独行法反対首都圏ネットワーク |
弘前大 杉野文部省大学改革推進室長の講演会
(1999.11.9 [he-forum 325] 弘前大学における杉野室長講演)
10月30日、杉野文部省大学改革推進室長の講演会(弘前大学、学長の全学動員により300名が参加) (以下は、当日参加者のメモに基づくもの)
まず吉田学長は、「国大協も弘大も反対の立場だ」と述べた。室長の話は以下の通り。
独立行政法人の「独立」の意味は、独立採算を意味しない。「行政」の意味は公共性である。民営化とは違う。ここで、賛成、反対、分からないで挙手させた。賛成は10数名程度。法人化のメリットは、自由な仕事ができること、予算も自由に使えることだ。中期内なら残しても次年度に持ち越せる。組織スタッフ配置、新組織を自由に作れる。給与も給与法を離れ、法人ごとに決定できる。だが、今の通則法では駄目だ。中期目標を決められない。そこで、「検討の方向」で事前に意見を聞くことを入れた。教育研究を国が直接評価することも問題。そこで大学評価機関を尊重することを入れた。人事も問題。学長を大学が決められないのは問題だ。通則法の設計図を書き直すことを要求していく。よく質問が出るのは、定削との関係。よその役所の大臣に決められた。
国立大学の身のふり方で他省庁に影響が出る。内閣もつぶれるかも。圧力がある。定削されるとやっていけない。独法化のほうがいいい。予算のことも質問される。今も少ない。法人化すれば金が増えるのかと言われる。増える保証はない。だが保証がないのは国立大学でもそうだ。4割が外部資金だ。今でも、金が取れるように、常に国民に政治家に成果を見せないと駄目。また、国立大学の役割を法人化で果たせるかと言われる。確かに研究者養成で言えば、博士課程の70%は国立だ。教育機会均等も国立があってこそだ。だが、法人化しても可能だ。民営化ではない。公共性がある。独立採算ではない。基礎、先端など、国立だからできたことも法人化して引き継げる。
独立行政法人の設計は国立大学に合わないから他の選択肢をと言われる。だが、今の国立大学も設計
上普通の国の機関と同じ扱いだ。今だって国立大学になじまない。その上で第三の道、国立大学に合う設計を考えることは、研究上価値がある。だが現実には困難だ。国立の中で、大学だけ違う道を行くのは困難だ。世論は、国立大学だけ勝手だと見る。今用意されているものに近づきながら、根幹に手直しするのがいい。ここで、また、賛成、反対、分からない、で挙手させた。賛成は同じ程度で増えなかった。気落ちして、反対以下、取らなかった。
質疑応答に入り、中村学長特別補佐が質問。
「国立大学はこれまで多少甘えていた。大学審答申では競争を言ってる。だが、教育効果は20年先、30年先に出るのではないか。努力して予算を節約して余すと、計画が甘いと言われる。中期目標を事前に聞くと言うが、そんなに甘くないだろう。特例法がいい」
と述べた。室長は、「大学審答申は、設置形態とは関係ない。競争は経済的競争ではなく教育研究評価を通した競争だ。中期目標は最終的には大臣が決める。今でも大臣は指揮・指示できる仕組みだ。国立大学は国の機関であり、文部省の機関だ。予算は各法人で留保できる方向で検討する。特例法では甘いというのが世間の、東京の、政財界の、マスコミの雰囲気だ。文部省は特例法をいいと思っているが無理だ」、と述べた。
浅田評議員が、「法人になっても定削は続く、文部省と大学がつるんでも総務庁評価がある、独立といっても今まで以上に縛られるのでは」、と述べた。
室長は、「定削かどうかは法人が決めることだ、今の総務庁も評価の権限を持っている。それが総務省に移るだけだ。縛りについては、独立行政法人が国家からの自立ではない以上、国立大学と同じことだ」と述べた。