独行法反対首都圏ネットワーク

佐々木高等教育局長のインタビュー
1999.10.1 日本教育新聞
(1999.10.12 [he-forum 225] 高等教育局長のインタビュー )

 日本教育新聞に佐々木高等教育局長のインタビューが掲載されていましたので、紹介します。

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日本教育新聞1999年10月1日
佐々木正峰・文部省高等教育局長
来年度概算要求―――新政策を聞く

 国立大学の独立法人化問題について、文部省は九月二十日、学長や共同利用機関長、事務局長らを集め、初めて公式の場を持った。その席で佐々木正峰・高等教育局長は独立法人通則法と、法人化する場合の特例措置の検討方向を示したが、同局長は日本教育新聞とのインタビューで、特例措置を設けて法人化する場合の三点の意義を改めて指摘するとともに、特例措置は法律に基づくものと運用によって行うものがあり、その中身は今後検討するとした。また同局長は来年度の施策として、大学の教育研究の改善策として、学位授与機構を改組し、大学評価・学位授与機構の創設を強調した。

―――先日、国立大学長らの会議で独立法人化問題に関し、文部省の考えを明らかにしましたが、改めて法人化の意義について伺いたい。

局長 この問題について、文部省としてはじめて公式見解を表明した。独立法人化に際し、特例措置を講じることにより、現行制度と独立法人制度とを比較した場合、自らの権限と責任で大学運営が可能となること、組織編成、教職員配置、給与決定、予算執行などの面で国による規制が緩和されること、教育研究など大学運営全般にわたり、自由な制度設計が可能となることの三点で意義があると説明した。文部省として、独立法人化を検討する場合の方向を示したわけで、今後、国立大学協会はじめ関係者の意見を踏まえ、来年度の早い時期までに考えを整理したい。

―――説明は主に、独立法人通則法と国立大学を法人化する場合の特例措置の方針を比較しながら行われましたが、特例措置はどのような形で実施するのですか。

局長 現段階では何ともいえない。特例措置を設ける場合は法令事項もあれば、運用で処理する事項もある。特例措置をどう設けるかは、今後の検討課題だ。

―――特例措置の検討方向を示したことで、文部省は独立法人化を容認したと受けとめていいのですか。

局長 そこまでは言っていない。あくまで特例措置の検討方向を提示したものだ。

―――十二年度の概算要求で大学の評価制度の導入が設けられています。

局長 大学の評価機関として、現在の学位授与機構を改組し、大学評価・学位授与機構を設置する。大学評価機関の役割は、あくまで大学の教育研究の改善につながる評価を行うものだ。
 具体的には、教育研究について五年くらいの周期で評価する。その内容を大学にフィードバックし、教育研究の改善につなげていきたい。
 新機構は全体として、教官三十人、事務官百三十人の計一六十人程度で構成したい。評価の対象は国立大学だが、公私立大学が評価を希望すれば応じる。
 新機構で評価する人は、評価の手法、外国での評価の状況などの情報収集とと
もに、評価内容、方法を自分で研究する役目も持っている。

―――大学院の教育研究を高度化し、多様化するため「教育研究拠点形成支援経
費」を要求していますが。

 局長 研究者養成を指向する大学院として高い評価を得ているところ、高度で
専門的な人材養成に取り組んでいる大学院に対して、卓抜した研究拠点として重
点的な投資を行う。人材養成のための経費と必要な設備費を補助するものだ。

―――専門大学院形成支援経費の内容は。

局長 来年十二年四月から、専門大学院として従来の大学院とは異なった大学院
をスタートさせる計画だ。
従来の修士課程ではこたえられなかった分野、例えば、公衆衛生、公共政策、ファ
イナンスなどの分野などだが、これらを専門大学院として位置づける。来年度は
一橋大学国際企業戦略研究科の中の経営・金融専攻と京都大学医学研究科の社会
健康医学系専攻に補助する計画だ。

―――高等教育局では私学助成も重要な位置を占めています。

 局長 私立高校等や私立大学に通う児童・生徒、学生の費用負担を軽減、私学
の教育研究の維持、向上のため特別補助を重視しながら助成していきたい。


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