独行法反対首都圏ネットワーク

茨城大学教職組
天皇在位十周年記念式典の当日における国旗掲揚に関する要望
(1999.11.10 [he-forum 338] 国旗掲揚に関する要望書(茨城大学))

ネットのみなさま
茨城大学教職員組合では、以下の要望書を学長に提出しました。

以下



1999年11月10日
茨城大学長 宮田 武雄 殿                     

茨城大学教職員組合
執行委員長 酒井はるみ


天皇在位十周年記念式典の当日における国旗掲揚に関する要望

 来る11月12日に国立劇場において上記式典が挙行されること、その際「各省庁においては、式典当日国旗を掲揚するとともに、・・・学校・・・においても国旗を掲揚するよう協力方を要望する」ことが閣議決定され(9月28日)、それを受けて、各国立大学に対しても文部次官から「この趣旨に沿ってよろしくお取り計らい願います」旨の通知が出されております(同日)。
 
 私たち茨城大学教職員組合は、以下の理由によって、式典当日における国旗掲揚に反対いたしておりますので、その趣旨を賢察の上掲揚しない旨の決定をされるよう要望いたします。

1 上記のような要望や通知が出されるについては、先の通常国会で成立した「国旗及び国歌に関する法律」が背景にあると思われます。その審議の過程においても、「日の丸」を国旗とし、「君が代」を国歌とすることに関しては国民各層から賛否の意見が数多く出され、激しい論争が行われました。私たちの組合も、このような意見の対立の下でしかも数多くの反対意見があるにもかかわらず、法律でもって国旗・国歌を制定することに対して反対をしてきました。

2 上記の法律案の審議に際して、法律が制定されてもそれを根拠として国民に対して強制されるものではないことが繰り返し確認されておりました。本学内においても、事務職員、教員、学生の間において国旗に対する考えや姿勢についてはさまざまであります。したがいまして「国旗を掲揚すること」を命じることは職員に対する強制を行うことであります。また「掲揚された国旗」の存在はこれに反対する者たちの「内心の世界」を傷つけたり、あるいは国旗としての認知を、間接的にではあれ、強制するものでもあります。「強制されない」ということの意味に関して細心の配慮を期待したいと思います。

3 教育機関であり研究機関である大学においては、その構成員の信条や信念が多様であることを前提とし、それらの多様性を保障することがきわめて重要な原則であると思われます。しかも、国旗や国歌に対する信条や信念は個人的・私的なものであると同時にそれがどのように取り扱われるかは教育や研究に対しても深い関わりを有するものであります。したがって、大学の機関である学長の判断によって、しかも構成員の間の少なからぬ反対の信条を無視する形で、国旗が掲揚されるということは、大学にふさわしいこととは思われません。国旗や国歌をめぐる多様な論議に対して「機関としての大学」はニュートラルであって欲しいと思います。

4 国旗掲揚の問題は学長の管理権の事項であるといった、あるいは文部省通知ありきといった形式論的で短絡的な判断をなされることなく、国旗・国歌をめぐる論議の系譜及びそれの大学にふさわしい取り扱いといった諸点に十分な配慮をされた上で茨城大学としての判断をされるように期待します。
 



以上。

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