動の自粛などについて格段の配慮を求めるなど、一人でも多くの学生が就職できるよう努めている。
また、学生の就職機会の拡充を図ることを目的として、大学側及び企業側双方の参加を得て、平成7年度から「全国就職指導ガイダンス」を開催している。
各大学においては、学生の卒業時における質の確保を図るため、教育内容・方法の改善を行うとともに、学生一人一人に対するきめ細かな就職指導の充実に努めていただきたい。また、未就職卒業者についても、就職情報の提供等について特段のご配慮をお願いしたい。
○ 学生の就職・採用活動については、就職協定廃止以降、大学側が就職についての「申合せ」を、企業側が採用・選考に関する「倫理憲章」をそれぞれ作成し、双方がこれを尊重するという新たなルールの下に行われている。
平成12年度の就職・採用活動については、現在、大学側(就職問題懇談会)と企業側(日経連)との間で連絡・協議が行われており、近く決定される予定である。
■ その他について
1 大学における安全管理について
(1) 毒劇物対策について
〇 毒劇物の適正な管理については、毒物及び劇物取締法(昭和25年法律第303号)や、平成10年7月31日付「毒物及び劇物の適正な管理について(文会用第135号)」等にしたがいご努力いただいているが、一部の大学に対し行われた、総務庁の「毒物及び劇物の保管管理に関する地方監察」において、未だ毒劇物の管理に一部不適切な事例がみられる旨、総務庁より所見表示を受けたことは誠に遭憾。
○ 各大学においては、あらためて毒劇物等の適正な保管・管理の徹底と、教職員や学生等に対する周知徹底を図るとともに、研究室などにおける教育研究条件を含めた管理・運営体制の点検等にこれまで以上に努めていただきたい。
点検等に当たっては、実際に毒劇物を使用している各研究室レベルまで、適正な保管・管理が行われるように徹底していただきたい。
(2) 理工系学部の学生に対する原子力安全教育の徹底
○ 国立大学において,原子力関係学科を設置している学部は,8大学8学部であり、これらの原子力関係学科においては原子力に関する安全教育を含め高度な教育研究が行われている。
○ 先般の東海村ウラン加工施設事故の教訓を踏まえれば、今後、原子力安全教育の徹底を図る必要があり、工学関係学部の原子力関係学科の卒業生に限らず,広く理工系学部の卒業者が、直接・間接に原子力・放射性物質を扱う産業に就業する場合も十分考えられることから、これらの学生に対しても、原子力・放射性物質に関する安全知識を修得させることが必要である。
○ このため、今回の補正予算案において、原子力、放射線に関する基本的な知識や放射性物質の性質等に関する知識を学生に修得させるための設備(放射線測定機器、放射線検出・波高分析システム等)の整備を図ることとして、関係経費を計上している。
○ これにより、広く理工系学部において原子力安全教育を推進しつつ,■原子力・放射性物質に関する知識を学生に修得させるための教育システムの確立■原子力・放射性物質に関する知識を有する技術者・研究者の養成■原子力の安全確保のための研究の深化等の教育研究両面にわたる効果を期待しているところであり、関係の各大学におかれては、このような趣旨を踏まえた原子力安全教育への積極的な取り組みをお願いしたい。
2 綱紀の粛正について
〇 綱紀の粛正については、かねてから文部事務次官名で各大学等に通知を発するなど、管下の職員の服務規律の確保等について徹底をお願いしているところであるが、最近において、一部の国立大学教官の外部資金(受託研究費等)の不適正な取扱い等が新聞報道されるなど、国民の信頼を損なう事態が生じていることは誠に残念である。
管下の職員の服務規律の確保、外部資金の適正な取扱い等について、一層の徹底を図るよう改めてお願いしたい。
○ また、去る7月に、医学部の学生によるセクシャル・ハラスメント行為で当該学生が処分され、新聞等において報道されるなど、国民の信頼を損ねる事態が続けて生じていることは誠に遺憾である。
教育研究を行う学問の府である大学において、教員から学生に対して、又は学生同士の間などで、いわゆるセクシャル・ハラスメントが行われるなどということは、あってはならないことである。
文部省としては、昨年11月にセクシャル・ハラスメントの防止等に関する人事院規則が制定されたことを受け、本年3月に文部省内部部局、国立学校等を対象に「文部省におけるセクシャル・ハラスメントの防止等に関する規程」を制定し、その旨を国立大学等に通知したところである。
各大学におかれては、この通知の趣旨を踏まえ、国民の不信や社会の疑惑を招くことのないよう適切な対応をお願いしたい。
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