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近畿地区国立大学長会議(10/15)質疑内容
([he-forum 395] 近畿地区国立大学長会議(10/15)質疑内容)
近畿地区国立大学長会議(10/15)質疑内容
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10/15に行われた近畿地区国立大学長会議の質疑内容が入手できましたので、こちらに転載させていただきます。他の地区と同様の質疑内容ですが、9/20以降、開催まで日が経過しているため、その後の各省庁の動き、またそれを受けた文部省の意見、大学への作業依頼内容などがある程度明らかにされていることが注目されます。
神戸大学工学部支部書記局
水畑 穣
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■ 佐々木高等教育局長挨拶
○ 9月20日以降の動きとしては、中央省庁等改革推進本部、大蔵省などの関係省庁に基本的考え方について説明を行った。先方からは、文部省の考え方を示したものであって、国大協や各国立大学とすり合わせをして成案としたものではないこともあり、独立行政法人制度としてふさわしいものであるかどうかの意見を述べる状況にはないとされた(言われた)。国大協や各大学とすり合わせ、協調点を見出した段階でこれら(改革推進本部、大蔵省等)との論議をする必要があろうと考えている。
○ 今後のスケジュールは、来年度の出来るだけ早い時期(12年4月中)に独立行政法人化するかどうかの結論を出したい。特例措置を講じた上で、現行の制度とも比較しながら検討し結論を出したい。
○ 1.各大学が自主性、自立性、主体性を持ち、各大学の教育研究が発展する基本的条件が整い、各大学の自己責任で行われること。
2.評価は国と異なる機関で適切に行われるかどうか。
3.教育研究の性格上、人事において自主性の担保ができるかどうか。
4.独立採算制はとらない。独立行政法人化以前のシステムの維持、財政措置が十全になされるか。
(以上の)特例措置が講じられるかどうかを検討の上、4月くらいには結論を得たい。
○ 独立行政法人化は、大学改革と抵触するとの意見もある。また、これまでの大学改革が過少評価された結果との意見もある。大学改革とは別の視点から独立行政法人化の意見が出ている。大学改革については、大学審の答申により、
1.世界的水準の高等教育
2.それを可能にするような意思決定システム
3.多元的な評価システム
が提示されている。平成3年の大学設置基準の大綱化は、大学の自由度を増すとともに、世間に対する自己責任を果たすことという両面性を持ったものであった。大学改革の理念に沿っての改革は、設置形態のいかんにかかわらず行うべきものである。独立行政法人化は、国が主体となるべきではないが、民間に任せておいては必ずしも実施できないものについて行われるものである。独立行政法人化の論議は、行政改革の議論として、提示されたものであるが、大学の活性化のためのものである。平成15年までに結論を出す。結論を出すに際しては、本年4月27日の閣議決定において「大学改革の一環として検討し」としている。独立行政法人化が大学改革として構築されるものであるかどうかの検討が必要で、独立行政法人化によって教育研究が進展するかどうかがポイントである。教育研究が確実に行われるか、民間に委ねた場合、十全に行われないものであることが必要である。これまでの機能の維持が必要である。
○ 1大学1法人の考え方をとることの理由は、各大学の自主性、自立性を高め、個性化を推進するためである。
○ 特例措置の扱いについては、まず通則法がある。先行機関は、通則法にもとづいて設置されることになっている。通則法の中で認められ、個別法で特例が認められるが、通則法を越えた特例措置が認められるものもあるのではないか。
1.通則法だけ
2.個別法で配慮
3.通則法の例外措置
の3種類がある、と考えている。具体的、最終的には、内閣法制局の判断を仰ぐことになるであろう。独立行政法人制度の枠内で対応しなければならない。独立行政法人制度とは別のものを考えるということもあるが、独立行政法人制度に保障されているもの(財政措置等、例えば、独立行政法人化前の財政措置に沿った対応など)が保障されないのではないかとの危惧もある。議論としてはあっても現実問題は難しい。
○ このように考えた場合、独立行政法人化することによって教育研究が発展をすることになるということで独立行政法人化するのであれば、独立行政法人化を受け入れるということもあり得る。
○ 99大学すべてが独立行政法人化することが必要で、残る大学があることは想定しがたい。
○ どういう段階で独立行政法人化するかについては、12年4月に独立行政法人化の結論を出しても、制度設計には時間がかかるので、現時点では未定である。全大学一斉かどうかも未定である。国大協、各大学の考えも聞きながら決めていきたい。
○ 各大学が果してきた役割、つまり教育研究、地域貢献などについて独立行政法人化後も継続、発展させていく。目立たない分野などが不利になることがあってはならないと考えている。
○ 13年1月から10%の定員削減計画が始まる。また、独立行政法人化などを含め25%の削減計画がある。何もしないと10%の削減がかかってくる。さらに25%の削減ができないとなると、より大きな(純減)定削がかかってくることを念頭に置かなければならない。国立大学に有利になるように、独立行政法人化についての結論を出すということも考えなければならない。独立行政法人化を決めた段階で10%定削の割当ては緩和してもらい、独立行政法人移行後は10%定削から外してもらうなどの措置を考えたい。
