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<新生面> 大学改革
『熊本日日新聞』11月2日付
(1999.11 [he-forum 311] 熊本日日新聞11月2日付)
『熊本日日新聞』11月2日付
<新生面> 大学改革
中教審は一日、大学入試改革を柱とする中間報告を文相に提出した。それによると、大学と学生が「相互選択」の時代に入るという。何やら難しく聞こえるが、大学は増えたのに少子化で進学者は減るという現実が生んだものにすぎない。つまり、大学が学生を選ぶよりも学生が大学を選ぶ傾向が強まる▼私立大は厳しい生き残り競争に入っている。国が経営する国立大も独立行政法人化が決まれば独立採算制の色彩が強まる。また、大学院教育を重視する大学院大学の指定も検討されている。そうなると実質的な格差も生まれることになる▼先日、九州大の文科系の教授を教育問題で取材した。雑談に移ってから、「九大は大学院大学でも当選確実で教授陣も安泰ですね」と言ったら、「とんでもない」と真顔で否定された。九大内部でも学部や学科の改変計画が進んでおり、消えてしまう学科も出るという▼「自由学部をつくるとかいう話もありましてね…」。なるほど、自由の尊さについて多方面から研究するのかと思ったら、「いや、何を勉強したいのか分からない学生のために目的探しをさせる学部の仮称なんです」という説明だった▼受験では優秀な成績を取っても大学で学ぶ目的は持たない。「そんな学生が有名大で増えている」と、宮台真司・東京都立大助教授も指摘している。高校がセンター試験への対応を深めた結果、高校生に将来の職業について考えさせるような余裕を失った結果でもあろう▼団塊世代の一員として高校を出た時、大学は狭き門で浪人率が高かった。高校は「四年制高校」と皮肉られたものだが、それも死語になりそうだ。