独行法反対首都圏ネットワーク

独立行政法人にみる小渕行革の欺まん
(1999.11.17 [he-forum 367] 高知新聞11月14日付)

99年11月14日

独立行政法人にみる小渕行革の欺まん

 省庁再編に伴い、二〇〇一年四月から順次新設される独立行政法人の実相が明らかになってくるにつれ、小渕行革の「化けの皮」もはがれてきた。
 省庁から事務・事業の執行部門を切り離してスリム化を図り、企業会計原則も適用して行政の効率化を促す。この独立行政法人化の目的は、官僚機構の実質的な温存を許し、彼らの既得権益を保全する手段になりかけている。そうである以上、到底容認するわけにはいかない。
 独立行政法人化は、イギリスのエージェンシー(外庁)制度を手本に、橋本内閣当時に導入を決めた。
 その方向付けに当たっては、職員の身分を現在の国家公務員と同等扱いの「公務員型」とそうでない「非公務員型」の二類型に分けることにしたが、行政スリム化の観点からは非公務員型にどれだけ移行させられるかがポイントだった。
 しかし、橋本内閣の後を受けた小渕内閣は、実に全体の九九%に当たる約六万六千五百人を「国家公務員型」とする方針を既に固めている。
 身分保障を強く求める省庁側の意向をほぼそっくり「丸のみ」したわけで、この時点でもう、化けの皮は半分ほどはがれていた。
 期待を裏切る欺まん的行為はそれだけにとどまらない。今度は、独立行政法人への官僚の天下りを担保するのである。
 今国会に提出された各法人の設置法案が、それを裏付ける。
 法案では、各法人は理事長一、理事―数人、監事二人の役員体制を置けることとし、役員には民間人のほかに官僚OBの起用を認めている。
 その役員総数は、最大二百八十八人にも上る計算だ。このうち現在の本省審議官クラス以上のポストは八十ほどと見込まれるが、そこがすべて官僚からの天下りで埋まれば、ポストは今の三倍以上に増えることにもなる。いわゆる「焼け太り」になるわけで、この装置を仕組むこと自体が国民に対する背信行為と言えよう。
 そもそも小渕内閣には当初から、「経済再生路線」で得点を稼げば行革の方は手抜きしてもダメージは大きくない、前任者が敷いたレールの上を歩けばよい、といった姿勢が見え隠れしていた。
 国家公務員の定数削減にしても、当初は「十年間で一〇%」だった目標を、自民、自由両党の政策合意によって「十年で二五%」へと引き上げはした。が、これは、独立行政法人への移動分も二五%分の中に含めるというでたらめな算式でクリアしようとしている。
 ここにも小渕流のまやかしは顕著に表れている。小渕行革路線をこのまま許すようなら、進むものは何もない。いや、確実に以前よりも後退する。



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