○ 各大学におかれては、仮に独立行政法人化すれば何をどのようにしなければならないか、ということを検討して意見をいただきたい。
■ 質問事項に対する説明(杉野大学課大学改革推進室長)
〔基本的・総論的事項〕○が質問 ●が回答
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○ 大学の基本的な組織・運営に係わることであるので、大学審議会などでの議論を行うべきではないか。(大阪大学)
● 大学審議会は、学校教育法に定められているように、国公私立の大学一般の大学の設置基準や学位に関する事項を審議する審議会である。国立大学の独立行政法人化は、国立大学だけのものであるので設置者としての文部大臣の判断で決める事項であり、大学審議議会へ諮問する事項ではない。
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○ 学科、専攻等を大学が決める際の大学設置審議会の係わり方はどのようになるのでしょうか。(神戸商船大学)
● 現在、公私立の認可事項について大学設置・学校法人審議会に諮問しているが、国立大学の同様の事項については同審議会に「意見伺い」をしている。独立行政法人化した場合、現在の国立大学と同様の扱いとしたい。
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○ 独立行政法人される場合にあっては、少なくとも、今回文部省から示された諸々の特例措置などが実現されることを期待するが、仮にそれが実現されないことが明確になったときには、文部省においては改めて設置形態の在り方を再検討することを考えているか。(大阪大学)
○ 国立大学が独立行政法人化される際の特例措置が総務庁辺りですんなりと認めていただけるものなのか。かなり困難を伴うのか。どこまでなら譲歩して、どこまでなら譲歩できないと考えているのか。大半の点で認められないなら元の独立行政法人反対に戻るのか。それとももう戻らないのか。(奈良女子大学)
○ 文部省の検討の方向には、当然のことながら未確定のものが多いように思われます。「〜の方向で検討する」という場合、その実現を是非とも期待しますが、特例措置等で、今後、特に困難が予想されるのはどのような点でしょうか。(大阪教育大学)
● 特例措置が認められることが当然の前提である。関係方面に十分説明し、理解を得たい。特例措置が認められない場合、独立行政法人化は困難になるので、その場合には対応を検討することとなる。
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○ 文部省案が求めている「特例措置」を認めるかどうかはどこが決める権限をもっているのか。もし、要求が認められない場合、文部省としてどういう対応を考えているのか。(神戸大学)
● 特例措置を認めるかどうかの権限は、政府部内では、中央省庁等改革推進本部であるが、法律となるためには国会の決議が必要である。したがって、広く国会関係者、国民世論の理解が必要である。
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○ 独立行政法人によって教育系単科大学は様々な困難に直面することが予想されます。この点についての文部省の考えはどのようなものでしょうか。(大阪教育大学)
● 独立行政法人は独立採算性を前提としていない。運営費交付金は、大学の意見を聞いて認可される中期計画に従って交付される。国立大学の各分野を踏まえた運用が行われる。
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○ 義務教育は国の責任において実施され、その教員を養成することについても同様に国の責任において行われるものとの観点から1県1教育大学の方針が立てられたものと考えるが、国立大学の独立行政法人化の検討に際し、教員養成大学・学部についてもほかの大学と同様に考えるのか。(奈良教育大学)
● 独立行政法人は、行政の一環を担うものであり、公的な一端を担うものであって、民営化ではない。
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○ 実用・応用の学問分野に限定して独立行政法人化するということは考えられないのか。(奈良女子大学)
● 不利にならないよう、確実に手当てすることとしている。
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(10について)
○ 「検討の方向」では「……検討する」と「……する」との表現がある(例えば、中期目標の項目で「……評価委員会は、教育研究に係る事項については、「大学評価・学位授与機構」(仮称)の専門的な判断を踏まえて主務大臣に意見を表明することとし、そのための特例措置について検討する」とあり、一方、「……中期目標を定める際、文部科学大臣に各大学からの事前の意見聴取義務を課すなど
の特例措置を法令に規定する」と言い切っている、など)が、その違いはどのようなものか。(神戸大学)
● 「検討する」とあるのは、なお検討・選択幅が広いものである。例示の「そのための特例措置について検討する」とは法令によるか、実効上によるか、検討の余地があるものであり、「法令に規定する」とはその方向で措置したい、ということである。
