独行法反対首都圏ネットワーク

弘前大職組
東北地区国立大学長会議での弘前大学からの質問事項を一覧して
(1999.11.10 [he-forum 329] 弘前大学職組速報より)

(弘大職組速報 No.932 1999年11月2日)
あきれたことに、愚問の羅列!
大学当局は本気で独立行政法人化問題を検討しているのか?

― 東北地区国立大学長会議での弘前大学からの質問事項を一覧して ―

 弘前大学広報委員会発行10月28日付けの『INFO-HIRO-21』誌面に、10月25〜26日に開かれた東北地区国立大学長会議での、弘前大学からの質問事項が、公表されました。この会議には、文部省から担当官が出席し、独立行政法人化についての説明を行うことになっていました。以下では、1〜6の質問事項を紹介しながら、現在、大学当局が独立行政法人化問題をどのように認識しているのか、探ってみることにします。

1 政府部内の関係機関との交渉状況及び今後のスケジュールについて伺いたい。
 → 9月20日の文部省案「検討の方向」の成り行きを心配しています。しかし、文部省案の中身がいかに中途半端で具体性に乏しいかを、認識しているのでしょうか?また、文部省案でも大学運営そのものに支障をきたすことを知っていたら、文部省案に黙って従うような、こんな脳天気な質問が出せるでしょうか?

2 「国立大学の独立行政法人化の検討の方向」で示された文部省の考え方の実現可能性について伺いたい。
 → このような質問に対して、「検討の方向」を立案した当の文部省は、その案のようにしたいと回答するのは当たり前でしょう。そもそも、文部省案が「検討する」や「措置を講じる」といったあいまいな表現に終始しており、その実現可能性(?)を云々することじたいに、ほとんど意味がありません。

3 「検討の方向」では、大学間、分野間等での再編・整理の記述はないが、今後このような視点での検討もあるのかどうか伺いたい。
 → ここでいう「再編・整理」は、学部や大学そのものの統廃合を指すでしょう。しかし、敢えて統廃合の議論を避けている文部省から、その説明をわざわざ引き出そうとするとは、愚問としか言いようがありません。近時独立行政法人化される諸機関を見ても明らかなように、統廃合の可能性は当然あり得ると思われますが、現段階で文部省がこのことを明言するはずがありません。文部省に聞いても意味のない質問です。

4 「検討の方向」に関しての私立大学関係者の評価、反応を伺いたい。
 → このような質問をするのなら、私立大学に直接聞くべきでしょう。案を出した当事者の文部省に聞いても、文部省に都合のいい説明が返ってくるだけで、私立大学の本音を聞けるとは思えません。

5 国立大学の予算は国立学校特別会計という大枠で運用され、また、特別会計は文部省全体予算の中で種々配慮されてきたところであるが、各大学が、個別独立行政法人となった場合、同様の措置が考慮されるのか伺いたい。
 → 独立行政法人になることを前提にしているような質問です。また、独立行政法人となった場合の状態を質問するにしても、予算の確保についてしか質問していないのは、どういう見識なのでしょうか?

6 国立大学の運営形態に関する意見には民営化の意見もあったと思うが、独立行政法人化することにより、民営化議論が再燃する危惧はないか伺いたい。
 → 通則法による「独立行政法人」化が、「民営」化よりも良い選択だとでも思っているのでしょうか?「独立行政法人」化と「民営」化のそれぞれの相違点や欠点を、本当に理解しているのでしょうか?

 これらの質問を見る限り、文部省案に対してどうしてビクビク恐れているのか不思議でなりません。このような、文部省案に追随するような質問では、これまで文部省に対してとってきた姿勢と、何ら変わりがないではありませんか。現在置かれている未曾有の危機にあっては、こんな質問をしているより、文部省が示した「検討の方向」に対して、訴えるべきもっと大事なことがたくさんあったはずです。せっかくの機会に何をしていたのか、まったくお粗末の一言に尽きます。独立行政法人化に反対の意志を表明していたはずの、学長のリーダーシップのかけらも見られず、愚問の羅列にあきれ果ててしまいます。こんなことでは、大学の主体的な改革など望めようもないどころか、進むべき方向を見失っているままに、大学が大学でなくなってしまうかもしれない、深刻な事態を招くおそれがあります。私たちは、こんな心配な状況を黙って見ていてよいのでしょうか。



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