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5国立大の連合−より重くなる大学の責任 (11/12 北國新聞社説)
(1999.11.12 [he-forum 354] 北國新聞社説)

『北國新聞』社説1999年11月12日

5国立大の連合−より重くなる大学の責任

 それぞれ目的の異なる東京都内の五国立大、一橋大、東京工大、東京芸大、東京外大、東京医科歯科大が、柔軟な教育プログラムの提供を目指し、大学連合を組む構想が明らかになった。合併や統合とは違い各大学が独立したままで教養教育、単位互換、編入学・学士入学の相互受け入れなどを共同して行う。

 大学の閉鎖的な体質を打破する注目される取り組みだが、受け入れた学生の教育に責任を持つという大学の社会的責任があいまいになりはしないかなど弊害も多い。これを克服するには授業内容の詳細な公表、厳格な成績評価、履修管理など大学の責任はますます重くなると考えるべきだ。性格付けのあいまいな連合は狙いとは裏腹にかえって教育効果が上がらない。

 連合を急ぐあまり、法的な手続きや技術的な論議に終始しては、活性化が望めないが、学生にとっても連合構想は迷惑になる。理念や目的が違う大学からの、しかも理解度や履修歴の異なる学生が混在する授業では、教授陣が焦点をどこに合わせていいのか戸惑うことを忘れてはならない。

 こうした大学連合推進の背景には、昨年十月の大学審議会の大学活性化のための答申がある。さらには予算や人員配分を大学の自主性に任せる国立大独立行政法人化の方向性を来年夏までに得たいとする文部省側の思惑もからむ。

 連合を組むそれぞれの大学は再来年度にも連合を実現させることを目指しているようだ。連合の性格付けはもとより、魅力的で特色あるこれからの大学像、建学の精神に基づくこれからの学生像を明確にして、地方大学にも参考になるよう骨太で幅広い議論を期待する。

 石川県内でも、少子化社会を目の前にして、それぞれの大学が在籍学生の多様な要求を満たし生き残りをかけて魅力ある教育に取り組んでいる。たとえば大学、短大、高専の全十七校で単位互換制度などを導入するための大学連携促進協議会が今夏設立された。富山県でも二短大と放送大との互換協定が始まっている。大学院同士の連携も盛んだ。

 こうした中の連合構想がこれからの国立大のあり方のモデルになるのかどうか、注視したい。



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