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〔法人単位〕
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○ 同じ都道府県内に複数の大学がある場合には、これらをまとめて1法人とする考え方もあるが、これについてどう考えるか。仮に、将来的に(又は法人化の時点で)複数機関の統合も念頭に置くとした場合、地元の意向・要望等に対して国としてどのように対応する考えか(個々の機関による調整に委ねる方向か。)。(奈良教育大学)
○ 国立大学全体で一つの法人という余地はないのか。(奈良女子大学)
● 独立行政法人化は、各大学の自主性、自立性を高め、個性化を推進するというものであることから1大学1法人としたものである。また、複数大学で1法人とした場合、各大学の独立性が損なわれる。教育研究体制の基盤強化のため統合して独立行政法人化したい大学については相談を受け対応したい。
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○ 独立行政法人化の検討の方向によると、大学の運営管理や予算等は、柔軟に対応出来ることになるが、一方、文科系の規模の小さい大学がそのまま法人化すれば大学運営が極めて困難になることが予想される。従って、大学の整理統合も検討課題にのぼってくると考えられるが、文部省の見解を伺いたい。(滋賀大学)
● 独立行政法人は独立採算性を前提としていない。特定大学が不利にならないようにしたい。
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○ 独立行政法人化に当たっては、国立大学の統廃合を視野に入れておられるのでしょうか。また、その際、統廃合のモデルケースをあらかじめ持っておられるのでしょうか。(大阪教育大学)
● 統廃合のモデルケースは、持っていない。
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○ 一大学一法人の原則が打ち出されていますが、独立行政法人化された後に再編統合されていくのではないかとの見方もあり、法人の設置形態についての将来的な見通しを示してほしい。(神戸大学)
● 法人設置形態についての将来的な見通しは、持っていない。
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〔名 称〕
○ 「従来までの名称、活動実態、経緯等を尊重して検討する」とはどういうことか。従来の名称ではいけないのか。従来の名称を変更しなければならない場合があるのか。(神戸大学)
● 「方針」では「その名称は「国立」という文字を用いることを含め、個々の独立行政法人の事務及び事業の内容、独立行政法人化以前の名称等を総合的に勘案しつつ検討するものとする」とされている。推進本部では、「独立行政法人」という名称を上につけるとしているようである。現在の名称を使用できることとしたい。
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〔業 務〕
○ 大学法人の「業務」について「法律で全大学に共通の業務を規定し、法令で各大学ごとの業務をある程度具体的に規定する」とあるが、その「法律」とはどのような法律か。個別法ではないようであるが。(神戸大学)
● どういう立法形態かということであるが、少なくとも各大学ごとに法律を作るのではなく99大学で1本と考えている。業務は、その1本の法律で定め、学部、研究科などを規定したい。
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〔組 織〕
○ 「監事」について、「外部の者」とはどういう者を指すのか。(神戸大学)
● 学外者である。監事の任務は、独立行政法人の業務を監査したり、監査結果に基づき、必要があると認めるときは、法人の長又は主務大臣に意見を提出することである(通則法19条4項及び5項)ので、学外者が参加することが必要である。
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○ 学長以外の役員として、本学のような小規模大学にも複数の副学長をおくことができるか。また、経営担当の副学長は教員でなくてもよいか。(奈良教育大学)
● 役員の数は、各法人ごとに個別法で定めるとされている。法人の規模などを考慮して決めることになる。法人の長及び監事以外の役員の資格は、通則法20条に定められているとおりである。教員である必要はない。副学長の任命権は、法人の長にある。
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○ 評議会、教授会は「意見集約、意志決定に不可欠の組織」として法令に規定するとのことだが、その組織運営については今年成立した関係法令を前提とするのか。(神戸大学)
● そのとおりである。より一層、自主的、自立的なものとしたい。詳細については今後検討したい。
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○ 内部組織について、学部・研究科などの教育研究を実施する基本組織を除き、各大学が主体的に決定、変更、改廃することができることが可能となる、とされているが、設置審との関係はどうなるのか。(神戸大学)
