独行法反対首都圏ネットワーク

国立大学の独立行政法人化反対! 11.9 鹿児島大学全学緊急集会声明
(1999.11.11 [he-forum 342] 独法化反対!11.9 鹿児島大学全学緊急集会声明)

1999年 11月 11日
フォーラムの皆様へ

田代@鹿大農学部です。

 鹿児島大学教職員組合と日本科学者会議鹿児島支部は、11月9日、「国立大学の独立行政法人化反対! 11.9 鹿児島大学全学緊急集会」を開催し、下記のような「声明」を満場一致で採択しました(参加者126名)。
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国立大学の独立行政法人化反対! 11.9 鹿児島大学全学緊急集会

声 明

1999年11月9日
日本科学者会議鹿児島支部
鹿児島大学教職員組合
 
 去る9月20日、文部省は「国立大学の独立行政法人化の検討の方向」を発表した。これまで国の施設等機関であった国立大学を、独立行政法人にしようとするための案である。

 独立行政法人制度は行政改革会議において行政組織の減量とその効率化をめざして構想された。「独立行政法人通則法」にいうこの制度は、行政における企画立案機能と実施機能とを切り離し、後者を定型的な業務を大量に行う分野において組織的に独立させ、法人化するものである。誰が見ても、「自発性、長期性、多様性を本質とする大学の教育研究にはなじまない」ことがはっきりしている。大学審議会の答申のもとに行われてきたこれまでの大学改革とも、まったく性格を異にしている。「通則法」自体の立法過程でも大学を対象とすることはそもそも予定されていなかったもののようである。

 文部省も今回「検討の方向」を示し、「国立大学の教育研究の特性を踏まえ、組織・運営・管理など独立行政法人制度全般についての特例措置等の検討を行う際の基本的な方向を整理」せざるを得ないほどのものである。しかしながら、今回の文部省案も、大枠は「独立行政法人通則法」を脱け出ておらず、この制度を大学に適用した場合に生じる多数の弊害を取り除くのに成功していない。主な問題点として以下の点が指摘される。

(1)実施機能だけを担うことになる大学は、企画立案機能をもつ主務省の大臣による中期目標(5年)の決定・指示、中期計画(5年)の認可を得なければならず、大学で行われる教育や研究の内容が文部科学省の強い統制下におかれ、大学の自主性や自治、学問の自由が奪われる可能性がある。

(2)文部科学省および総務省それぞれの評価委員会から評価を受ける二重査定システムが新設されるが、その結果は大学の予算、定員、運営交付金等を制約し、組織の改廃・民営化等さえ勧告を受ける可能性があり、教員の任期制があらかじめ組み込まれているのと同じことにならざるを得ないであろう。

(3)また、効率性や短期的な成果だけを求めるような評価では、5年程度では成果の上がらない基礎科学や文化、芸術といった学術分野が切り捨てられることは明白であり、後年になってから評価されるような研究は、日本ではまったく育たないということになりかねない。

(4)新たに企業会計原則による会計・財務諸表の作成が義務づけられ経済効率性が大学運営に求められる一方、財政面で政府が従来もっていた全面的な責任を放棄している。財政基盤が弱く、資金獲得のできない地方大学や特定の学部・学科では、学費値上げを余儀なくされる。経済的な理由で進学をあきらめる人が出てくれば、これは明らかに教育の機会均等および教育を受ける権利を侵害するものである。

 大学の教育研究は、いかなる「不当な支配にも服することなく」真理を探求し、その前提となる学問の自由および大学の自治をつねに闘いとるなかで進められてきた。鹿児島大学では現在、このような学問の自由と大学の自治を守るという立場から、国立大学の独立行政法人化に対して、学長・評議会はもとより多くの学部の教授会そして圧倒的多数の構成員が反対の姿勢をとっている。

 私たちは、多くの国民および大学関係者の意向を無視した文部省の「国立大学の独立行政法人化」案に対し、ここに断固として反対の立場をとることを本集会の名において表明する。



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