独行法反対首都圏ネットワーク

徳島大教職組「独立行政法人化に反対する声明」(10/12)
「独立行政法人化問題に関する要望書」(10/13)
(1999.10.19 [he-forum 262] 徳島大学教職組が声明)

 徳島大学教職組は「独立行政法人化」にたいし次のような反対声明を出し,学長に要望書を提出しました.





独立行政法人化に反対する声明

1999年10月12日

 徳島大学教職員組合は,次のような理由で国立大学の独立行政法人化に反対し,かつ現状の手続きに関して遺憾の意を表明します.
 第一に,国立大学を「独立行政法人」化する根拠が全くないことです.1997年の行政改革会議「最終報告」では,「独立行政法人」は行政機能の減量と効率化の観点から導かれた政策であって,高等教育改革のためではありません.かつ,独立行政法人化の対象は「企画立案機能」と「実施機能」が分離可能な行政組織に適用されるのであり.大学が対象となり得るはずがありません.7月に制定された「独立行政法人通則法」を無理に適用しようとすると,憲法違反になる恐れさえあります.加えて,この問題は公務員25%削減の数合わせという政治的パフォーマンスの色濃いものです.それゆえ,国立大学の設置形態が検討されなくてはならないにしても,独立行政法人から出発する根拠は何もありません.
 第二に,議論は国大協「中間報告」の公表でやっと始まったばかりであることです.国立大学の教育・研究の大きな転換となれば,当然国民的な議論も必要です.しかし,国民にはほとんど何も知らされていません.国立大学の内部でさえ,次から次への資料に当惑している状況であるのに,結論を急ぐことは無謀といえます.付属機関(付属病院,附属図書館)の職員まで含めて学内の全構成員ならびに国民に情報を公開し,十分な議論をつくす必要があります.
 第三に,「大学の自治」を守る問題です.「大学の自治」は,古くヨーロッパの大学の歴史を辿れば明白のように,権力による束縛から開放され,「学問の自由」を獲得する戦いから勝ち取った宝物であります.しかるに,「通則法」と文部省「検討の方向」では,主務大臣による中期目標の設定・評価・事後チェック・財政措置・長の任命など,大学の自治・自律を保障するよりもそれを侵害することになります.
 第四に,国民の教育権の侵害です.独立行政法人化は,財政基盤の弱い国立大学に学費の大幅値上げを強いることになります.また,資金獲得の困難な大学や学部学科は切り捨てられます.その地域は,重要な教育文化活動の拠点を失うことになります.これは,国民の教育の機会均等および教育権の明らかな侵害です.
 第五に,国立大学の教職員の身分と待遇の問題です.独立行政法人化を受け入れるか,さもなくば25%定員削減かという選択肢は,「脅迫」まがいの行為です.さらに,独立行政法人化の目的は組織の整理・簡素化および定員の削減であり,法人化の受け入れは何の解決にもなりません.
 最も大切なことは,大学人としての良識です.狭い日本の中の「時代(政治)の流れ」に流されては,大学人として一生の汚点に留まらず,日本の歴史に汚点を残すことになります.

 徳島大学の全構成員および国民の皆さんが,独立行政法人化問題の討議を深められ,私たちとともに独立行政法人化反対の声をあげられますよう訴えます.




徳島大学長
 斎藤史郎 殿
独立行政法人化問題に関する要望書


 国立大学内および国民全体の議論が不十分なままで,日本の高等教育の将来に多大
なる影響を及ぼす決定が性急になされようとしています.徳島大学教職員組合は現状
を危惧し,下記の点について貴殿の一層のご尽力を要望いたします.


 1.これまで通り,独立行政法人化に対して反対の立場を堅持すること.
 2.全ての情報を速やかに公表し,徹底した議論を行うこと.
 3.重要な意志決定が必要な場合には,全教職員の意見を収集して,決定を下すこと.

以上


1999年10月13日
徳島大学教職員組合



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