● 基本的・総論的事項の(2について)で答えたとおりである。
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○ 内部組織で「事務組織等その他の組織は、各大学が決定する」とあるが、一方で任免等で「事務職員人事の活性化のため、法人間等の交流を可能とする方途について検討する」とある。現状を踏まえた事務組織及び給与等について一定のガイドラインを作る必要があるのではないか。(神戸大学)
● 基本的には各法人が決めることである。給与も同様である。しかし、法人間の交流のため、指摘の点を含めて検討したい。
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○ 国立大学の独立行政法人化の検討に当たり、例えば、教員養成大学から学芸・教養大学への転換など、現在の枠組にとらわれない組織を検討することもありうるのか。(奈良教育大学)
● 独立行政法人化と切り離して検討すべきものである。
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〔目標・計画〕
○ 中期目標について、大学からの事前の意見聴取義務ではなく、意見の尊重義務を規定すべきではないか。若しくは、主務大臣の認可事項とすべきではないか。(大阪大学)
● 目標の指示、評価は独立行政法人制度の根幹である。目標は独立行政法人の自主性
のもとで運営していくための必須のものである。中期目標を独立行政法人が定めるとするのは、制度になじみにくい。意見聴取を特例で定めることで各大学の意向を十分反映できると考えている。
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○ 各法人は中期計画を作成し、主務大臣の認可を受け公表するとされているが、今後検討されるこの中期計画の内容は、例えばどのようなものを想定されているのか伺いたい。(滋賀大学)
● 通則法には「業務運営に効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置」など中期計画記載事項が定められている。具体的記載事項については、関係者の意見を聞きながら対応したい。
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○ 大学の教育研究の評価は、長期的な視野が必要であると思うが、中期目標の期間を5年としたのはなぜか。(大阪大学)
○ 中期目標・中期計画の期間が5年とされているが、大学の教育研究活動からすると短かすぎるとの意見もある。この点についてどのように考えるか。(神戸大学)
○ 大学における研究は、科学的な発見や真理の探究を行うことであり、研究者の自発性や主体性に基づき、長期的な視野に立って、人類の存在や幸福に真に貢献することである。
このような基礎研究は、長期的な視野に立った洞察や思索と検証を要するものである。中期目標や中期計画は5年の機関とされているが、このことからショートレンジでの成果を挙げることが国立大学に要請され、それは一時的に有用であっても、必ずしも人類の発展に真に役立つものではないものに研究が行きつくおそれがある。中期の目的的な研究は、技術の開発には有効であるかも知れないが、往々にして科学的な理念の下に行う研究とはそごをきたすことが少なくなく、これが引いては世界水準の発展や成果を目指した研究を阻害するおそれがあると考えるが、どうか。(奈良先端科学技術大学院大学)
● 教育研究の長期性を考慮し、最長期を選択したものである。その期間に計画の完成を求めているものではない。
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〔評価等〕
○ 主務官庁におかれる評価委員が用いる評価の基準について(京都教育大学)
● 中期目標、中期計画の内容にかかるものであり、中期目標、中期計画の検討の中で検討したい。
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○ 法人化された場合に、各大学を評価する「評価委員会」が設置されることになるが、このメンバーはどのような構成になるのか。また、「評価委員会」における評価項目の具体的な内容はどのようなものか。(奈良教育大学)
● 評価委員会のメンバーは、主務大臣が任命するものであり、今後検討したい。評価項目は、基準と同様、中期目標、中期計画の検討の中で検討したい。
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○ 評価に関し、大学の教育研究に係る事項については、大学評価・学位授与機構による評価に委ねることとしてはどうか。(大阪大学)
● 独立行政法人の評価委員会の評価は制度の根幹である。評価の主体を評価委員会以外の機関とするのは困難である。
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○ 評価に関して、総務省の「審議会」はどのような権限を持つのか。また、「評価委員会」との関係はどうか。(神戸大学)
● 大学評価機関(仮称)創設準備委員会の中間報告では、大学評価・学位授与機構は運営面の評価は行わないことになっている。
