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大学再編時代幕開け・国立5大学が連合構想
(1999.11 [he-forum 310] Nikkei Net ニュース解説)
1999年11月4日 Nikkei Net ニュース解説
大学再編時代幕開け・国立5大学が連合構想
異なる学問分野で国内トップレベルの国立5大学の連合構想が3日、明らかになった。大学間の連携は単位互換を中心に近年増加。大学が個々に編入学や学士入学制度を導入する動きも目立つが、今回の構想は教養教育や進路変更を含めた専門教育に関する学生の多様なニーズに共同でこたえようとするもので、従来の連携の枠を大きく超えている。学内外での本格協議はこれからだが、各学長は「これまでの大学には無いものを生み出したい」と語っており、大学の生き残り競争が本格化する中、私立なども含め他の大学にも大きな影響を与えそうだ。
大学連携の取り組みとしては、同志社大や立命館大などが参加している「大学コンソーシアム京都」が94年度から単位互換制度をスタート。今年度の参加校数は37大学・短大に上る。このほか、広島県内の19大学・短大も今年度から単位互換を実施するなど、各地で同制度を中心とした連携が増えている。
個々に編入学の定員枠を設ける大学も年々増え、文部省によると、今年度は224校に上っている。医学部を持つ大学では学力偏重型入試により目的意識のあいまいな学生の存在が問題化、豊かな教養と人間性を備えた医師を育成する観点から他学部卒業者の学士編入学を認めるところも目立ち始め、国立大では大阪大など3校が同制度を導入している。
「連合」を目指す5大学の学長は、幅広い教養教育の実施など、これまで各大学だけでは十分に対応できなかった教育課題への共同取り組みを事業の柱と位置づけている。
今後、学内外での論議を通して具体的な事業内容を詰めていくが、ある学長は「各大学の教官が共同で教養教育の講義を担当する『連合講義』を行ったり、5大学の学生が共に学ぶ場所も設けたい」と、構想の一端を語る。
また、「5大学間で相互に編入枠を設けることが認められれば、人文科学や社会科学を専攻する学生が医学部に進路変更するにも、現状より柔軟に対応できるだろう」と話す学長もいる。さらに別の学長は「オペラを専攻する東京芸大の学生が東京外大でイタリア語を学ぶなど、学生の専攻に合わせた多様な教育カリキュラムが提供できる」と話している。
一方、共同研究については「メディカル・エコノミクスなど社会的関心の高い学際的な領域の研究に臨機応変に取り組めるほか、可能であれば、5大学共同での外部資金の導入も検討したい」との声もある。