独行法反対首都圏ネットワーク

国立大学の独立行政法人化に関する申し入れ
香川大学教育学部教員組合
(1999.11 [he-forum 313] 学長への申入書)

 香川大学教育学部教員組合書記長の村山です。
 みなさまへの連絡が遅くなりましたが、教育学部教員組合では先月15日に独立行政法人化に関する申入書を学長に提出済みです。
 以下、その文面をお送りします。

****************
1999年10月15日
香川大学
学長 近藤浩二殿

香川大学教育学部教員組合


国立大学の独立行政法人化に関する申し入れ

 国立大学の独立行政法人化は国立大学だけの問題ではない。日本の高等教育・研究の根幹を揺るがす大改悪につながる。
 日本が高等教育・研究に投じている資金は、対国民総生産の0.5%に過ぎない。主要先進国の半分にも満たない。行政改革の一貫としての効率主義が「教育・研究」に貫徹されなければならない謂れは全く存在しない。国民の税金をいかに使うかは広く国民が議論すべき事柄である。
 市場経済化が国民の満足度をすべて高めるわけではない。国立大学民営化の前段階としての独立行政法人化には断固反対する。民営化は、学費値上げ等により国民への負担増を必然化し、そのサービスの質自体をも低下させる。これまで各大学で実行されてきた数々の改革努力がほとんど評価されないまま制度転換が迫られている。まだまだ十分使用可能で、さらにリフォーム可能な家をやたらと破壊、改築するのは、資源の無駄使い以外の何物でもない。国民の共有財産としての日本の高等教育・研究の在り方がどうあるべきか、広く国民的な議論がなされるべきである。
 十全な議論を踏まえず提出された文部省案は、日本の高等教育・研究の将来像を示すものでは決してなく、また、一見すると国立大学はほぼ現状維持だと錯覚させる内容を有している。しかし詳しく見れば、的確な賛成あるいは反対の意志表明すらできないほどに、重要な要件についての具体的な中身が描かれていない。さらにまた、そのような不明瞭な文部省案でさえも政府にはほとんど受け入れられず、単なる通則法に基づく独立行政法人化が実行されることが予想される。
 このまま大学人が国立大学の独立行政法人化を受け入れるということは、日本の高等教育・研究の将来を自ら放棄することになる。国立大学が果たしてきたナショナルスタンダードの維持を今後どのように行うべきなのか。国立、公立、私立をとわず、今後の在り方について、真摯で民主的な議論がなされるべきである。
 現行のような拙速な独立行政法人化には断固反対の意思を表明したい。
 こうした立場から、貴台に下記事項を申し入れるものである。


1. 大学の自治と学問の自由を侵す国立大学の独立行政法人化に反対する態度を明確にすること。
2. 国立大学の独立行政法人化がもたらす日本の高等教育全般への影響についての真摯な議論を行う場を設けること。また、可能な限り多くの関係者、国民ならびに市民が議論に参加できるように工夫すること。
3. 国立大学の独立行政法人化は、言うまでもなく、教職員の身分、待遇、権利に大きく関わる問題であることを踏まえ、今後、情報を十分に開示し、すべての教職員の意見を広く聞くこと。

以上



目次に戻る

東職ホームページに戻る