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○ 「大学の教育研究が非定量的な性格を有し、また、経済的な効率性に必ずしも馴染まない」ことから、中期目標や中期計画の内容を検討し、また、評価に当たっても、「教育研究に相応しい評価基準、評価方法」について検討するとされているが、研究に比して教育については、中期目標や中期計画の策定と評価が客観的な方法によることがより一層困難と考えるが、どうか。
また、教育の実績をどう評価するかが困難の問題であることによって、研究成果のみを追求する研究重視に陥り、大学における教育に対する考慮が、ややもすると不足することになるおそれがあると考えるが、どうか。(奈良先端科学技術大学院大学)
● 総務省の「審議会」は通則法で規定されている通り、個別法人を評価するのではなく評価委員会の(評価の)評価を行うことになっている。なお、総務省は、現在の総務庁の権限と同じ権限をもつことになるが、その点で各省行政のすべてにわたって評価する権限をもっている。
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○ 毎事業年度及び中期目標期間終了時における業績の評価については、大学評価・学位授与機構(仮称)の関与が想定されているが、教育はもとより、科学の各分野における評価基準や評価方法を定めること自体が非常な困難を伴うと考えられる。(奈良先端科学技術大学院大学)
● 大学審答申において、教育についても評価の対象とすることが適当であるとされており、教育活動といえどもその特性に応じた計画を作ることは可能であると考えている。
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○ 各大学における自己点検・評価における経験の集積、大学評価・学位授与機構における研究などから一定の結論が引き出され、その基準や方法がかくりつされることになろう。しかしながら、評価がその法人のその後の運営、財務等に大きな影響を与えるものであるならば、それが確立されると同時に、それを外形的に満足させることによって評価のスコアを高めようとするようなことも予測されよう。このような評価基準や評価方法が教育研究の実際を客観性を持って(あるいは国際的な基準によって)常に的確に把握し得るためのどのような担保が考えられるか。(奈良先端科学技術大学院大学)
● 大学評価・学位授与機構(仮称)による評価の在り方については、現在検討されている。独立行政法人化した場合の教育研究に関する事項の評価は同機構の評価の結果を踏まえて行う特例を設けることとしている。なお、教育を軽視してはならないという点は、重要な指摘と思う。
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〔人 事〕
○ 教職員の身分についての現状との差異について(京都教育大学)
● 独立行政法人の職員については、国家公務員法及び教育公務員特例法の適用を前提
としている。現行と同様である。ただし、給与法や勤務時間、休暇等に関する法律は適用外である。労働三権の関係では、団結権及び団体交渉権はあるが、争議権はない。団体交渉権には、現在認められていない労働協約締結権を含んでいる。
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○ 人事(身分)の特例措置等の検討の方向として「長期的観点に立った自主的、自立的な教育研究を可能とし、かつ、教育研究の活性化の観点から法人間の異動を促進するため、国家公務員とする」と明記されているが、国家公務員の身分を与えることを実現できる可能性はどの程度あるか。(兵庫教育大学)
● 公務員型は、「その業務の停滞が国民生活又は社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすと認められるものその他当該独立行政法人の目的、業務の性質等を総合的に勘案して」決められる(通則法第2条)。国立大学の場合、公務員型になるよう説明し、理解を得たい。
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○ 職員は法人の長が任命する(通則法)とあるが、国家公務員型の場合に、職員を解任できるのか。独立行政法人移行の過程で、かつて国鉄の民営化で行われたような、新独立法人への採用拒否などの問題が起きないか。(神戸大学)
● 職員の解任は長ができる。ただし、教育公務員法の手続きがある。改革推進本部決定では、これまでの良好な労働関係を維持するとされている。
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○ 文部科学省と各法人間又は各法人相互間での異動はあるのか。(神戸大学)
● 独立行政法人の職員の任命権は、学長がもつ。しかし、優秀な人材の人事交流のための方途については検討したい。従来よりも、学長の意向がより反映するということはあるかもしれない。
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○ 「評議会により実質的な学長選考が行われるよう、学長の選考方法を検討する」とはどのような選考か。現在ほとんどの場合、教官による選挙が行われているがこれはどうなるのか。早稲田、慶応など有力私立大学において学長(総長、塾長など)の選考について選挙により行われていると聞くが、同様ではないか。学部長等についても教授会による選挙が行われており、その結果で学部長等が選任されているが、この学部長等の選考はどうなるのか。(神戸大学)
