独行法反対首都圏ネットワーク

鹿児島大学教職員組合の取り組み
(1999.10.30 [he-forum 298] 独法化反対〜鹿児島大学教職員組合の取り組み(1))

1999年 10月 30日
フォーラムの皆様へ。
鹿児島大学教職員組合の田代と申します。
いつも有益な情報をいただき有り難うございます。
今回、初めて鹿児島より発信させていただきます。
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国立大学の独法化反対〜鹿児島大学教職員組合の取り組み(1)〜

1.学長に要望書を提出
 鹿児島大学教職員組合は、去る9月10日、田中弘允鹿児島大学長に「国立大学の独立行政法人化に反対の姿勢を堅持すること」を求める「要望書」を提出しました。
 その後、国大協第1常置委員会の「中間報告」(9/7)や文部省の「検討の方向」(9/20)の公表、「臨時九州地区国立大学長会議」(10/4)の開催などを受けて、10月21日、再度、独法化反対の「要望書」を学長に提出したところです。
 その内容は、(1)鹿児島大学長として、国立大学の独立行政法人化にはこれまで同様、反対の姿勢を堅持すること(注)、(2)国立大学の独立行政法人化問題について全学的な議論を深めるため、教職員・学生を対象とした学長主催の討論集会を早急に開催すること、(3)国立大学の独立行政法人化に反対する鹿児島大学の見解
を広く市民にアピールすること、を要望するものです。
 その後、10月25日、独法化問題をめぐる懇談会が学長と組合の間でもたれ、その席上、田中学長は「国立大学の独立行政法人化には一貫して反対である」ことをあらためて表明されています。組合としては、来る11月17、18日の国大協総会、国立大学長会議等においても、学長がこれまで同様、独法化反対の立場を堅
持されるよう強く要望していく予定です。

(注)田中学長は、2年前の1997年10月22日に臨時評議会を開催して、国立大学の独立行政法人化問題について審議し、本学の見解をとりまとめ、次のような声明を同日発表しています(鹿大広報 NO.146より)。

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国立大学の「独立行政法人」化について

平成9年10月22日
鹿児島大学

 国立大学を独立行政法人化することについては、国立大学の、我が国及び地域の教育・研究に果たしている役割に鑑み、下記のような問題点があり反対である。


1.現在の国立大学の設置形態については、単なる財政改革の視点からだけでなく、今後の我が国の大学及び大学院における教育・研究の将来構想を策定するなかで決めるべきであると考える。
 なお、国立大字の歴史的に果たしてきた役割、現下の内外の情勢等に対応しつつ教育・文化・学問の面での国民の夢を実現していく立場から検討することが重要であり、鹿児島大学も近年諸般の改革努力を重ねてきたところである。

2.将来に向って創造力をもつ人材を養成するには、長期的視点に立ち、かつ、多様性を有することが不可欠である。独立行政法人は定型的な業務にこそふさわしく比較的非定型的な業務が多い国立大学の教育研究業務にはなじまない。

3.地方の国立大学は、地域の生活、文化及び産業と一体になった教育・研究活動(共同研究、地域医療、地域産業)を行っており、これが経済的合理性のなかで阻害されるおそれがある。

4.地方の国立大学は、地域の経済的に恵まれない若者を広範囲に受け入れており、独立行政法人化されると大学の授業料の値上げを含めて、大学教育への機会均等が阻害されるおそれがある。

5.地力の国立大学を独立行政法人化し、かつ安定的な研究費・人件費等を確保するためには一定額以上の基金からの収入が保障される必要があるが、現下の状況では困難である。

6.国立大学の活性化に関しては、厳しい自己点検、外部評価、外部資金の導入や国内外の研究機関、企業等との活発な交流などを積極的に考える必要がある。
 さらに現代における諸学問の密接な連関と相互作用については、人文社会科学系と自然科学系の学問の接近と融合という総合性が教育研究の健全な発展を図る上で最も大切である。
 国立大学の在り方の検討に当たっては、何よりもまず当事者である国立大学関係者の意見を十分に踏まえるべきであり、そのための手続きを経ないまま性急に多くの問題点をはらむ独立行政法人化を結論とすることには賛成できない。



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