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文部省、5大学連合「高く評価」 (11/10 日経)
(1999.11.10 [he-forum 331] 日経新聞11月10日朝刊)
『日経新聞』11月10日朝刊社会面
文部省、5大学連合「高く評価」
一橋、東京工業、東京外国語、東京医科歯科、東京芸術の有力5国立大学の学長が、実現を目指している「5大学連合」をめぐり、学長らと文部省首脳との初会合が9日午後、東京都内で開かれた。文部省幹部は連合構想について、「国立大学のあり方のモデルとして高く評価する」としており、この日の会合でも、前向きな発言をするものとみられる。各大学の学長は今後、事務担当者らも交え構想の具体化へ向けた協議を本格化させる方針だ。
連合構想は、学生間の交流の活発化や柔軟な教育プログラムの提供を目的として、東京都内にある5大学が独立したまま、教養教育の共同実施や、編入学・学士入学の相互受け入れ、授業の履修を認め合う単位互換などで連携を目指すもの。この日の会合では、これら浮上している事業案に関する問題点などについて、学長側と文部省側とで意見交換したとみられる。(「ニュース解説」参照)
他国立大、推移を見守る・5大学連合構想
独立行政法人化問題をはじめ、改革の渦中にある全国の国立大学が、東京の有力5国立大学の連合構想の推移を注視している。「単科大学が連携し、足りない部分を補い合うという発想はざん新だ」と評価する声がある半面、地方の国立大学の中には、構想を本格的な大学の合従連衡時代の到来を告げるものととらえ、生き残りに危機感を募らせるところもある。
「さすがに東京は時代の流れに敏感だな」。広島大学の生和秀敏副学長は連合構想についてこう感想を述べた上で、「5大学は東京にあって、領域が違うから連合に無理がない。単科大学の連合という形は大学間の一つの連携の方法としてありうる」と評価する。他大学の学長からも、「いい発想だ」といった好意的な発言が目立つ。
ただ、東京で始まったこうした動きに地方の国立大学を中心に戸惑う学長がいるのも事実。東日本のある単科大学の学長は「他大学と距離が離れすぎていて東京のようにはいかない」と話す。西日本のある単科大学の学長も「大学の存亡をより真剣に考えざるを得ない。成り行きを注目したい」と慎重な口ぶりだ。
18歳人口の減少などに加え、独立行政法人化問題を抱える国立大学には、「99ある国立大が、そのまま99の法人になることはできない。魅力的な提携相手がいない大学は淘汰(とうた)もやむを得ない」(西日本の総合大学の学長)といった生き残りへ向けた強い危機感がある。文部省の佐藤禎一事務次官は「これからの大学行政は、従来のような護送船団方式は成立しない。どのようなサービスが社会に提供できるかが大学経営の重要な課題となっており、構想は国立大のあり方のモデルケースとなりうる」と強調する。
大阪大学の岸本忠三学長は「旧帝大も部局間の連携を見直し、良い部分を今以上に活用しなければならない。連合構想は大学が活性化し、競争力を高めることへ向け一石を投じた」と指摘している。