● 学長の選考について、教特法では「評議会の定めた基準により評議会が選考する」と規定されている。多くの大学において教員の選挙により選考が行われているのは承知しているが、形式的にも実質的にも教特法の規定によることを考えている。関係方面と相談しながら検討したい。
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○ 職員の給与は独立行政法人ごとに決めることとなると思われる。大学法人間の流動的な人事の実施のために大学法人ごとにバランスのとれた制度にする必要があるが、どのような仕組みが考えられるか。(神戸大学)
● 給与については、国家公務員の給与、民間企業の従業員の給与等を考慮して定めなければならない、と通則法に定められている。法人間での著しい格差、現在の国立大学との差などは生じないのではないか。
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○ 各大学の定員総数は、どのように決められるのか。現在程度の教職員数は確保されるのか。(大阪大学)
● 各大学の定員総数は各大学が自主的に決定する。
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○ 独立行政法人化と定員削減の関係についての見通しを示してほしい。独立行政法人化しても、10%の定員削減が現在の国立学校定員にかかってくるのか。(神戸大学)
○ 国立大学の独立行政法人化に当たって講ずべき特例措置等の具体的な方向について結論を得、立法化や概算要求等の手続きを経て、仮に、平成13年度4月から独立行政法人化した場合、「10年間で少なくとも10分の1の削減」(4月27日の閣議決定では、平成13年1月1日から実施)との関係はどうなるのか。(奈良教育大学)
○ 仮に独立法人化を宣言すれば、国家公務員削減計画はかかってこないのか。反対し続ければかかってくるのか。(奈良女子大学)
● 独立行政法人化以前は、(独立行政法人化の方針を決めても移行するまでは)国の行政機関のままであるので10%の定削の対象になる、と理解している。移行してしまえば対象外となる。局長の話にあったが、可能なかぎり削減率を下げたい。決定後は定削がかからないようにしたい。
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○ 独立行政法人は総定員法等法廷定員制度の枠外になるから25%削減の対象にならないということであるが、10%削減の対象にはなるということか。また、独立行政法人化しても国家公務員とするのであれば、俸給・手当等は国費で支給されることになり、行政改革の方向とは相容れないのではないか。(和歌山大学)
● 独立行政法人化は、効率的、効果的な運営を行うための制度である。経費削減を目
的とした制度ではない。
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〔財 務〕
○ 9月20日の会議では検討の方向が具体的に示されなかった事項(財務関係等)についてはどのような形で明らかにされるのか。(大阪外国語大学)
● 今後12年度の早い時期までに結論を出したい。独立行政法人化の先行機関を参考にしながら検討したい。
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○ 「自主性・自律性・自己責任を基本」とあるが、現行の予算・定員要求の仕組みが変わらなければ大学の教育・研究組織の編成、教職員配置に関する自主的決定は困難だと思うが、予算・定員要求の仕組みはどうなるのか。(大阪大学)
● 定員は国の定員管理の対象外とされており、長が決定する。
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○ 十分な公的資金が投入される必要があるが、その保障はどのようにされるのか。(大阪大学)
● 局長の説明したとおりである。
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○ 国からの運営費交付金は使途の内訳が特定されないとすれば、どのようにして積算され、交付金総額が決定されると想定しているのか。(神戸大学)
○ 運営費交付金は、収支の差額補助となるのか。(神戸大学)
○ 運営費交付金の予算措置は国庫債務負担行為形式とするのか、毎年度要求とするのか。(神戸大学)
○ 独立行政法人化した当初は現在と同じ程度の予算措置がなされると思うが、それから後の予算措置がどうなるかの見通し。(奈良女子大学)
○ 予算が評価などに基づき傾斜配分されるとすればどのような基準で行われる見通しか。(奈良女子大学)
○ 基本的教育研究経費の保障について(授業料等の収入との関連において)(京都教育大学)
● 今後検討したい。
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○ 学生定員、授業料の決定について、大学はどの程度裁量権が与えられるのか。(大阪大学)
○ 授業料は各大学の決定した額によることになるのか。(神戸大学)
● 学生定員については、公私立では認可事項になっている。中期計画記載事項として文部大臣が判断することになる。授業料は自己収入として自己決定が基本である。国立大学が果たしてきた役割は維持する。分野を問わず、学生の経済状況いかんにかかわらず、進学できるように配慮しなければならない。
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○ 授業料が今後も国立大学で一律になるのかそれとも差が出てくるのか。(奈良女子大学)
