独行法反対首都圏ネットワーク

「6大学法文系学部長会議」報告
(1999.11.15 [he-forum 360] 6大学法文系学部長会議)

千葉大学文学部で以下のような学部長報告がありましたので、お知らせします。なお、6大学とは新潟、金沢、千葉、熊本、香川、岡山です。

小沢 弘明

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 「6大学法文系学部長会議」報告

 独立行政法人化問題に関わり以下のような議題がありましたので報告します。

 日時:平成11年10月28,29日
 議題:独立行政法人化への対応について

 千葉大学提案「独立行政法人化について平成12年夏までに結論を出すとしていますが、この国立大学の設置形態に関わる重要な問題について、どのように対応されているかお伺いしたい。(他金沢大学・新潟大学から同一議題提案)

 これについて、まず文部省高等教育局大学課大学改革推進室長 杉野 剛氏から独立行政法人化に関する文部省案について概略の説明があった。その後以下のようなQ&Aによる補足説明がなされた。

1)―――行政の効率化スリム化を目的として行政改革の一環として導入することは、国立大学にはふさわしくないのでは?

―――通則法だけの下で国立大学を独立行政法人化することはできないと思っている。だがこれに特例措置を埋め込むことができればメリットがあると考える。国の行政機関のままだと定員削減の対象となる。国立大学を独法人格をもって運営できればメリットは大きい。

2)―――国立でいるか、独法人になるか、しかないのか。第三の選択はないのか。1から別の制度をつくるという、オーダー・メイドの制度はできないか?

―――それを主張するのは危険ではなかろうか。メリットが埋め込まれている。それに乗るかどうかの選択だ。国立大学も拒否し、独法人を拒否し、他のものになるためには1から作り上げ、勝ち取ってこなければならない。独法案はすでに通過している。国立大学だけ別としたとき、他の省庁の並びは無いと自覚しなければならない。

3)―――学校法人とどこが違うか。民営化ではないか?

―――独法人としての規制を放棄するということは、国のサポートを放棄することでもある。さまざまの特例措置を主張することが得策だ。国立にとどまれば定員削減が来る。移行するまでの間は国立として原則は定員削減の対象となるが、独立行政法人化を決定したら、定員削減外としてもらえるよう働きかける。10%削減でも、国立大学の教育研究に大きな影響を与えるだろう。

4)―――人減らし対策としての独立行政法人化か?

―――大学の自主性を高め、大学改革の一環として行う。自主性・自律性が損なわれるものであれば拒否すべきものと考えている。それが拡大するのであれば進めたい。

5)―――「特例措置」が認められなかった場合にはどうするか?

―――特例措置なく独立行政法人化することはない。その場合にはその時点で在り方を考えていく。

6)―――大学審議会答申を受けて大学改革を進めている。文部省は独立行政法人化に反対していたではないか。なぜ急に態度を変えたか。

―――すべては大学改革だ。改革とは以下の3点だ。(1)規制を排除して各大学の教育研究システムを柔軟化する。(2)各大学が責任をもって意志決定を行い、実行することが可能なシステムにする。(3)教育研究の改善のために多元的な評価システムを確立すること。

7)―――国立大学を念頭におかずに設計された通則法は、まったくにつかわしくない。

―――現行の教特法による行政機関としての在り方も、本来国立大学にはなじまない。もっと現実的な対応をすべきだろう。

8)―――独立行政法人化により、外部資金の導入の不可能な大学・学部は不利ではないか?

―――民営化を求めているのとはちがう。独立行政法人化は公共上の見地から確実に実施されるべきもの、民営にゆだねては実施できないものを行う。独立採算制を一般化するものではない。各大学から出される予算で自己収入がはかれるものはよいが、まかないきれないものは国の予算で措置する。

9)―――国公私立の役割など問題が多い。拙速を避け、もっと時間をかけて検討をする必要があるのではないか?

―――世の中のスピードを考えるとそうしてもいられない。政権が変わるごとに厳しくなっている。特例措置により押さえるべきところをまず押さえ、平成12年度早い時期に骨格部分を決定する。運用面については、じっくり制度設計をする。

10)―――法人化で定員削減を避けられるという保証はあるか。顧問会議などで、定員削減に聖域はないという議論もあるが。

―――そういう議論もあることは承知している。運営交付金という形で圧力がかかることはありうる。しかし必要なものはとってくる。

11)―――学生定員はどうなるのか。

―――学生定員と教官定員とは切り離される。学生定員は自由にしない。現在でも公私立大学ともに文部大臣の許認可事項である。私立大学との均衡もあり、一方的な定員増は国政の場で通らない。中期計画に記載される大臣の許認可事項となる。

12)―――99大学を一斉に独立行政法人化するのか、準備ができたところかするのか。

―――決まっていない。

13)―――文部省の方向の実現性はどうか。

―――文部省が独自で出したもので、関係省庁とは相談していない。これからだ。

 概略以上のような説明と質疑応答で終わりました。とくに声明文をまとめるという状況にも至りませんでした。議長は、当初各大学の対応について報告を受けるとしていましたが、時間ぎれでこれもありませんでした。別の席での話によると、新潟大学では学長の旗振りで15人ほどのキャラバンを組み、イギリスのエイジェンシーを調査に出かけたとのことでした。とくにブリストル大学とは大学間協定を締結する際に、独立行政法人化について話を聞いたそうです。



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