独行法反対首都圏ネットワーク |
宮崎大学独立行政法人化反対署名ほか
(1999.10.22 [he-forum 281] 宮崎大学独立行政法人化反対署名,教員の8割を越す!)
平野@宮崎大学です。
9/30付けメールでお知らせしました「独立行政法人化に反対する教職員有志の会」が提起した緊急声明「宮崎大学の独立行政法人化と国立大学制度の廃止に反対します」に対する賛同署名が、教員層の8割に達しました。
この段階で,「有志の会」では昨日(10/21)記者会見をして、このことを広く宮崎県民に公表いたしました。昨日の地元TVや今日付け地元新聞では,記者会見のことが報道されました.宮崎大学八者連絡会議が発行している「八者連
大学改革ニュース No.81」(10/22付)から、記者会見の速報部分を、以下に転載いたします。
今後、「有志の会」では、賛同署名と同時に募った募金をもとに、10/24の地元紙に意見広告を掲載する計画です。また、11月の国大協総会に向けて、事務職員層や学生層にも賛同署名を広げる予定です。
なお、再度、上記声明を添付いたします。
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宮崎大学八者連 大学改革ニュース No.81(1999.10.22)
教員の8割(274名)が反対署名!
呼び掛け人代表が記者会見!
10月21日(木)午後2時より、呼び掛け人(河内進策教授、川野日郎教授)は県庁2階の県政記者室で宮崎大学の独立行政法人化反対署名活動について記者会見を行いました。
まず、河内進策呼び掛け人代表から、独立行政法人化問題に対する宮崎大学の教職員を中心としたこれまでの運動についての紹介と9月27日に出された教職員有志の緊急声明の趣旨、さらに、10月20日までの署名集計結果が発表され、今後は学内だ
けでなく、学外にも独立行政法人化反対運動を拡げていく決意が述べられました。
また、川野日郎呼び掛け人からは、宮崎大学の法人化問題だけでなく、国立大学制度の廃止が日本全体の学術文化と地域にどのような結果をもたらすかの全国的な議論が重要であると語られました。
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宮崎大学の独立行政法人化と国立大学制度の廃止に反対します
現在、政府の中央省庁等改革推進本部や文部省において、行政改革・財政改革(「行政の効率化・スリム化」)と公務員の定員削減の一環として、国立大学制度を廃止して、国立大学を「独立行政法人」に切り替えようとする動きが急速に進められています。
「独立行政法人」とは、国の組織を企画・立案部門と実施部門に分けて、そのうち後者だけを独立させ、民間企業の経営方式にならった運営をおこなわせることで、行政を効率化・スリム化する、という考え方にもとづいて近年登場したものです。法人化された組織は、担当の大臣の監督下で、3〜5年毎の「中期目標」を与えられ、その達成度に応じて事業の継続の可否や、国から配分される交付金の額が決定されることになります。
こうした制度は、最も創造性や自主性を必要とし、しかも、短期間で成果の有無をはかれない、学問研究や高等教育という仕事を行う大学には、そもそもなじまないものといえます。大学の予算や存続までもが、短期間の業績評価で決定されることになれば、長期的な視野に立った「バランスの良い研究教育」は出来なくなります。大学単独で経営効率を追い求めれば、「大幅な学費値上げ」もしなくてはならなくなります。予算の効率性だけを追求すれば全国に配置されてきた国立大学の「統廃合」も予想されます。そうなれば、学問のバランスのとれた発展や、国民に対する「教育の機会均等」も保障できなくなります。
第二次大戦後、全国の都道府県に誕生した新制国立大学は、高等教育の機会をどこの地方の人々にも保障し、高度な学問の成果を普及する上で、また、広い学問領域にわたる基礎的分野や応用的分野の研究を発展させる上で、大きな役割を果たしてきました。1949年に戦前の農林専門学校、師範学校、青年師範学校、工業専門学校を母体として出発した宮崎大学もその一つです。この半世紀の間、宮崎大学は、地域の必要に応える高等教育と研究に邁進してきただけでなく、国際的、全日本的にみて重要な研究成果もいくつも生み出してきたと、私たちは自負しています。さらに現在、21世紀を前に、社会の変容に応え、未来に国民の負託に応えうる教育研究のあり方を探索して、試行錯誤も含みながら大がかりな改革の道を歩みつつあります。近年おこなわれた大学院の拡充や各学部の改組はその第一歩にすぎません。こうした大学改革の試みは、いま全国の国立大学で、それぞれの創意工夫をおこないながら進んでいます。一面的な「効率化」の追求は、この改革の道を大きく歪めることにつながります。
最近の報道によれば、文部省は、大学の独立行政法人化にあたっては、学長の任免は大学からの申し出をうけて行う、「中期計画」立案に大学の意見を聴取する、業績評価に専門家の声も取り入れる、などの特例を、政府内で提案する方向にあるとされています。これらの措置は当然のこととはいえますが、前記のような問題点を解決するものではありません。
現在日本は、財政支出のなかに占める高等教育予算の割合が、残念なことですが先進国のなかでも特に低い(米国3.3%、英国2.7%、ドイツ2.1%、日本1.5%)国になっています。こうした現状のまま、国立大学の「効率化・スリム化」を追い求めれ
ば、日本の未来と国民の利益に取り返しのつかない損害を与えることになります。学問研究と高等教育の発展という大切な仕事を、公共の利益(未来にわたる国民全体の普遍的な利益)に沿うように行うためには、財政や施設の面で、国が責任を持って長期にわたり安定した保障を行う体制が不可欠です。
私たちは、政府・文部省に、国立大学の独立行政法人化を断念し、あらためて21世紀につながる高等教育・研究体制の整備・充実の方向に踏み出すことを求めるとともに、今後とも、国民の皆さんと力を合わせて、国民のための宮崎大学の発展に努力することを表明するものです。
1999年9月27日
宮崎大学の独立行政法人化に反対する教職員有志