● 慎重に検討する。
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○ 病院収入については、どのように扱われるのか。(神戸大学)
● 病院収入については、自己収入であり自主的に管理するものである。
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○ 「中央省庁等の改革の推進に関する方針(平成11年4月27日 中央省庁等改革推進本部決定)」の本文21、財源措置(6)-エ「現在の地方財政再建促進特別措置法施行令第12条の2各号の規定との均衡にも留意しながら、一定の要件のもとでの地方公共団体からの独立行政法人に対する自主的な寄付等を可能とすることについて検討する。」とありますが、文部省としての考え方をお伺いしたい。(滋賀医科大学)
● 自治体の施設を移管する場合などについて検討したい。
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○ 独立行政法人に対する現物出資の際、現在当該国立大学として有する(管理する)財産をそのまま国が出資することになるのか。一部分が出資されることになるのか。(神戸大学)
○ 現物出資に関し、省庁別公務員宿舎、普通財産、物品はどのように扱うのか。(神戸大学)
● 各大学ごとに財務当局と協議し確定することになる。
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○ 委任経理金制度等の特例措置などの現行の国立学校特別会計制度が有する利点を出来るだけ維持する。」とあるが、独法化すれば「特定公益増進法人」となり、現行上企業等からの寄付は100%税制優遇されていないが、今後の取扱はどうなるのか。(和歌山大学)
● 他も参考にしながら具体的方途について検討したい。
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○ 独立行政法人化の場合、国立学校特別会計制度は廃止となるのか。(神戸大学)
● 現在特別会計の在り方について推進本部での検討が進められている。その状況を見ながら検討したい。様々な特例措置が維持できる方向で検討したい。
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〔スケジュール〕
○ 文部省として独立行政法人化問題の今後の具体的スケジュールと見通しをどう考えているか。(京都教育大学)
○ 国立大学の独立行政法人化問題について、文部省として一つの方向を示されましたが、今後、どのようなスケジュールを想定しているのか。(大阪大学)
○ 各方面との折衝等今後のスケジュールについて(大阪外国語大学)
○ 独立行政法人化する場合の移行時期について、一斉に移行するか、年次計画で移行するかが明らかにされていないので、具体的なタイムスケジュールを示してほしい。(神戸大学)
○ 独立行政法人化するとした場合の移行日程の大筋を知りたい。(神戸商船大学)
○ 仮に独立行政法人の結論が来年度初めに出るとしても、実際独立行政法人になる時期は当初予定の2003年以降と理解してよろしいか。(奈良女子大学)
○ 今回の文部省の見解の中で「検討する」とされている事項については、出来る限り早く記載の方向で明らかにすべきではないか。(大阪大学)
○ 独立行政法人化の問題について、本学においては理念論、組織運営論、財務論の各観点から検討しているが、いつ頃までにまとめて意見を表明すればよいか。(大阪大学)
● 局長の話にあったとおりである。
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〔その他〕
○ 特例措置等の検討の方向は理解できるが、現在具体的内容は必ずしも明確ではない。詳細の内容は別として、ある程度明確になった上で検討し、最終判断がなされるべきであると考える。(兵庫教育大学)
● 同様に考えている。
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○ どのような設置形態であれ、次の点の確保は、絶対的に不可欠である。
1.法人の長(学長)の任命・解任は、大学の意思に基づくものとすること。
2.研究者(教官)の教育・研究・学問の自由
3.公的財務支援は、少なくとも現在の水準よりも低くならないようにすること。(大阪大学)
● 同様に考えている。
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○ 運営交付金のはいふについては、全体枠の増額と共に、経営機能の強化のためにも小規模大学の教育研究、法人運営の活性化に十分配慮してほしい。(神戸商船大学)
○ 大学自身が教育研究の活性化に向けて自主的、自発的に常に自己評価と自己改革に努めることが今後一層必要であると考える。このような努力によって、外部資金の獲得にも意を用い、個性あふれる大学づくりをすることが重要であるが、国立大学の基本的な役割をかんがみると、教育研究や運営に必要かつ十分な財政措置をお願いしたい。また、柔軟かつ弾力的な予算の執行ができるようにすることも併せてお願いしたい。(奈良先端科学技術大学院大学)
● 私立大学との差異や国立大学の役割を引き継ぐ形で独立行政法人化を考えている。
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