独行法反対首都圏ネットワーク

国立大学の独立行政法人化に反対する声明
和歌山大学教職員組合(9/13)
(1999.10 [he-forum 288] 和歌山大学の組合の声明)

転送します。

新潟大学 森田竜義

和歌山大学の組合の声明です。送信がずいぶん遅くなりましたが、9月13日付けのものです。


国立大学の独立行政法人化に反対する声明

1999年9月13日
和歌山大学教職員組合

 国立大学を独立行政法人化する動きがにわかに活発化している。独行法に対しては、我々は1999年5月の組合定期大会で反対を確認した。しかし、文部省が法人化容認へ姿勢転換したことなどをはじめとする最近の事態を踏まえ、ここに改めて法人化反対の意志を表明し、計画の白紙撤回を要求する。

・教育論不在のリストラ計画
 国立大学の設置主体の改変にまで踏み込む法人化計画は、この国の教育制度全体に長期的かつ深刻な影響を及ぼす。にもかかわらず、現今の法人化計画は、教育に関わる本質的な論議をいっさい行うことなく、当事者である国立大学教職員の改革努力を無視したまま、もっぱら国家公務員の25%削減を根幹とする行政リストラ策の一環としてのみ提示されている。しかも、最近の性急な展開は、政府与党の連立化と総裁選挙の思惑によってもたらされたものである。目先の利害によって「百年の計」たる教育をないがしろにしようとするかかる策動には、教育活動に従事する者として強い怒りを禁じ得ない。

・学問の自由と大学の自治への侵害
 独立行政法人通則法では、大臣による中期目標の設定、効率性の観点からの外部業績評価、それによる研究費配分の決定と業務継続の判定、民営化や業務廃止決定などの方針が盛り込まれている。
 これらは第一に、真理を探究し、私的利害にとらわれない自由な学問研究を本務とする国立大学のあり方と本質的に相容れないものである。とりわけ、非営利的かつ地道な基礎研究が「効率化」の名の下に圧迫され切り捨てられる危険性が高く、学問体系を歪め、大学の社会的機能に多大な障害をもたらす。また、「高度研究用大学」「教育用大学」といった大学の種別化は、上記の歪みをいっそう拡大し、大学間および大学人間の差別選別を助長するものである。
 第二に、教育研究業績の評価と、それによる予算配分、業務改廃までもが総務省や文部省等の学外者に委ねられ、学内的には今以上に学長・評議会への権限が集中する。これによって、「独立」とは名ばかりの「従属的管理統制法人」化が促進され、大学の自治が根底から失われる。

・教職員の労働強化と地位の不安定化
 仮に教職員が国家公務員の名目を与えられたとしても、元来が公務員リストラ計画に端を発している以上、民間的手法の導入による労働強化と地位の不安定化は必至となる。任期制、パート公務員・派遣労働者職員の導入、および査定による能力給の大幅導入、それによる教職員間格差の拡大、配置転換や首切りの容易化などが本来の狙いである。反面で、公務員の名の下に労働基本権の制限等、現行制度の負の遺産のみが引き継がれようとしている。

・教育の機会均等と国民の教育権の侵害
 財政再建が最優先されるもとで、法人化による学費の大幅値上げが不可避となる。また、民間からの資金が流入しにくい学部学科や、財政基盤の弱い地域の国立大学は真っ先に切り捨てられる。これは地域における教育文化活動の拠点を失うことにつながり、憲法に保障された教育の機会均等の原則を踏みにじり、国民とりわけ地域住民の教育権を著しく侵害するものである。
 以上の理由から、我々は改めて独立行政法人化反対の意志を表明し、計画の白紙撤回を要求する。

和歌山大学教職員組合
〒640-8510 和歌山市栄谷930
E-mail:wakumi@cypress.ne.jp
URL http://www.cypress.ne.jp/wakumi/index.html



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